【佐藤ジョアナ玲子のアマゾン旅 vol.24】巨大魚を狙え!ワニが潜む深夜のアマゾン川で人生初のモリ突きに挑戦
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    2025.01.25

    【佐藤ジョアナ玲子のアマゾン旅 vol.24】巨大魚を狙え!ワニが潜む深夜のアマゾン川で人生初のモリ突きに挑戦

    【佐藤ジョアナ玲子のアマゾン旅 vol.24】巨大魚を狙え!ワニが潜む深夜のアマゾン川で人生初のモリ突きに挑戦
    これはブラジル、アマゾン流域の民族工芸品。小さなお面に施された歯を見て、なんだか見覚えがあると思ったら、ピラニアの歯を使った工芸品でした。

    アマゾンといえばピラニア。だけど今回は大物を狙ってモリ突きに挑戦します!

    ペーニャってなに?

    ウミリトゥバ村の朝

    ウミリトゥバ村の朝の風景。

    ピラニア釣りに出かけた川で迷って、最終的に辿り着いた知らない村。名前はウミリトゥバ村。とある家庭にしばらく居候させていただけることになりました。

    ハンモックに揺られながら迎えた朝、その家のお母さんに「ペーニャ!ペーニャ!」と言われて起こされました。えっ、ペーニャってなに?いわれるがままに外へついて行くと、粘土みたいな窯の上には、薪の炎で熱された巨大な鍋。なかには大量のニワトリの羽がありました。どうやらペーニャとは、ニワトリの羽のことらしいのです。

    焦げないように木の棒でかき混ぜながら、羽を乾かします。もちろんこれは食べ物ではありませんが、一家の収入を支える仕事のひとつ。民族工芸品などの手芸材料を作っているのです。

    ペーニャの選別作業をする人

    ペーニャの選別作業。

    乾かしたペーニャは色や形ごとに分けて、染められるものは赤や黄色など鮮やかな色に染めて出荷します。アマゾンの村の生活は、私たちの日常では見ることがない仕事で成り立っているのです。

    魚は釣るんじゃない、突くんだ!

    手作りの家

    魚突きに誘ってくれたお兄さんの自宅は、手作りでした。

    この村に着いてすぐ、現地の方から意外な事実を教えられました。村の大人は、魚釣りはしないらしいのです。釣りは子供か観光客がやることで、普通は網を張るか、大きな魚を狙ってモリ突きをするとのこと。丁度、その夜、モリ突きに出かける予定があるという方がいて、私も同行させてもらえることになりました。

    モリを持つ筆者

    モリを持つ私。

    これが漁で使用するモリ。魚を刺したら抜けないように、立派な返しがついています。

    モリの手入れをする人

    暗くなってからのモリの手入れは懐中電灯が必須。

    モリがしっかり刺さるように、ヤスリで研いでから漁に出ます。持って行くモリは取っ手の棒が木でできた大きなものが一本と、やや小ぶりな竹のものが一本。この材質の違いによる利便性は、あとで漁に出たときにわかりました。

    竹は軽いから放ちやすいし、魚に刺さったあとにモリから手を放しても、竹の棒が真っすぐ水面に浮かぶので獲物を見逃しません。

    モリ突きへ出かける舟

    モリ突きへ出発!

    モリ突きに使うのは左にある木製の小さなカヌー。不安定なカヌーに乗ったままモリを放つのは難しそう。

    最初の獲物は小さなワニ

    早速捕まえた小さなワニ

    早速捕まえたワニ。

    夜の水辺は真っ暗。でも、ちょっぴり光もあるんです。空を見れば、直線で10kmほど離れたところにあるアマゾン川流域最大の都市マナウスから届く都会のビルの灯りがありました。マナウスの方向だけ、空がほんの少し明るいのです。

    そして水面をよく観察すると、弱い点のような明かりがポツポツ浮かんでいました。その正体はホタル、もしくはワニ。夜行性のワニの目は、ライトを照らすと水面でキラッと光るのです。それはまるで、星空が水面におりてきたみたいな幻想的な夜。だけどその正体はワニ。

    ワニといっても巨大人食いワニで知られるクロコダイルではなくカイマンという種類。大人ではなくまだ子供の小さなカイマンです。お母さんカイマンが文字通り目を光らせていないか、やや不安になりますが、もう親離れしたのか、あちこちに小さなカイマンが散らばっていました。

    バッと手を出せば捕まえられるけれど、この村ではカイマンを食べる習慣はないそう。小さくて食べ応えがないものより、水中に潜む大きなお魚の方が美味しいからかもしれません。

    初めてのモリ突きで魚をしとめる

    モリ突きに成功した筆者

    モリ突きに成功した私。

    モリ突きに挑戦する前に、まずは地元の方のお手本を見学。水中を強いライトで照らすと水が透けて、魚影が見えます。それをモリで突くのです。

    ここはアマゾン川とネグロ川が合流するあたり。アマゾン川の水は茶色くて、ネグロ川は黒い色をしています。少し場所を変えるだけで、どちらの水が流れているのかが変わります。夜の漁で魚影がよく見えるのは意外にもネグロ川系の水。昼間は色が濃いネグロ川ですが、濁りは薄く、水中が透けて見えやすいのです。

    モリ突きに挑戦するのは人生初。魚の頭を狙ってエイやと放ったらギリギリで体に刺さりました。逃げるときに頭から進もうとしたせいなのか、それとも水面の光の屈折の関係で目視の狙いが逸れたのか、そもそも私が投げるのが下手くそなのか。とにかく刺さったから、結果オーライ!

    鋭い歯を持つ魚

    魚に噛まれないように注意。

    私がゲットしたお魚は、現地では「トライーラ」と呼ばれていましたが、調べてみると「タライロン」が一般的な名称のようです。

    「気をつけて、その魚、噛むから!」と言われて口を見たらピラニアも真っ青の鋭い歯がありました。

    ちなみに、この村でモリ突きの漁ができるのは夜の7時から9時ごろまで。この時間帯は、魚が水中の木の根の間の浅いところで休憩をしているから、突きやすいのだとか。夜9時以降になると魚は夜間の活動を始めてしまうので突くのは至難の業。

    獲った魚は美味しくいただきます

    モリで獲った魚

    モリ突きの成果。

    タライロン一匹しか成果がなかった私ですが、地元の方はモリを放てばほとんど百発百中で仕留めていきました。2時間弱で、この成果。

    上の写真の中央にいる立派な魚はトクナレ。巨大に育つピーコックバスの一種で、世界中から熱狂的な釣り好きがこれを狙ってアマゾンにやって来るという夢のお魚ですが、地元の方は釣り竿では狙わないそう。

    地元の方曰く、アマゾンの美味しい怪魚は、トクナレ、ピラルク、タンバキの3種類。今回モリ突きに参加させてくれた方の奥様の好物はトクナレ。トクナレは、カウデラーダというスープにすると絶品なのだそうです。

    トクナレは絶品スープに

    新鮮な魚で夜食を作ってもらう

    新鮮な魚で夜食を作ってもらうことに。

    魚を捌くのは旦那さん、野菜類を準備するのは奥様のファチマさんです。

    新鮮なトクナレ

    身が透き通るように新鮮なトクナレ。

    トクナレはブツ切りにして、鍋で茹でます。

    鍋で野菜を炒める

    年季の入った鍋で野菜を炒めます。

    魚に火が通る前に、別の鍋に油を入れて、玉ねぎやトマト、ニンニクなどの野菜を炒めます。

    カウデラーダの味を決める香辛料と香味野菜

    カウデラーダの味を決める香辛料と香味野菜。

    炒めた野菜に加えるのは、香味野菜と香辛料。赤い色のコロウラと、茶色のピメンタが味の決め手。これらをトクナレと一緒に煮込めば、カウデラーダというスープの完成です。とにかく美味い。体に染みます。もしウミリトゥバ村を訪ねることがあれば、是非ご賞味あれ!

    日本でもお馴染みのアロワナは、フライにしていただきます

    アロワナ

    一番下がアロワナ。

    日本では熱帯魚でおなじみのアロワナですが、アマゾン川流域では一般的な食材です。

    小さなアロワナ

    今回のアロワナはかなり小ぶり。

    ただし、アロワナやピラルクなどの大物は川底近くの深い場所にいることが多いため、モリで狙うなら乾季が進んで水深が浅くなったころが良いのだとか。というわけで、今回のアロワナはかなり小ぶり。

    待てば大きく育つから、普段ならあえて仕留めないサイズだそうですが、今回は私に食べさせるために特別に仕留めてくれました。

    アロワナのフライ

    アロワナのフライ。小骨が多いので、食べるときに無言になってしまう。

    うーん 美味しい。 身がホクホクで、モグモグが止まらない。アマゾンのお魚、サイコー!

    次回は漁に引き続きファチマさんの自宅で農業体験をした話。畑の食べ物を紹介します。

    私が書きました!
    建築学生
    佐藤ジョアナ玲子
    フォールディングカヤックで世界を旅する元剥製師。著書『ホームレス女子大生川を下る』(報知新聞社刊)で、第七回斎藤茂太賞を受賞。中日新聞の教育コラム「EYES」に連載。ニュージーランドとアメリカでの生活を経て、現在はハンガリーで廃材から建てた家に住みながら建築大学に通っている。

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