
なかでも下水道の被害は、人間のQOLに大きく影響するトイレが使用できなくなるため、避難生活をさらにつらいものにしてしまいます。
山善では防災士の資格を持つ社員を中心に、手頃な価格の防災グッズを開発。2024年末の最新作は、リアルな使用状況に合わせた個数をセットにした防災トイレです。
消防団員の経験から防災グッズの開発に生かす
山善で防災製品の商品企画を担当している小浜成章さんは、防災士の資格を持っています。
小浜さんの出身地である大阪府下の唯一の村、千早赤阪村は高齢化が進み、住人が避難所に向かうのも大変な状況。そんな高齢者の方に「避難の準備は何かしていますか?」と聞いてみると、ほとんどの方がなにもしていなかったといいます。
「せっかく防災用品を作るならば、今まで準備されてない方がお求めやすい価格の商品をご提供できたらいいなと考えました。
たまたまその時に、低価格帯の商品開発が実現できるメーカーさんとご縁があったこと。そして、ホームセンターでどんな商品がいいのかリサーチしていたときに、飴の詰め放題ゲームのようなものに挑戦している親子連れを見て、『必要なものをいっぱい入れて販売したら、お客さんにもわかりやすいし、安く買えるんじゃないか』と思いついて作ったのが最初の防災バッグでした」(山善 小浜さん)

プレゼンテーションをする山善の小浜成章さん。
山善が初めて防災バッグを発売したのが、2016年11月。30品目がセットになったわかりやすさと発売当時3,980円という手に取りやすい価格設定もあり、累計170万個を販売するヒット商品となりました(現在は4,800円・税込)。

現在はより運びやすいようにキャリーケースとしても使えるリュックに入った「リュック&キャリー型防災グッズ30点セット」(7,980円・税込)も展開しています。
防災用トイレは1人当たり1日5回×避難日数分を目安に備えたい
防災セットの次の商品開発として取り組んだのがトイレ。
こちらも防災バッグ同様に、防災グッズとして用意している人はまだ少ない商品です。今後、南海トラフ地震の対策などで需要は見込まれていますが、ホームセンターなどで現状販売されている商品は5回、10回分程度。
しかし、小浜さんによると実際には、1人当たり1日5回×10日間となると50回分は必要だといいます。そこに家族4人分となるとその4倍。家庭の防災用トイレとしてしっかり用意するには、かなりの数が必要となります。
そこで、山善では2024年12月に新商品として「緊急簡易トイレ 50回用」、「緊急簡易トイレ 100回用」を発売。それぞれ2,980円と4,980円(いずれも税込価格)と、資材調達を直接海外から行うことで安価な価格設定を実現。100回用ならば、1回あたり55円と使用コストをぐっと安くしています。
1箱には凝固剤と汚物袋、家庭用便器につけて使う便座カバー、処理袋がセットになっています。

「緊急簡易トイレ 50回用」と「緊急簡易トイレ 100回用」。コンパクトサイズで、100回用で小型の湯沸かしポット程度であまりスペースを取りません。

使用方法はパッケージ裏に記載。

凝固剤は多めの10g。アルミ加工されたパッケージに入っているので、長期保存にも対応。

凝固剤を入れて水分を固めた状態。

汚物袋は便器を覆って中に直接排泄、その上から凝固剤をかけ、口を閉じます。
折りたためる便器タイプのトイレも発売
災害時に限らず、アウトドアレジャーなど、トイレを自分で準備しなくてはならないニーズに向けて、トイレは様々なタイプが販売されています。もちろん、バケツなどで代用することはできますが、しっかり便座に座ったほうが安定していいですよね。
山善でもこれまでにレジャー用の折りたたみ椅子に穴が空いたタイプや段ボール製で組み立てるタイプ、プラスチック製のものなど様々なタイプを発売しています。そのラインナップに新たに加わった「防災士監修 サッと簡単トイレ」は、安定感のあるプラスチック製でありながら、省スペース収納できるタイプ。

「防災士監修 サッと簡単トイレ」3,980円(税込)。写真左が折りたたんだ状態。
こちらには本体に加えて、便器、収納バッグ、汚物袋×12枚、処理袋×2枚、凝固剤×12個が付属しています。

蓋をあげると折り畳まれている脚部分が収納されています。

レジャー用の折りたたみ椅子タイプの製品と比較すると安定感の差を感じます。
能登半島地震直後には被災地以外の地域の在庫も消えたといわれる防災用トイレ。いざという時の備えとしてだけでなく、アウトドア活動の一助としても備えておきたいアイテムではないでしょうか。
山善公式通販サイト https://yamazenbizcom.jp/