ビギナーでも安心!スニーカーでのんびりバードウォッチング
神奈川県の水がめとしての役割を担う宮ヶ瀬ダムは、2001年(平成13)に竣工した首都圏でも最大級のダム。相模川の支流、中津川の上流に位置し、丹沢山地とつながる周囲の山々には多くの命を育む森が広がっています。
この宮ヶ瀬湖の北西部の湖岸に沿って早戸川林道があります。林道といっても舗装されているので普通の靴で歩けます。また、通常は管理用の車両等以外は通行できないため、車を気にせずのんびり野鳥を観察できます。夏季の丹沢周辺は山林の土壌や道路上の湿った土にヤマビルが潜んでいることがありますが、この時期はその心配もありません。
冬の早戸川林道で見つけたカワイイ鳥たち
トイレや飲食店などもある宮ヶ瀬園地そばの林道の入り口から約5km先の早戸川橋を目指して歩いてみましょう。
ルリビタキ
歩き始めてすぐの小さな沢に差し掛かると、この辺りで「ケケケケ」と囁くように、あるいは「ヒッ、ヒッ、ヒッ」とややもの悲しげに鳴くルリビタキの声が聞こえてくることがあります。
斜面の薮の中や沢の水たまりの周りの地面に目を凝らしてみましょう。ルリビタキのオスの特徴は水色〜青色の羽毛ですが、遠くから見るとそれほど目立ちません。まずは地鳴きの声で確認しつつ、姿を探してみましょう。
ウソ
林道で野鳥を探す時は、山側と湖岸側両方の斜面に生えている樹木の実に注意しながら歩いて行きます。フサザクラやウツギの実を静かに食べている頭が黒っぽい鳥がいます。これはウソという鳥です。
オスの首元はほんのりピンク色をしています。食事が終わると「ヒー、ヒー」と口笛の音のように鳴くこともあります。色もそうですが、丸っこい体型が可愛らしく、人気の野鳥です。
ベニマシコ
汁垂(しるたれ)橋と汁垂トンネルを通り、林道に午後の日差しが当たる辺りに来ると、斜面にカメラを向けている人たちの姿が見られることがあります。こんな光景に出合ったら、それはベニマシコという鳥がいる可能性が高いです。
ベニマシコは漢字で「紅猿子」と書きます。体もほんのり赤いのですが、正面から見た顔はその名の通りお猿さんにそっくりです。
ベニマシコは林道沿いに多く生えるカラムシなどの小さな実を食べ、その後、湖などで水を飲んで再び林道に上がってくる、という動きを繰り返しています。姿が見えなくても待っていると「フィッ、フィッ」という尻上がりの小さな鳴き声とともに現れることがあります。春先になると木々の芽も食べるようになります。
ヤマセミ
焦茶色のトラスが目印の金沢橋まで歩いてきました。ここでは、運が良ければ眼下の湖面の立枯れた木にヤマセミが止まっていることがあります。
ただ、とても神経質で警戒心の強い鳥なので、なるべく人間の姿を見せぬよう注意しましょう。大声を出したりや体を大きく動かしたり、といったことも避けたいものです。
金沢橋から早戸川橋までの間も、樹木の実や湖に流れ込む水の枯れた沢などを注意深く観察しながら歩いてみましょう。
林道で野鳥に出合うコツは?
こうして林道を歩いて観察をすると分かってくるのは、野鳥たちは餌となる草木の実と飲み水のある場所に現れる、ということです。実のなる植物には様々な種類があり、鳥たちは熟した状態やその時期によって食べるものを変えているようです
野鳥たちが食べている実や植物のことや草木が生えている場所を覚えておくと、次回も会える確率が高くなるでしょう
最初はその知識がなくても、現場で他の観察者に聞いてみるとどんな場所に野鳥が現れるのか教えてくれるものです。野鳥たちは地面に落ちた実を食べていることもあるので、林道を歩く際は見えないカーブの先にいるかもしれない鳥たちのことを想像しながら、驚かさないよう静かに歩を進めましょう。
また、同じ野鳥を複数の人と一緒に観察する際はマナーにも気を遣いましょう。すでに特定の野鳥を観察している人がいる時は、その人の前に出たり音を立てて駆け寄ったりしてはいけません。その人はゆっくり時間をかけて野鳥との距離を詰めて近寄っている場合があるからです。
宮ヶ瀬湖周辺でこんな野鳥にも出合えるかも?
マヒワ
アトリ
ノスリ
カヤクグリ
※写真はすべて現地、早戸川林道で撮影したものです。
または、JR横浜線、京王相模原線の橋本駅北口から鳥居原ふれあいの館行きバス(橋07)で約44分、終点の「鳥居原ふれあいの館」下車、林道まで徒歩約40分。
トイレは宮ケ瀬園地の水の郷駐車場や、林道のゲートそばの小中沢駐車場付近にある。