これはだーれだ?雪に残った動物の足跡「アニマルトラック」の楽しみ方をプロに教えてもらった
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  • 自然観察・昆虫

    2025.01.23

    これはだーれだ?雪に残った動物の足跡「アニマルトラック」の楽しみ方をプロに教えてもらった

    これはだーれだ?雪に残った動物の足跡「アニマルトラック」の楽しみ方をプロに教えてもらった
    「あれはだーれだ?」「???オオカミですか…」。雪がつもっているからこそ楽しめる冬遊びのひとつが、雪の上に残された動物の足跡「アニマルトラック」だ。

    どんなところで見つかる?どんな天気の日がいい?時間帯は?など、アニマルトラックの楽しみ方を聞いてきた。

    生き物の痕跡が目視できる冬ならではの「アニマルトラック」のすすめ

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    アニマルトラックとは、動物たちが残した足跡のこと。土や砂、雪の上を歩いた跡から特徴を読みとって動物を特定することができる。ただ、深さがある雪上は特定が困難だ。

    ☆☆☆

    「あれは、サルですね。水を飲みにきたのでしょう」

     
    クロスカントリースキーを履いた吉原宜克さんがポールで対岸を指している。その背後には、よろよろ歩くタヌキの足跡。3日間続いた冬型の気圧配置がようやく収まり、青空が広がった午前中。動物たちは一斉に動きだしていた。
     
    これほど生き物の痕跡を目視したり、生態を想像できる自然観察はほかにないだろう。足跡が森へ、川へといくつも延びている。だけど、動物の特定は難しい。泥や砂と違って、雪はもろく、厚みがあるからだ。

    「ゆっくり歩く、速く走る。移動する速さでまったく違う足跡になります。だから雪上のアニマルトラックは同定が非常に難しいんですよ」
     
    それでも吉原さんが「これだ」と断定できるのは、フィールドに出て、距離も時間も長く歩いているからである。吉原さんはアウトドア業界で知る人ぞ知るスキーの名手。半世紀以上にわたって実際に足跡と、動物の姿を同時に見て、同定を続けてきたバックボーンがある。生態に詳しい動物学者であっても、雪山を広く歩いているフィールドワーカーは少ない。これこそ雪上のアニマルトラックが、未開の分野と言われる所以である。
     
    雪深い新潟県妙高高原から内陸へ移動し、長野県戸隠神社へ。

    「ここはウサギがいっぱいいるんですよー」

    しかし、生き物の足跡がひとつもない。撮影日時は、12月初頭。吉原さんによれば、夏毛が白い冬毛にまだ生え変わっていない? とのこと。ひと足早い初雪にドギマギしているウサギの顔が頭に浮かぶ。アニマルトラックは、さまざまな想像を掻き立ててくれる。

    「これは誰でしょう?」

    吉原さんが笑みを浮かべながら出題した。その足跡は、規則正しく等間隔で、大きな動物のようである。ドキッとした。僕が手で突くストックの跡だった。「人間も動物なのだよ」とつぶやく雪の証言が聞こえてきた。

    教えてくれた人&クイズの出題者

    吉原宜克さん

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    1948年生まれ。長野県信濃町を拠点に歩くスキー、カヌー、山菜・キノコ狩りなど一年を通して野遊びを伝える。著書『歩くスキーハイキング』

    アニマルトラックを楽しむポイント

    【道具】動物に近づけるギア

    スキー

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    距離を長く、ラクに歩けるクロカンスキーがおすすめ。足跡を崩すことなく静かに寄れる。

    デジタルカメラ

    現場で動物が特定できなくても家のパソコンで足跡の写真を拡大すれば姿が見えてくることも。

    サングラス

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    晴れた日はとくに目を守るサングラスが必携。さらに偏光レンズであれば、雪の凹凸がよく見える。

    【天候】降雪があった晴れた日に

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    柔らかい新雪は綺麗な足跡を残す。ただ深すぎると鮮明に残らないので適度な降雪が望ましい。日差しがあると陰影がはっきりして見つけやすい。

    【時間帯】気温と太陽が低い午前中

    日中にかけて気温が高くなると、雪が溶けて足跡が不鮮明になる。気温が低いうちの朝がベター。また、太陽が真上にあると足跡の凹凸が見えにくい。

    【場所】水が流れるところへ

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    動物たちは水を飲みに沢筋や沼、湖に集まってくる。観察場所に迷ったら水場へゴー。流れが速く深い川に動物は来ないので近づかないこと。

    足跡だけじゃない! 雪上の自然観察も楽しいぞ

    葉っぱが落ちて、明るくなった冬の森は自然観察の宝庫だ。足元から顔をあげれば、木の上にクマ棚、鳥の巣、樹幹に爪痕などが迎えてくれるだろう。

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    オニグルミの冬芽と葉痕。葉痕はサルにもヒツジにも見える。

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    ミズナラ、ブナなど水分を多く含む大木に寄生するヤドリギ。

    それではここで…雪のアニマルトラッククイズ!

    全問正解した人はスゴいを通り越してハカセ決定! 答えは一番下にあります。

    Q1

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    特徴
    1 縦に2つ、横に2つのT字型。
    2 縦に2つが前足で、横に2つが後ろ足。
    3 ぴょんぴょんと跳ねて進みます。

    Q2

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    特徴
    1 まっすぐ一直線と大きなカーブで歩く。
    2 歩幅が比較的狭いです。
    3 犬に似ているが、爪痕がはっきりと残る。

    Q3

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    特徴
    1 酔っ払いのように左右にふらふら歩きます。
    2 梅の花のような4つの肉球の跡。
    3 爪痕が4つあります。

    Q4

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    特徴
    1 矢印のような足跡。
    2 歩幅の間隔が狭い。
    3 歩く方向は、矢印とは反対方向。

    Q5

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    特徴
    1 前足は横長、後足は縦長。
    2 親指と他4本の指が分かれ人の手に似ている。
    3 群れで移動することが多い。

    Q6

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    特徴
    1 ぴょんぴょん飛び跳ねて移動する。
    2 手足は前後、左右揃えて着地する。
    3 足跡は木の根元で始まり、終わる。

    Q7

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    特徴
    1 お腹を擦った深いスラローム。
    2 副蹄と呼ばれる2本の指が後ろに付く。
    3 地面を荒らした形跡やヌタバが近くにある。

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    おまけQ

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    特徴
    1 棒のような直線上の跡がチラホラ。
    2 雪が降った直後に見られる。
    3 風が強いと幅が広がる。

    答え→Q1 ニホンノウサギ、Q2 キツネ、Q3 タヌキ、Q4 キジ、Q5 ニホンザル、Q6 ニホンリス、Q7 イノシシ、おまけQ 電線です(笑)

    アニマルトラックの3か条

    1 降雪後の晴れた日が狙い目

    2 雪目に注意。紫外線対策を万全に!

    3 動物に人間の食べ物を与えてはいけません

    ※構成/森山伸也 撮影/松井 進(P18)、吉原宜克(P19)

    (BE-PAL 2025年2月号より)

    このほか、さまざま雪遊びをご紹介しています! 内容たっぷりのビーパル2月号をお見逃しなく~。

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    ※一部地域では発売日が異なります。
    ※電子版には特別付録が付きません。

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