子どもたちにたくましく生きる力を。 パルパーク第1号山田緑地で、さま ざまな木の体験を子どもたちに提供 するボランティア講座が開かれた !
公園からニッポンを変えよう! パルパーク・プロジェクト第38回 特報
ギコギコギコ……。 静かな森にのこぎりの音の合奏が響いている。木を切っているのは、“森の焚たき人”と呼ばれ、子どもたちに焚き火を教えるボランティアだ。
山田緑地とビーパルがタッグを組んでから迎える6度目の冬。これまで焚き火場を作り、森の焚き人を養成し、定期的に焚き火イベントを開いてきた。その集大成として、森から出た間伐材を焚き火だけでなく“遊び”にも活用できるようになってもらおうというのが今年のテーマだ。
森も人も循環するパルパーク
「キーワードは森の再生・維持・活用。山田緑地はもともと里山でしたが、長い間放置されていました。森林を循環させ里山を再生するためには、森に手を入れ、木と関わることが大切です。木を切る、切った木を運ぶ、割る、燃やす、工作する……。それらを遊びとして子どもたちと一緒に楽しめるようになれたらいいなと思うんです」(長谷部雅一さん)
1日目は間伐された木の運び出し。そして、チェーンソー、のこぎり、斧、鉈、キンドリングクラッカー、ハンドドリルといった道具の使い方を学びながら、木を玉切りにし、割り、削り、スツールを作る。
固いコブがなかなか割れない、曲がっていたり、太さが一様でないため上手に加工できないなど苦戦するスタッフに、「木は人間と同じで一本一本に個性があります。一期一会を楽しんでくださいね」と長谷部さん。
夢中で遊んでいるうちに、いつの間にか太陽が山の端に隠れていた。
2日目は、イベントに参加した親子に楽しさを伝える番だ。「自分で木を割って焚き火にくべてみましょう。あったかいよ」「その火でマシュマロを焼こうか」 焚き人は来園した親子と一緒に木で遊んだ。
初めてのこぎりを握った子どもたちは顔を上気させて、「切れた!」。そんなわが子を見て、「次は焚き人養成講座に参加しよう」と目を輝かせるお父さんもいる。
山田緑地のパルパーク――森も人も未来につながる循環が始まった。
※構成・文/鍋田吉郎 撮影/江藤大作