CINEMA 01
〝三陸、ハンパね~!〟コロナ禍の東京から会社員がお試し移住
『サンセット・サンライズ』
(配給:ワーナー・ブラザース映画)
●監督/岸善幸
●脚本/宮藤官九郎
●出演/菅田将暉、井上真央、中村雅俊、三宅健、池脇千鶴、竹原ピストル、小日向文世ほか
●1/17~全国公開
©楡周平/講談社
©2024「サンセット・サンライズ」製作委員会
サラリーマンの西尾晋作は、空き家情報サイトで南三陸・宇田濱町の一軒家を見つける。家具家電完備の4LDKで家賃6万円、ってウソでしょ!?コロナ禍でリモートワークが進んだこともあり、晋作は大企業に籍を置いたまま“お試し移住”することに。
大家さんの百香は町役場で空き家問題を担当する職員でもあり、何かと晋作の面倒をみてくれる。独り身で美人の百香の周辺に、東京から来た怪しい独身男がいると小さな町はざわつくが、釣りにハマった晋作は超ご機嫌! マイペースに人びととの距離を縮める。やがて、百香の抱える悲しい過去が明らかになるのだが……。
『あゝ、荒野』で菅田将暉と組んだ監督がコメディに挑戦。コロナ禍、震災、復興、過疎化、空き家問題、こう並べると社会派なテーマを織り込んだ楡周平による原作。しかし、それを宮藤官九郎が、都会と田舎のカルチャーギャップを実感のこもった“あるあるネタ”満載の笑いに昇華。
晋作が「もてなしハラスメントすわっ」、といってうまそ~に食べる地元料理の数々に目を奪われたりして、とにかく楽しいエンタメ作。
CINEMA 02
愛される猫と猫を愛する人びと。マルタ島の猫事情
『ねこしま』
(配給:ファインフィルムズ)
●監督/サラ・ジェイン・ポルテッリ
●1/10~ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋、新宿武蔵野館ほか全国公開
© 2023 Nexus Production Group Ltd. All Rights Reserved.
島民の2倍ほども野良猫がいる、って本当!?マルタ共和国に生きる猫と猫を愛する人びとを追うドキュメンタリー。野良猫の居場所を守ろうと開発業者と戦う人、巨大な猫像を制作するアーティスト、お金を稼いで猫の楽園を作る!といいながら餌を与える少年。
地中海の美しい風景をバックにのびのび生きる猫たち、見返りなんか求めず楽し気に面倒をみる人びとの姿を映し出す。それほどに愛され、それほどに愛する対象がいて、どちらも幸せそう。その姿こそが眼福の極み。
CINEMA 03
アナログな怪獣愛と、夢を諦めないこと。ご当地映画の意欲作
『怪獣ヤロウ!』
(配給:彩プロ)
●監督・脚本/八木順一朗
●出演/ぐんぴぃ、菅井友香、手塚とおる、三戸なつめ、平山浩行、田中要次、麿赤兒、清水ミチコ
●1/24~岐阜県先行公開、1/31~全国公開
©チーム「怪獣ヤロウ!」
岐阜県関市。「怪獣映画の監督に!」という夢を抱いた山田少年。20年後、市役所職員になった彼に市長から「ご当地映画を」という指令が。よくあるご当地映画の撮影が始まるが、思わぬトラブルで製作はとん挫。山田は「怪獣映画の父」と呼ばれた男と出会う。
刀鍛冶、鵜飼い、真っ赤なローカル線が走るのどかな風景。ご当地映画として成立させながら深い怪獣愛を感じさせる特撮を入れ、夢を諦めない! というメッセージを熱く織り込む。いろんな意味で技アリ!
※構成/浅見祥子
(BE-PAL 2025年2月号より)