毎年山開きが行われる練馬区・北町浅間神社のミニ富士山【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.112】
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    2025.01.15

    毎年山開きが行われる練馬区・北町浅間神社のミニ富士山【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.112】

    毎年山開きが行われる練馬区・北町浅間神社のミニ富士山【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.112】
    東京23区内、特に山手線の内側はビル街や飲食店街、住宅街ばかり。そう思っている人が多いかもしれません。でも、目を凝らせば東京都心にも「山」はあります。そんな東京の山の世界を、日本で唯一のプロハイカーである斉藤正史さんが案内します。

    FILE.112は、練馬区の下練馬の富士塚です。

    第112座目「下練馬の富士塚

    今回の登山口も、東京メトロ平和台駅1番出口です

    東京メトロ平和台駅1番出口登山口。

    今回の山行の目的地は、下練馬の富士塚。最短の登山口=最寄り駅は東武東上線東武練馬駅です。たった3分ほどで到着してしまう駅チカ富士塚です。でも、さすがにそれだと記事の内容も薄くなりそうだし…と思い、周辺の駅を調べて白羽の矢を立てたのが、前回と同じ東京メトロ平和台駅だったのです。

    180年以上前から親しまれてきた練馬区・氷川神社の富士塚【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.111】 | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

    閑静な(静かすぎる)住宅街を抜けて富士塚へ

    前回も触れましたが、平和台には弟が住んでいたので、一時期よく来ていました。懐かしいなと思いつつ、とりあえず、東京メトロ平和台駅1番出口登山口を出発します。

    今回はスーパーマーケットのLIFE平和台店方向へ進んでいきます。すると今まで気づかなかったのですが、交差点に馬頭観音がありました。何か良いネタが見つかりますようにと軽く手を合わせてお祈りし、平和台の都営アパート方向に歩いていきます。せっかくなので環状8号線沿いを歩くのではなく、公園の多そうな都営アパートがたくさん建つ路地に進みます。

    都営アパートの給水塔、なかなか素敵です。

    公園もある綺麗な住宅街を進みます。

    静かな緑の多い路地で、都営アパートの間を通るのですが、これといった気を引く建物もお店も何もありません。何かないかと公園を覗いても普通に遊具があるだけです。歩くには気持ちの良い場所なのですが、記事で紹介するとなると話は別です。さて、どうしたものかと考えながら歩いていきます。

    一つ入った路地を進んでいくと、大きな敷地の壁にぶつかりました。その壁沿いに環状8号線へ進んでいきます。随分大きな敷地だなと思っていると、なんと、ここは練馬駐屯地だったのです。

    なんてことない塀、と思いきや、陸上自衛隊の練馬駐屯地でした。

    住宅街に突如現れた練馬駐屯地。ここは陸上自衛隊の駐屯地です。調べると、第一師団司令部、第1普通科連隊、第1後方支援隊、第1通信隊、第1特殊武器防護隊、第1師団指令部付隊、第1音楽隊、第126地区警務隊、第338会計隊、第316基地通信中隊、東部情報保全隊練馬情報保全派遣隊、練馬駐屯地業務隊、自衛隊東京地方協力本部と、私たちには全く分からないほどの部隊が活動しているようです。

    また、練馬駐屯地では、平成7年以降は、地下鉄サリン事件や阪神淡路大震災・東日本大震災を始めとする数多くの震災派遣活動をしているようです。

    練馬駐屯地の敷地は広いらしく、かなりの距離を壁沿いに歩くことになりました。ただ、さほど壁は高くなく、有刺鉄線も見受けられないので、なんとなく住宅地を意識して作られているのかなと思いました。

    練馬駐屯地を越えると、交通量の多い現川越街道を越え、再び住宅街へと向かっていきます。

    環状8号線をそのまま進んでいくと、旧川越街道にぶつかりました。すると道路の中央部に下練馬の大山道道標が見えてきます。大山は、神奈川県中部にある山で、富士・日光・筑波とともに関東の霊場として知られ、山頂に大権現がまつられています。

    この大山への道は、大山道と呼ばれ、石神井、保谷、田無、府中を経て神奈川県の伊勢原へ通じていたそうです。なるほど、それで北区や板橋区、練馬区で大山という地名を見かけるのですね。名前に「山」があるからといって、そこに山があるわけでもなさそうです。

    大山道の道標。

    旧川越街道の通り沿いは、現在、北一商店街として発展していて多様な興味深いお店が軒を連ねています。その中に、たい焼き・たこ焼き「大黒屋」を発見。地域の人々に愛される昔ながらの温かみ溢れるお店のようです。かりっ、ふわっ、尻尾まであんこが入っているたい焼きは、ボリュームも満点。周りにみみがついているのもいいですね!

    たい焼き・たこ焼き「大黒屋」。

    もう1軒、気になったのが「オーロール北町店」。昭和レトロな外観の、昔ながらのパン屋さんで地域の方々に愛されるお店です。人気NO1は白身魚のフライ。そしてお店の看板メニューは塩パンだそうです。営業時間が6:00〜14:30です。僕がのぞいた時は、ほぼ売り切れでした。

    「オーロール北町店」。

    その「オーロール北町店」のすぐそばに、今回の目的地である北町浅間神社がありました。

    目的地の神社&富士塚に到着

    北町浅間神社

    北町浅間神社の創建は明らかにはなっていませんが、明治前時代に築かれたと伝えられています。しかし、敷地内には江戸時代に築かれたと言われる富士塚があります。

    江戸時代中ごろから昭和初めごろにかけて、各地にはさまざまな講があり、「江戸八百八講(はっぴやくやこう)」と言われるほどでした。

    現在の練馬区内にも、富士山や神奈川の大山に詣でる富士講や大山講といった山岳信仰者の集まりがたくさんあったそうです。この北町浅間神社周辺は、宿場町でもあり、街道筋ですので、創建以前から何らかの庶民信仰がこの地であったのかもしれません。

    北町浅間神社。

    下練馬の富士塚

    下練馬の富士塚は、高さが約5メートル、径が約15メートルあります。下練馬上宿(かみじゅく)、中宿(なかじゅく)の丸吉講によって、江戸時代に築かれたものと考えられているそうです。1872(明治5)年と1927(昭和2)年に修復工事を行ったそうで、現在でも町会の有志により、7月1日に山開きが開催されているそうです。

    北町浅間神社の創建より古くからあると考えられる、この富士塚。江戸時代から数度の修復を経て現在に至っているという歴史を踏まえると、高さ5メートルほどの富士山(塚)が偉大なものに感じられます。そして、山頂に登ってかつての宿場町を見下ろすと、何やらロマンを感じるのでした。

    整備が行き届き、とても趣のある下練馬の富士塚。

    次回は練馬区の江古田富士です

     ※今回紹介したルートを登った(歩いた)様子は、動画でもご覧いただけます。

    私が書きました!
    プロハイカー
    斉藤正史
    2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。最新情報はブログを。

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