連載【漕いで、釣って、食べて】カヤックフィッシング奮闘記Vol.49
前回は『キスの泳がせ釣りリベンジ』でリベンジ出来なかったので、釣り方を変えてみることに。今回は「インチク」というルアーで勝負する。実はこの連載で鉄板の釣り方で、過去に『鯛』を釣ったのも、このインチクだった。最近は釣果がよろしくないので、ここらで大物でも釣っておきたい。
インチクとは、こういうもの。重りにタコベイトが付いていて、もともとは漁師が使う漁具を改良したらしい。狙える魚種が豊富で、鯛からイナダやサバなどの青物、シーバスから根魚まで釣れる。アクションも簡単で、基本は海底に落として巻いてくるだけ。さて、大物は来てくれるだろうか。
この日は5時半に逗子海岸から船出して水深40メートルくらいの沖を目指した。天候は曇り。晴れると暑くて困るので、これくらいがちょうどいい。絶好のコンディションのように思えたのだが、まったく反応がない。ちなみに、右に小さく見えているのが江ノ島。
釣り開始から2時間ほど、何も起こらず。ロケに同行してくれているマリンボックス100の沼野さんにもアタリなし。事前情報では青物が良く釣れて、シイラも泳ぎ回っていると聞いていたが、影も形もない。海はこうして状況がガラッと変わることが珍しくない。暑さを避けるため、昼には戻ろうと思っていたので焦り出す。そんなとき、何やら竿がちょっとだけ重たくなる。なんだ?
カサゴだったが、狙っている大物ではないのでリリース。君ではないのだよ。その後、すぐにまたアタリが。さっきより少し重たい。が、引きは弱い。今度はなんだ?
あがってきたのは、ソコイトヨリ。イトヨリの仲間だが、海底付近にいる魚種らしい(市場では区別されていないらしい)。狙って釣るのは難しいかもしれないが、君ではない。インチクはこのように、色々な魚が釣れるのが特徴。釣り方も落として巻いてくるだけなので、特別な技術はいらない。
その後も魚探を見ながら、ちょくちょく移動して釣りをするが、反応が悪い。魚探には小魚の群れが写っていて、恐らく近くに大物がいるはずなのだが、全然釣れない。カヤックフィッシングをやるまで知らなかったが、こういうことはよくある。ルアーを変えても釣れないから、食う気がないんだと思う。もしくは、ルアーを見切っているか。そんなことが続き、諦めて帰ろうとしていると、久々に何かが来た。巻いてくると、青く光る魚体が。
君だったか。釣れたのはホウボウという魚で、水中ではヒレが光って見える。が、水から出ると、色が全然違う。とても美味しい魚なのだが、この日はリリースすることに。
この魚を最後に、タイムアップ。狙っていた大物(鯛)は来ず。なかなか狙い通りにはいかないものだ。まぁ、小物たちが遊んでくれたので、良しとしよう。
連載【漕いで、釣って、食べて】カヤックフィッシング奮闘記
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穴澤 賢(あなざわまさる) 1971年大阪生まれ。2005年7月から愛犬との暮らしを綴ったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイ、コラムなどを執筆するようになる。著書に「またね、富士丸。(集英社文庫)」、「明日もいっしょにおきようね(草思社)」、「また、犬と暮らして(世界文化社)」、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック「Another Side Of Music」(ワーナーミュージック・ジャパン)などがある。 株式会社デロリアンズ代表。 Blog:「Another Days」
取材協力:MARINE BOX100
逗子市新宿2-14-4
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