もちろんその振れ幅は車種によって変わってくるが、フィアット・ドブロは欧州製であることを実感させてくれる最右翼。このたび小改良が施されたので、紹介しよう。
欧州製ミニバンの魅力
フィアット・ドブロってどんなクルマ?
ユーロパレットと呼ばれる欧州規格の物流トレーに合わせて設計された荷室をもつドブロは、そのため車体の中央から後ろが四角い形をしている。前方部分は一般的な長さのボンネットが付き、スタイリングの印象からして日本の箱型ミニバンとは一線を画している。
日本では2023年から2列5人乗りの「ドブロ」と3列7人乗りの「ドブロマキシ」が販売中で、いずれも1.5リッターの4気筒ディーゼルターボエンジンを積む。駆動方式は前輪駆動のみだ。
2024年12月にはマイナーチェンジが敢行され、新たにLEDヘッドライトやグロス(艶あり)ブラックのサイドバンパーを採用。また、運転支援機能もアップデート。ミリ波レーダーが追加され、ACC(アダプティブクルーズコントロール)の性能が向上し、停止後3秒以内の再発進が可能となったほか、ドライバー任意の位置で車線内のポジションを維持するレーンポジショニングアシストを新たに追加。さらにクルーズコントロール&スピードリミッターのスイッチ位置を、従来のステアリングコラムからステアリング上に変更したことで、より直感的な操作が可能となっている。
積むだけでなく走っても最高に気持ちいい
アウトドア的観点で選ぶなら、断然ドブロマキシだ。5人乗りタイプよりも36.5センチ長い車体は見た目のバランスがいいうえ、2~3列目シートをたためば大人ふたりが快適に車中泊できる広さに。もちろん積載においてもいうことなし。開口部からスクエアな荷室は積みやすく、荷物がかなりの量になってもバックドアのガラスハッチから出し入れができ、雪崩防止にもなる。さらに自転車を立てたまま積めるので、トランスポーターとしても優秀だ。
特筆すべきはシート。2、3列目ともに独立座席でアレンジがしやすいだけでなく、体をしっかりと支えて座り心地も優秀。ほどよく粘る足回りと相まって、どの席に座っても心地いい。椅子文化が長く、石畳や荒れた舗装、未舗装路などさまざまな路面を走る欧州で育まれたドブロの乗り味は、同乗者にも受け入れられること間違いなし。進化した運転支援機能と併せ、キャンプや旅でロングドライブを楽しみたいファミリーにもおすすめだ。
一方で、スライドドアは手動開閉式となっており、子育てママの普段使いに配慮した日本のミニバンに慣れたユーザーには、物足りなさを感じるかもしれない。だが見方を変えれば、圧倒的な積載量と長く乗るほどありがたみを実感できるドブロは、日常の範囲内から抜け出す可能性を秘めているともいえる。1台で日常と非日常をカバーしながら、目線はあくまでもフィールドに。そんなアウトドアズパーソンにとってはとても魅力的なクルマであり、質実剛健なつくりはアウトドアギアにも通じる愛着にもつながる。
デザインから伝わる魅力もある。ベーシックでありながら、そこはかとなく漂う洒落感は、工業製品においても芸術性をおろそかにしないイタリアのものづくりのたまもの。ソト遊びの連続で外装に土やほこりが付いていても室内をきれいに保っておけば、実に様になる。ドブロはそんなクルマだ。
FIAT DOBLO MAXI
- ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,770×1,850×1,845mm
- 車両重量:1,660kg
- 駆動方式:2WD
- トランスミッション:8速AT
- エンジン:1.5リッター直列4気筒ディーゼルターボ
- 最高出力:96kW(130PS)/3,750rpm
- 最大トルク:300Nm/1,750rpm
- 車両本体価格:¥4,360,000(税込み)
問い合わせ先:
TEL:0120-404-053