![新型アウトランダーPHEVでヤマハ製オーディオを試聴!7人乗りの燃費、価格、気になる点も](https://www.bepal.net/wp-content/uploads/2025/01/DSC_1292.jpg)
バッテリーが増強され、驚くほどパワフルかつスムースな走り、だったんですが、それにもまして今回の試乗体験で驚いたポイントはハイクオリティなオーディオシステム。ヤマハとともに共同開発したサウンドシステムが奏でるめくるめく音の世界の魅力を、新型アウトランダーの魅力や気になる点とともにご紹介します。
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モーターだけで100km走れる四駆PHEV
アウトランダーPHEVは2.4リッターガソリン4気筒エンジンに前後2基のモーターを組み合わせて、それぞれからのパワーによって4輪を駆動します。エンジンは発電にも駆動にも用いられ、駐車中にコンセントからも充電できるPHEV(プラグインハイブリッド)です。
主な改良ポイントはふたつ。ひとつはリチウムイオンバッテリーを刷新し、バッテリー容量を約10%増加させ22.7kWhとしたこと。それによって、モーターだけで走れる距離が「M」グレードで87kmから106km(WLTCモード)へと伸びました。より上級の「P Executive Package」、「P」、「G」のグレードでは、83kmから102kmへ。
また、エンジンと2基のモーターは旧型と変わりませんが、トータルシステム出力が約20%アップしたことにより、旧型よりも0-100km/h加速が「2秒速くなっている」(開発者氏)そうです。
8割の満充電までの時間も38分から32分へと短縮されています。
ヤマハと共同開発したオーディオを搭載!価格は?
二つ目の大きな改良点は、ヤマハ製カーオーディオの標準装備です。意外でしたが、ホームオーディオでは長い歴史を持つヤマハにとってカーオーディオは初の展開になるとのこと。日本で販売される三菱のクルマには、これまでロックフォードというアメリカ製カーオーディオが採用されていましたが、そちらからの転換です。
![アウトランダーPHEV](https://www.bepal.net/wp-content/uploads/2025/01/DSC_1355-rotated.jpg)
「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」を搭載した「P Exective Packege」グレード車に試乗。12スピーカーとパワーアンプを搭載していて、フロント左右にウーファーが、荷室下部にもサブウーファーがある。
ヤマハ製カーオーディオには、「Ultimate」と「Premium」があり、アウトランダーPHEVの最上位グレードである「P Executive Package」には「Ultimate」が標準装備され、「P」や「G」グレードでもオプション(価格19万8000円)として注文可能。注文しなくても、「P」、「G」、「M」グレードでは「Premium」が標準装備されます。
![アウトランダーPHEV](https://www.bepal.net/wp-content/uploads/2025/01/DSC_1345.jpg)
ハイブリッド燃費は7人乗り・5人乗りともに17.2km/リットル(WLTCモード)。EV走行距離は102kmもあるので、日常づかいならほぼEVとして乗れる。
その他の改良などにもよって、アウトランダーPHEVの価格は先代よりも約40万円アップ。試乗したのは、初めて設定された最上位グレードの「P Executive Package」7人乗り仕様です。価格は668万5800円(消費税込)。
静かすぎる…ハイブリッドというより、ほぼEV?
走り始めて、なかなかエンジンを始動しようとせずモーターだけで走り続けるのが印象的でした。バッテリー容量を増やした効能がすぐに体感できました。静かで滑らかな加速はEV(電気自動車)と変わりません。
自動車専用道の小田原厚木道路に乗ってスピードを上げていっても、掛かる気配すら感じさせません。エンジンも搭載されているPHEVだということを忘れてしまい、まるでEVのような感覚です。先代は、もっと早めにエンジンが掛かり始めていたように憶えているのですが、ここまで違うのかと驚きました。
箱根ターンパイクの急な登り勾配に差し掛かって、アクセルペダルを強めに踏み込んだら、ようやくエンジンが始動しました。
走行モードを切り替えて「ターマック」(ラリー用語で舗装路)モードを選ぶと、エンジンはつねに回転するようになりました。モーターによる加速の他に、エンジンからのパワーも加速に用いてスポーティに走るためです。小さくない車体を急坂でグイグイと加速させていくので、クルマが小さく感じてきます。
最高級SUVなんだから、ここは改善してほしい!
何往復かしていると、不満点も感じてきました。荒れた舗装の路面が続くところや舗装の切り替えなどを通過した時のショックなどを吸収しきれていないことが感じられてきたのです。揺れや音などが気になってきます。
輸出先のオーストラリアから「先代アウトランダーの、良くない路面での乗り心地を良くして欲しい」というリクエストが来ていた(開発者氏)と試乗後に教えてもらいましたから、課題は完全には解決しきれていないようです。
3列目シートはかなり狭い
駐車スペースに停めて、車内をチェックしてみました。試乗したクルマは7人乗り仕様の3列目座席を備えたものでしたが、3列目の空間は狭くてシートも小さいので、エマージェンシー用と割りきるべきものでしょう。足元の空間は狭く、座面も背面も薄い。
2列目シートを前方にスライドすれば3列目の足元空間は広がるのですが、その分だけ2列目の空間は狭まってしまいます。6人以上で乗車する機会が頻繁にある人以外は、実車を良く確認する必要があります。
![アウトランダーPHEV](https://www.bepal.net/wp-content/uploads/2025/01/DSC_1362.jpg)
3列目シートを折りたたんで荷室の床下に収納できる。
![アウトランダーPHEV](https://www.bepal.net/wp-content/uploads/2025/01/DSC_1364.jpg)
3列目シートを折りたたむと広々とした荷室スペースに。2列目シートを折りたためば、幅1070mm(最小部)-1300mm(最大部)、奥行2040mmの荷室スペースとなる(1列目シートを最前部までスライドした場合)。
メーターやパネルの表示が高級車らしくない
アウトランダーPHEVは安くはないクルマなので、内装の造形や仕上げ、素材使いなどは申し分ありません。高級感も漂っています。
![アウトランダーPHEV](https://www.bepal.net/wp-content/uploads/2025/01/DSC_1383.jpg)
後席も高級感のある上質なデザイン。
しかし、メーターやセンターモニターパネルなどに表示される多彩な情報の多くが文字や文章で表現されるのが残念でした。短い時間とはいえ運転中に読み込まなければならないので煩わしく、危険にもつながるからです。
他のクルマやデジタル機器などでの今日的な常識となっているアイコンやピクトグラムなどに置き換えるべきでしょう。ドライバーインターフェイスを基本的なところから改める必要があるのかもしれません。
気になる新型オーディオの音質は?
復路の西湘バイパスでも、エンジンが掛からずモーターだけで走り切りました。箱根ターンパイクを上り降りして電気をたくさん消費したはずなのに、充電量も十分に残っていました。バッテリー容量を増やした甲斐があります。
ヤマハ製カーオーディオは上位の「Ultimate」が組み込まれていますから、とても良い音で車内が満たされ続けています。自分のスマートフォンをBluetooth接続して、いつも自宅や自分のクルマで聴いているジャズやローファイヒップホップなどを再生しました。
エンジン騒音が発生しないので、キメ細かなドラムのシンバルや、ベーシストの指が弦に擦れる小さな音などから、ボーカルやギター、ベースなどが発する大音量まで、それぞれの音を際立たせながら再生されていました。小ボリュームでも大ボリュームでも、音がつぶれたり、歪んだりしないのはさすが「Ultimate」を謳うだけのことはあります。
「Ultimate」が12個のスピーカーとパワーアンプを備えているのに対して、「Premium」のスピーカーは8個で、パワーアンプはありません。19万8000円は安くはありませんが、車内で音楽を楽しみたい人には価値が大きいと思いました。
これらのオーディオの価値を大きくしているのは、新型アウトランダーPHEVの静粛性です。ほとんどモーターだけで走るので車内が格段に静かになったから、オーディオの良し悪しを聴き分けることができるようになりました。ここにも電動化のメリットが発揮されているのです。
金子浩久の結論:「いい音で音楽を聴く愉しみ」を実感させてくれる大成功のマイナーチェンジ
電動化や自動化によって、これからのクルマは移動中の時間を有効に活用することができるようになりました。カーオーディオは昔から存在していましたが、静かでなくて運転していたりもする移動中の車内での音楽鑑賞なので、あくまでも“間に合わせ”的なものでした。
しかし、ここまで車内が静かになったり、運転支援機能を使って運転操作の何割かをクルマに委ねられるようになると、家で聴くのと変わりません。それどころか、爆音で再生しても苦情がどこからも来ないのですからホームオーディオと同等以上の環境です。外の景色が次々と移り変わっていく視覚を伴った音楽鑑賞は、ホームオーディオとは異なった楽しみを約束してくれています。
バッテリー容量をアップしてモーターだけで走る距離を伸ばし、高音質再生ができるヤマハ製カーオーディオを組み合わせた今回のアウトランダーPHEVのマイナーチェンジは大成功と言えるでしょう。
今までのクルマでは持ち得なかった新しい価値と魅力を体現しているという意味から、とても象徴的な存在となっています。
![アウトランダーPHEV](https://www.bepal.net/wp-content/uploads/2025/01/DSC_1366.jpg)
蓄えた電気を「V2H」機器を介して家で使うことも可能。エンジンによる発電も組み合わせればガソリン満タンで最大11日分の電力を供給可能。また、最大1500Wの100Vコンセントが荷室にあるので、キャンプや車中泊のときに、炊飯器や電子レンジ、ドライヤーを使うこともできる。