星空観察基本の「き」を教えてもらった!
教えてくれた人
星空案内人 後藤修一さん
奥三河☆星空の魅力を伝える会代表。設楽町出身。子供の頃から星空観察にハマり、このエリアを星空の聖地にする活動を続けている。
私たちが観察しました
高松容子さん
詩葉さん
豪汰くん
設楽町在住の元気なファミリーが観察。「今回、教えてもらって星座の形がよく理解できました。素敵だった~!」と容子さん。「流れ星が見られたのが一番かな」と詩葉さん。
国際宇宙ステーションも通過!
冬の夜空に輝く満天の星たち。星の名前がわかったら楽しいだろうな、なんて思ったことはないだろうか。大気中の水蒸気が減少し、明るくて特徴的な探しやすい星がたくさん輝く冬は、星空観察デビューに最高の季節。そこで、はじめの一歩を踏み出すために、星空案内人の後藤修一さんに基本を教えてもらった。
「たくさんの星を見るなら、街の明かりや排気ガスが届きにくい、都市から離れた高原などに行くことをすすめます。標高が上がれば、さらに空気がクリーンになり星にも近づくので、よりきれいに見えるでしょう。ただし、かなり寒いので1枚余分に着るとか、コットと寝袋を持参するなど防寒対策を万全に」
後藤さんは、愛知県奥三河エリアを中心に、年間を通して星空観察会の講師を務めている。今回は、愛知県設楽町にある奥三河総合センターの駐車場で、コツを教えてもらった。
この日は、設楽町に暮らす高松ファミリーが星空観察に初挑戦。明るいうちに下見を済ませ、道具の使い方を一通り教わる。そして、日没直後から天体ショーがスタート。頭上を国際宇宙ステーションISSがすごいスピードで通過。やがてオリオン座が出現すると、続いてふたご座も登場! 冬の大三角に、今しか見られないさらに大きな冬の超大三角まで……。迫力の天体ショーに時間を忘れるほど。
「あれはスバル? きれいに見えるね。星空ってプラネタリウムみたいだ!」と豪汰くん。
「プラネタリウムは、この星空を再現したものだからね。こっちが本物の星空なんだよ」とほほ笑む後藤さん。
この場所は、都市部から離れているため光害が少なく、肉眼でも1~6等星まで眺めることができるという。
「双眼鏡や望遠鏡がなくても、星座早見盤や、星座の位置がわかるアプリがあれば、かなり楽しめます。ライトは、できれば暗めの赤色灯があるといいですね。コツがわからなければ、星空観察会に参加してみるのもありです。ぜひ、冬の間に星空を見上げてみませんか?」
星や星座の名前をひとつ覚えると、それを中心に周りの星座が見えてくる。星の明るさや色の違い、そして流れ星まで、次々と新しい発見が飛び出す。しっかりと防寒対策をして、澄んだ冬空に輝く星を眺めに行こう。
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上の写真で夜空を照らしていた光線の正体がこれ。市販のLEDライトの先に筒を被せ、横からの光漏れをテープなどでふさいだ自作品。
「光線で星を指すことで、どの星を結んで星座になっているかを説明できるので便利です」
安全のために、夜道を照らすライトは必需品。「観察する際に、目に影響しにくい暗めの赤色灯付きがおすすめです」と後藤さん。
STEP 1 肉眼で観察する
暗い場所に出かければ、肉眼でもたくさんの星や星座を観察できる。星空を見る前にライトやスマホを消して、15分以上暗さに目を慣らすのがコツ。徐々に星がたくさん見えてくる。
観察スポットを明るいうちに見つけておく
明るいうちに観察する場所を決めて、そこが安全であるかをチェックしておく。とくに子供と一緒のときは、崖や段差がないかを確認しよう。
星座早見盤を使いこなそう
何月何日の何時に、どの方向に、どんな星座が見えるかを知るための便利な道具が星座早見盤だ。今どきは星座早見アプリもある。
日付が書かれた部分を回転させて、観察する時間と方角を合わせる。するとその時刻に見える星座がわかる。
南を見るときには、「南」と書かれた部分を下にする。南の文字を親指で押さえて空に掲げ、星空と照合する。
肉眼でもバッチリ見えるよ!
★ふたご座
★オリオン座
★冬の大三角
★人工衛星
数時間のうちに、たくさんの星座や流れ星、人工衛星まで観察できた。この冬は、冬の大三角よりも大きな超三角が22年ぶりに出現しているので見逃さないように。
STEP 2 双眼鏡を使ってみよう!
星座や天の川などを鮮明に見るには、双眼鏡が便利。「倍率が高いと手ぶれして見にくいので、倍率は10倍以下がおすすめです!」と後藤さん。
後藤さんは、8倍の双眼鏡を愛用。天体観察専用ではない1万円以下のものでも、使いやすい双眼鏡が多数市販されているという。
目を当てるリングは、メガネをかけた人は引き出して、裸眼の人は収納して使おう。
脇をしめて観察します
イスに座り、脇をしめて肘を体につけるのが基本姿勢。手ぶれを防げ、観察しやすくなる。
目標の星を見るコツ
先に観察する星(この場合は木を例にした)を決めて目視する。
↓
目標を見たまま、目と目標の間に双眼鏡を入れると見つけやすい。
天の川もこのとおり!
双眼鏡を使うと、天の川や月の表面などをハッキリと観察できる。
STEP 3 望遠鏡にも挑戦
「望遠鏡を使うと、木星の縞模様や土星の輪まで観察できます。最初に買うなら、観察したい星を狙いやすい屈折式がおすすめです」。肉眼の50~200倍で観察できる。
★反射式
反射鏡を利用して光を集め、短い本体でも高倍率を実現。写真は赤道儀式という架台を装備したタイプ。星の動きを追尾できる。
★屈折式
対物レンズで光を集め、接眼レンズで拡大する構造。架台は水平、垂直方向に動かし目標を捉える経緯台式で、初心者でも扱いやすい。
こんな工夫も!
紙コップに丸い穴を開け、それを接眼レンズに被せることで、小さな子供も怖がらずに覗くようになるという。
土星の輪も見えるよ!
後藤さんが反射式の望遠鏡を使って土星を見せてくれた。望遠鏡を使えば、土星の輪までくっきり見える。鮮明さにビックリ!
冬の星空観察の3か条
1 明るいうちに下見をする
2 街灯がない暗い場所を探す
3 防寒対策を万全に
※構成/山本修二 撮影/花岡 凌 協力/奥三河☆星空の魅力を伝える会
(BE-PAL 2025年2月号より)
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購入・定期購入はこちらをチェック※一部地域では発売日が異なります。
※電子版には特別付録が付きません。