シリーズ第2回では、メキシコのカリブ海沿岸に位置するリビエラマヤをご紹介!同じユカタン半島を北上すると有名観光地のカンクン、その西には世界遺産のピラミッド、チチェン・イッツァもありますが、「ステイするなら断然こっち!」という旅マニアが急増中です。
【アメリカ在住エディターのアウトドア世界紀行 VOL.2】
足を運ぶ価値あり!絶景の遺跡群とスノーケル体験
プラヤデルカルメンで迎える朝
リビエラマヤへのアクセスはカンクン国際空港から。車で1時間弱の距離にリゾート施設が建ち並ぶホテル・ゾーンが広がります。目の前には、憧れの白い砂浜と透き通る青い海。ただ、ホテルのプライベートビーチは波が高いのでもっぱら観賞用です。
そこで訪れたいのが、ショップやレストラン、バー、セレクトショップ、ギャラリーなどが集まる街、プラヤデルカルメン。メキシコのビーチらしいリゾートの雰囲気がありつつ、街歩きしやすいコンパクトなサイズ感が◎。一大観光地であるカンクンにはないローカル色もまだ残る、居心地の良さが魅力です。
しかも、プラヤデルカルメンの街には小規模ながら遠浅でファミリーでの海水浴にもぴったりの極上ビーチが。
「街中に、こんなすてきな公共ビーチがあるなんて」
早朝にもかかわらず、すでに地元の人たちでいっぱい。ビーチ近くの通りには、木陰におしゃれカフェが並び、ますます旅心が刺激されます。
早速、腹ごしらえとばかりにカフェのテラス席に着くと、焼きたてパンが運ばれてきました。テーブルで実際に見せてもらいながら好みの種類を選ぶシステム。パンがおいしいカフェにハズレなし! 潮風に吹かれながら食べる本場のタコスも絶品でした。
ダイバーの愛するコスメル島へ
そんなプラヤデルカルメンから高速フェリーに乗り、約40分で到着するのがコスメル島。マリンアクティビティーが盛んで、世界的なダイビング・スポットとして知られています。私たち家族もスノーケリング目当てに出かけてみました。
事前に仕入れた情報によると、
「ビーチ沿いにスノーケル体験ができるレストランがある」
とのこと。一体、どういうこと!? 半信半疑のままタクシーに乗り込み、そうしたレストランのひとつ「マネー・バー・ビーチ・クラブ」へと向かいます。
そして、着いてみるとやっぱり外観はレストランそのもの。
「本当にここで合ってるの?」
と心配する夫をよそに中へ入り、スタッフに尋ねてみました。
「スノーケルね。もちろんできるよ! じゃあ、そこのテーブルにどうぞ」
いたって普通にレストラン内のテーブルがあります。メニューを開いても、普通にメキシコ料理やドリンクが並ぶのみ…。
普通に注文したところで、再度確認してみます。
「スノーケルをしに来たんだけれど、どうすれば?」
すると、ここのレストラン利用客は席に荷物を置きっ放しにして、レストラン前のデッキから海に出るのだそう。「自由にスノーケルしてきていいよ」ということらしいのです。夫も不思議顔で、
「このテーブルと椅子の上に? 誰かが荷物を見ててくれるってこと?」
と、念押し。担当スタッフを紹介され、カメラもあるからと説明を受けました。
「ほら、あのテーブルにも荷物が置いてあるでしょ?」
確かに、よく見るとバッグや上着などが椅子にかかっています。
夫はまだ納得しきれていない様子でしたが、私は「ま、そういうことなら」と、食事をそうそうに切り上げ、下に着込んでいた水着にスノーケルギアを装着してデッキへ出ました。
店に着く前から突然降り始めた大雨も小降りになってきています。デッキから階段を降りると、余裕で遠くまで見渡せる透明度の高い海に、黄色やオレンジのカラフルな魚がうようよ。やった、これこれっ!
レストラン前の海に広がるスル・ハ・サンゴ礁は、コスメル島周辺の数あるサンゴ礁の中でもスノーケル・ポイントとして名高く、遠浅で波が穏やかなのでスノーケル初心者やファミリー層向け。しばらく海の癒しの世界を堪能し、デッキでシャワーを浴びて店の中に戻りました。
荷物は無事。スノーケルを終えた夫が、ちゃっかりビールをお代わりしているところでした。つられて私もカクテルを注文。なるほど、ついついレストランに長居してしまう仕組みが出来上がっている? 風変わりなサービスですが、レストランビジネスとしてありかもしれません。デッキではマッサージなどのスパ・トリートメントも提供していました。
トゥルム遺跡と聖なる泉を巡る
プラヤデルカルメンから車で1時間ほど南下すると、リゾート開発が進むトゥルムの街に到着。2023年12月に新空港ができたばかりで、北米各地から直行便も運航するなど注目度は抜群です。特にトゥルム・ビーチ沿いの新ホテル・ゾーンは、映えスポットとしてSNSで騒がれています。
この地はもともと、マヤ文明期に港湾都市として栄えた「トゥルム遺跡」が観光の目玉。遺跡としての価値や規模は、前述のチチェン・イッツァに及ばないかもしれませんが、「マヤ文明の遺跡とカリブ海」という奇跡の組み合わせが人気を呼んでいます。ただ、かなり歩く割に日陰がほぼなく、日焼け対策と水分補給はマストです。遺跡の背後に海を望む最高の映えポイントにたどり着く頃には、誰しも汗だくに。
遺跡から歩ける距離にビーチがあり、遺跡観光後に海でひと泳ぎする人たちも。ビーチも良いのですが、トゥルム周辺まで来たら、「セノーテ」と呼ばれる泉に立ち寄るのがおすすめです。ユカタン半島特有の石灰層が地下水をためて生み出した数千もの泉は、古代マヤ文明を支えた貴重な水源であり、聖なる儀式にも使われていたということです。セノーテでのスノーケルは、ほかにはないリビエラマヤならではの体験。セノーテ観光を含む大型テーマパークも好評です。
実は旅行前、セノーテについて情報収集をしたものの、たくさんあり過ぎて、どこへ行くべきか決めかねていました。セノーテは半地下の洞窟型、太陽光が入らない洞窟型、水路のような「流れるプール」型、開放的でジャンプも可能なオープン型と、大きく4種類に分けられます。どうせなら全種類、制覇したいですよね? 私たちは、トゥルム遺跡で割引チケットを手に入れたセノーテ施設のひとつ、「カーサ・トルトゥーガ」に行ってみることにしました。なんとカーサ・トルトゥーガでは、この4種類すべてを1か所でカバーしているのです。
スノーケルギアやライフジャケット込みなので、手ぶらでOK。ロッカーと更衣室、トイレ、シャワーも完備しています。入場者はグループ分けされ、各セノーテに案内してもらえます。プロのガイドのサポートを受けながら、安全にセノーテに親しめるとあって、家族連れやシニアのカップルの参加も多い印象です。
セノーテの特徴的な翡翠色をした水は、光の具合でさまざまな表情に変化し、自然の神秘を感じます。古代からの石灰層やマングローブの森に囲まれ、ぷかぷか浮かぶ時間は、まさに非日常。透明度が高く、スノーケルで水の底を観察すると、白っぽい小魚の群れをあちこちに確認できました。闇の中を泳ぎ進む洞窟ではコウモリの姿も。残念ながらカメは見られませんでした。
オプションでカヤックやジップラインなどのアクティビティーも追加できます。初めてのセノーテ体験に、カーサ・トルトゥーガは申し分なしの場所。もしリビエラ・マヤを再訪することがあれば、ほかのセノーテにもぜひ出かけてみたい!
■アマテ38
Calle 38 Norte entre, 5 Av. Nte. y, Gonzalo Guerrero, 77710 Playa del Carmen, Quintana Roo, Mexico
https://amate38.com
■マネー・バー・ビーチ・クラブ
Zona Hotelera Sur,Km. 6.5, Cozumel, Quintana Roo, Mexico
https://www.moneybarbeachclub.com
■ビー・トゥルム
Tulum Beach, Zona Hotelera, 77780 Tulum, Quintana Roo, Mexico
https://www.betulum.com
■カーサ・トルトゥーガ
Ejido Jacinto Pat, Tulum, Quintana Roo, Mexico
https://cenotescasatortuga.com
アメリカ・シアトル在住。エディター歴20年以上。現地の日系タウン誌編集長職に10年以上。日米のメディアでライフスタイル、カルチャー、旅、海外移住、バイリンガル育児など、多数の記事を執筆・寄稿する傍ら、米企業ウェブサイトを中心に翻訳・コピーライティング業にも従事。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。