簡易な窯でもおいしく焼けた!
清掃団の新年は「おせちピザ」でお祝い。1枚の生地を重箱に見立てて、縁起食材をのせて調理。といってもそこはゴミ0生活を目指す清掃団。縁起食材=無駄にしない食材。SDGs(持続可能な開発目標)を考えた、サステイナブル・ピザだ。
使う食材の主役は、野菜や果物の皮や芯など、普段捨てがちなくず素材。ほかにも冷蔵庫の残り物や賞味期限切れ間近の缶詰などのローリングストック(災害用備蓄品)も利用する。
SDGs的ピザ作り
年初めだからこそ、「無駄」のない暮らしからスタートするのが清掃団の真骨頂。そこでまずは、ピザを焼くピザ窯作りに挑戦する。窯の素材は、DIYや花壇など、アウトドアの趣味やインテリアとして活躍するレンガだ。
「じつは、このレンガの活用も、SDGsの重要項目なんです」とは、ゴミ屋敷清掃員でもあるお笑いタレントの柴田賢佑さん。その理由は、
「レンガは焼却やリサイクルが難しい産業廃棄物。引っ越しのときなど不要になったレンガの処分には、産業廃棄物処理業者に有料でたのむのが一般的です。とはいえ産廃のレンガを捨てるのは環境に優しくない。一番いい方法はリユースすることだと思います」(柴田さん)。
そこで今回は、花壇に使ったレンガをリユースしピザ窯を作る。ポイントは、レンガを様々な用途で活用できるよう、モルタル(接着用建築資材)などで固定せず、ただ並べて積むこと。レンガの個数はピザが美味しく焼ける最小限の26〜30個。たった5分で組み立てられ簡単だ。
ピザを焼く前に行なう火入れは、薪を効率よく燃やして素早くレンガに熱を蓄熱させることが重要。窯の天井部にBBQ用の鉄板を置けば、ピザ以外の調理もでき、火が無駄にならない。
「こんな簡易的な窯だけど、完成したピザはびっくりするほど旨い! 超簡単で無駄がなくこの美味しさ。新年のアウトドアパーティーにおススメです!」
清掃団・団長
マシンガンズ・滝沢秀一さん
芸人活動の傍らゴミ収集員としても活動。プロの目でゴミ問題を発信し続け人気に。環境省のSDGs関連の広報大使に就任。著書に『ゴミ清掃員の日常』など多数。
清掃団・お片付け担当
柴田賢佑さん
芸能活動の傍ら、遺品整理・ゴミ屋敷片付け員としても活動。プロのお掃除人としてSNSで発信中。書籍『ごみ屋敷ワンダーランド』(白夜書房)発売中。
美味しいピザを焼くポイントは、効率良くレンガに熱を蓄熱させる火入れ。「こんなちっちゃな簡易窯でも激ウマピザが作れるんです。みなさんもチャレンジしてみてね~」(柴田さん)
材料
ピザの具材はダイコンやネギ、じゃがいもの皮やキノコのへた、コマツナの根の部分などの野菜くず、災害用ローリングストックの缶詰。ピザ生地は市販のものを使用した。
5分で完成! ピザ窯の作り方
レンガはポピュラーな赤レンガを使用。購入する場合はホームセンターなどで1個150円前後で買える。窯の天井部分にはBBQ用の鉄板を使用した。
レンガを写真のように縦に8個、横に4個を隙間なく並べ、窯の床を作る。キャンプ場などで行なう場合は、焚き火用シートを下に敷こう。
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床の周囲に1段、レンガを6個写真のように積んで窯の壁を作る。レンガの種類によってサイズが違うので、置き方はあくまでも目安。
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2段目を積み、写真のように2個天井奥に積めば窯の骨格ができ上がる。あとはBBQ用鉄板をのせるだけ。超簡単、5分で完成!
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「レンガは色々な用途に使えるので、リユースしながら一個一個大事に使いましょう」と柴田さん。
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鉄板を置けば完成!
鉄板で料理もできるよ
天井部分に鉄板を置くと調理もでき無駄がない。天井奥のレンガと鉄板との間に隙間を開けると、
煙突効果で効率よく火が燃え蓄熱度もアップする。
超簡単!ベジピザの焼き方
今回の簡易窯でピザを作る場合、窯内の温度が400~500度Cで焼くと失敗が少ない。薪による火入れ時間は約1時間ほど。ピザ生地を窯に入れて、約2~3分で焼き上がる。
生地にピザソース(トマト、玉ネギ、ニンニク、バジル、ケチャップ、オリーブオイル、トマトピューレ、塩コショウ)を塗り、野菜くずを並べ、最後にチーズをちらす。
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窯の火入れ。薪をくべながら約1時間。窯が熱せられたら、燃え残った薪を取り除いて(火消し壺に入れる)、おき火を窯の端にちらし、ピザ生地を入れる。
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ピザ生地をくるくる回しながら2~3分焼けば完成!
今回は市販生地を使用したが、生地から作る場合は、強力粉+ドライイースト+塩+砂糖+水でこねて寝かす。
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完成
「野菜くずがこんなに美味しくなるなんてびっくり。SDGsにも貢献できる極上ピザです!」
※構成/松浦裕子 撮影/茶山 浩
(BE-PAL 2025年2月号より)