1905年の開業以来本社を移転することもなく、質実剛健なワークブーツを主軸とする基本理念を貫いています。
この記事では、レッドウィングを代表し「アイリッシュセッター6インチモック」の愛称で親しまれているモデル、#8875を紹介します。
アイリッシュセッター6インチモック
アイリッシュセッター6インチモックの起源は1952年まで遡ります。
ハンティング用のブーツとして発売された8インチ丈のモデル#877が好評であったことから派生モデルが登場し、そのなかに丈を6インチとした#875がありました。
アイリッシュセッターの愛称の由来は#877を起点とする複数のモデルで共通して使用されていたレザーの色が、猟犬アイリッシュセッターの毛並みの色に似ていることにあります。
6インチ丈として派生したモデル#875を、日本市場で人気の高い赤みを帯びたレザーで仕立てたモデルが、今回紹介する#8875です。
元来アメリカのワーカーたちの支持を受けていたレッドウィングのワークブーツですが、アウトドアシーンにも大変似合う定番のブーツです。
モックトゥ
アイリッシュセッター6インチモックの愛称に含まれるワードのひとつ「モック」とは、つま先(トゥ)の形状のタイプことをいいます。
スリムさやドレス感とは正反対のふくよかさを持ちながら、大きすぎない絶妙なシルエットはカジュアルでありながら質実剛健さを思わせます。
アイリッシュセッター6インチモックの大きな魅力のひとつといえるでしょう。
オロラセット・レザー
材料として主に使用されているオロラセット・レザーはアイリッシュセッターシリーズの大きな特徴です。
深い艶と赤みのあるこの皮は、スペイン語で金を意味する「オロ」と、英語で赤茶色を意味する「ラセット」を組み合わせた名称で、大木セコイアの皮の渋でなめされています。
#8875に採用されているオロラセットポーテージ・レザーは、日本のために開発された、赤みが強くカジュアルさを増したレザーです。
オールアラウンドグッドイヤーウェルト
グッドイヤーウェルトとは簡単にいえばブーツのアッパー部分(足を覆う靴の上半分)とアウトソール(靴底)が直接縫合されていない、昔ながらの製法です。
つくりが複雑になりコストがかかる反面、耐久性が高いのが特徴です。
さらに、すり減ったアウトソールを何度も交換することができるため、修理をしながら非常に長い期間にわたり履き続けることができます。
ブーツのタイプによって踵部分まではグッドイヤーウェルト製法ではないものも多くありますが、アイリッシュセッター6インチモックでは靴の全周(オールアラウンド)にわたりグッドイヤーウェルト製法が採用されており、非常に耐久性が高く末永く使用できるつくりになっています。
また、アッパーとミッドソールの間にはコルクが充填されており、初めは硬さを感じる履き心地ですが数か月履くうちに持ち主の足の形に馴染んでいき、唯一無二のものになります。
トラクショントレッド・ソール
アイリッシュセッターシリーズに採用されているトラクショントレッド・ソールはレッドウィングを象徴するソールといってもよいでしょう。
非常に肉厚でクッション性に優れているため歩きやすいのが特徴です。
踵まで段差のない一枚ものであることや、ソールの厚み、#8875に採用されているものは薄いベージュ色であることも相まって、機能性の高い実用的なソールでありながら程よいカジュアルさを演出しています。
ひっかかりのないトラクショントレッド・ソールは建築現場や高所作業をするワーカーたちの支持を集めていたといわれます。
適切なメンテナンスで末永く履き続ける
レッドウィングのブーツは定期的にメンテナンスを行なうことが推奨されており、適切に行なうことで末永く履き続けることができます。
しばらく履いていて表面が乾いたような見た目になってきたときがメンテナンスのタイミングで、ブラッシングで埃をかき落としてから適量のミンクオイルを塗りこみ、拭き上げることでレザーが艶感とうるおいを取り戻します。
自身でメンテナンスすればさらにブーツへの愛着も湧くことでしょう。
もしレザーブーツを購入した際には挑戦してみてはいかがでしょうか。
適切なサイズ選びで一生もののブーツに
レッドウィング製のワークブーツを選ぶ際に少し難しく感じるのがサイズ選びです。
筆者が普段から目安にしている足のサイズは25.5cmですが、#8875では24.5cm(USサイズ6.5E)を履いています。
初めはかなりキツく思いつつも数か月履き続けたところ、頑強なレザーが足の形に馴染んでいき、今では唯一無二ともいえるピッタリとした履き心地になりました。
サイズ選びは慎重に、できれば試着をしたうえで店舗スタッフの方にも相談しつつ購入すれば、一生ものといえるブーツに出会えることでしょう。