火星が地球に接近ほか…1月、3月、9月は見逃せない!2025年に押さえたい注目の天文現象3選
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    2025.01.03

    火星が地球に接近ほか…1月、3月、9月は見逃せない!2025年に押さえたい注目の天文現象3選

    火星が地球に接近ほか…1月、3月、9月は見逃せない!2025年に押さえたい注目の天文現象3選
    肉眼で見える紫金山・アトラス彗星に湧いた2024年。年が明けて、今年はどんな天文現象が見られるのでしょうか。「土星の環の消失」など、2025年の天文現象の見どころを紹介します。

     火星が最接近する1月中旬、いつも以上にキラキラの冬の夜空

    夜空に輝く赤い惑星、火星が、2025年早々、地球に接近します。もっとも近づくのは1月12日です。

    火星は687日かけて太陽を一周(公転)しています。地球は365日ですね。約780日かけて、地球は火星に追いつき、追い越します。この時、火星と地球が最接近するわけです。

    ただ、火星の軌道は楕円形を描いているため、最接近といっても、いつも同じ距離ではありません。

    2016年〜2035年 最接近時の地球と火星の距離(画像:国立天文台 *2020年時作成)

    上の図のように、近年の最接近の中では、2018年の5,759キロメートルが、地球と火星の距離が最小です。前回2022年の最接近は8,145キロメートル。そして今年2025年は9,608キロメートルですから、最接近といっても控えめな近づき方です。

    見どころは冬の星座との共演です。  

    1月半ばの南の空。キラキラの冬の星たちに木星と火星が加わり、さらに豪華な冬の空が見られます。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    こちら1月半ばの南の空です。ただでさえ1等星の多い冬の空に、マイナス1.4等級まで明るくなった火星が加わります。

    ただ、すぐ近くに全天でいちばん明るい恒星、おおいぬ座のシリウスが青白く輝いています。シリウスの光度はマイナス1.46等級。最接近中の火星ではありますが、僅差でシリウスに負けています。おまけに、おうし座の方には木星がギンギラに輝いています。木星の光度はマイナス2.6等級。というわけで、かなり明るくなっている火星ですが、冬の豪華な星たちの中にあって主役とまでは呼べないかもしれません。

    とはいえ、注目は、ふたご座の1等星ポルックスと、2等星カストルの兄弟星に並んでいるところです。黄色っぽいポルックス、青っぽいカストル、そして赤い火星が並んでまるで信号機のようなカラフルさです。

    ふたご座を離れる春以降も、火星はかに座の中に入っていってプレセペ星団との共演も見せてくれます。

    2025年、すばるが4回も月に隠される

    すばるの和名で知られるプレアデス星団は、冬の星座おうし座の肩のあたりで瞬く星団です。今年は、プレアデス星団と月の通り道「白道」(はくどう)重なるため、月に隠されるプレアデス星団食が4回も起こります。35日、816日〜17日、116日〜7日、1231日です。プレアデス星団食は、実は2024年の1214日にも起きたばかりです。

    なぜこれほど、ひんぱんに起きるのでしょうか。月の通り道「白道」は太陽の通り道「黄道」(こうどう)対して約5度の傾きを保ちながら、約18.6年周期で動いています。プレアデス星団は、黄道上にはないものの、比較的近いところにあるので、約18年ごとに白道と重なります。その時期は1年に何回も月がプレアデス星団を隠すようになり、2025年もまさにそのシーズンに当たるわけです。

    4回のうち、特におすすめは35日です。月齢6の上弦少し前の月の影に、プレアデスの星々が次々と隠されていきます。視力に絶対の自信のある人なら肉眼で見られるかもしれませんが、そうでなければ双眼鏡で観測することをおすすめします。

    3月5日22時ごろから、西北西の空でプレアデス星団が月の影の部分に潜入していく。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    次に、816日の22時半ごろから始まるプレアデス星団食は、月齢23の下限の月に隠されます。こちらは月の明るい方から潜入して、月の影から出現します。

     星団に限らず、食現象の見どころは月の影に天体がさしかかる時です。暗い所に星が消えてしまう瞬間も、暗い所から出現する瞬間もドキドキします。

    なお、116日〜7日にかけてのプレアデス星団食は月齢16の満月直後なので、影の部分がほとんどありません。1231日の22時ごろの食は、月齢11でやはり影の部分は小さいです。なので、おすすめは35日と816日〜17日。上弦前と下弦の月、それぞれの食をお楽しみください。

    9月8日の未明、全国的に皆既月食

    2025年の最大の天文アトラクションは、9月8日の未明に起こる皆既月食です。全国的に見られます。昨年は一度も皆既月食はありませんでしたね。久しぶりに赤銅色の月にお目にかかれそうです。

    皆既月食は、太陽地球満月が一直線に並び、地球の影に月が入っていくときに起きます。影に入った月は、暗くなりながらうっすらと見えています。そのときの色が、よく「赤銅(しゃくどう)色」と表現されますが、赤みを帯びた黒というか、黒っぽい赤というか、なんとも神秘的な色になります。これは、地球の大気を通過していく太陽光が月の表面に当たっているからです。

    東京の最大時の皆既月食。月はみずがめ座の中にあり、近くのペガスス座やアンドロメダ座も見ごろに。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)>

    東京では、9月8日の0時過ぎから始まります。1時過ぎに欠け始め、2時30分ごろから皆既月食が始まります。だんだんと赤銅色を帯びていきます。

    皆既の終わりは3時53分。真夜中、1時間半ほど、ゆっくりと皆既月食が楽しめます。

    皆既月食中、夜空はいちだんと暗くなります。この時間帯、南西の空に架かるのは秋の星座です、ペガスス座、アンドロメダ座を探すチャンスです。皆既中の月の近くにある明るい星は土星、その南には、みなみうお座の1等星、フォーマルハウトが光ります。そして東の空にはすでにおうし座やオリオン座が高く昇っています! 9月はじめの未明の空をお楽しみください。

    構成/佐藤恵菜

    私がガイドしました!
    星空案内人
    廣瀬匠
    星空案内人 天文系ライター。株式会社アストロアーツで天文ニュースの編集などに携わる。天文学の歴史も研究していて、パリ第7大学で古代インドの天文学を 扱った論文で博士号を取得。星のソムリエ®の資格を持つ案内人でもある。アストロアーツより、宇宙の不思議に出会うモバイルアプリ「星空ナビ」が好評発売中。

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