
寒くて家にいるうちにチャレンジ!毎回軽くメンテナンスする習慣もつけよう
アウトドアプロデューサー 長谷部雅一さん ガイド、インタープリター、旅人といくつもの顔を持ち、アウトドア知識に精通する。『自作キャンプアイテム教本』(グラフィック社)ほか著書多数。「家で簡単にできますよ♪」
「テントが雨漏りしたら安心して寝られないし、ナイフが切れないと、変なところに力が入ってケガをするかもしれない。夕刻下山中にヘッドライトを点けようとしたら漏電してた、なんてことがあったら、命に関わる恐れもあります」
と、本誌でお馴染みの長谷部雅一さん。フィールドでギアを安全に使うためにも、定期的なメンテナンスは大事だ。
「冬のオフシーズンこそ、家時間を活用して、とことん手入れしましょう!」
テントは広げて、ポールの緩みや防水性能をチェック。調理器具や火器はサビを落とせば新品同様に変身する。
「使ったら、毎回軽くメンテナンスをする習慣もつけたいですね。チリも積もれば山となる。コゲにコゲが重なるとどんどん落としにくくなりますから!」
STEP 1 調理器具は専用洗剤があればサビ、コゲ、油汚れがピッカピカ
調理器具は材質によって洗剤を使い分ける。適材適所で驚くほどきれいに。頑固汚れはつけ置きがポイント。
●メスティンのコゲにはクエン酸!
アルミのコゲ落としには酢かクエン酸。水1ℓに対し大さじ2〜3使用。
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深鍋に水を入れたらクエン酸を溶かし、火をつけメスティン投入。沸騰後20分煮る。
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湯が冷めたら取り出し、スポンジと中性洗剤で洗うとキレイにコゲが取れる。
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ピッカ〜ン!
傷つけずにこのとおり。頑固な汚れは再度煮る。
●しつこい油汚れはラップでパック
コゲを溶かして落とす研磨剤不使用の溶剤。
水回りのカルシウム除去洗剤。汚れを泡にする。
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ポットの外側のコゲや油汚れに溶剤をかけ、キッチンペーパーで包み込む。
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さらにラップで全体を包み、30分〜1時間ほど汚れが浮いてくるまで置いておく。
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キッチンペーパーをはがすと、こすらなくても拭き取るだけでOK。
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ポットの内側にこびりついたカルシウム汚れも専用溶剤をかけて落とす。
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新品同様!!
放置しておくだけで頑固な汚れを払拭。本来の輝きに戻った!
STEP 2 細部の手入れがモノをいう! ナイフ、ライト、火器類のメンテの極意
電池ボックスやバーナーヘッドの目詰まり、マルチツールのパーツなど、隅々までチェック。湿気を防いで保管。
●電池接続部分とベルトをチェック

ビロビロ〜
電池接続部分が錆びていたら、800〜1200番のサンドペーパーでこすって落とす。
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接触が悪くなった場合は、接点復活剤を塗れば、軽度の不調なら回復できる。
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ベルト交換も重要
伸縮性が悪くなったベルトは使用中にズリ落ちて危険なため、交換しておこう。
●バーナーヘッドのサビ落としが肝心
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Oリングに亀裂がないか、紫外線などで硬化していないかチェックする。
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茹でこぼしの汚れや、バーナーヘッドのサビは金ブラシで磨き、柔らかい布で拭き取る。
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火の回り◎
点火して炎が全体に回っているか、異音やにおいをチェック。
●丸ごと洗浄! マルチツール&ナイフ
ナイフクランプでナイフを固定して研ぐ、ランスキーの砥石セット。
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40度Cのぬるま湯で洗う。湯の中で稼働部分を動かし、固着した汚れを取る。
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歯ブラシに中性洗剤をつけ細部を洗う。よくすすいだら水分を拭き取り、乾かす。
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刃渡りが短いので、刃を固定して研ぐ。表裏同じ回数ずつ、3段階に研ぐ。
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最後に可動部にオイルを浸透させる。食品に混ざっても安心な食品規格潤滑油が◎。
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切れ味抜群!
ナイフは切れ味が悪くなったら常に研ぐようにする。固定式なら初心者でも楽。
STEP 3 ポールコードにシームテープ。冬の間も、ときにはテントを広げて状態チェック
テントを広げてポールのショックコードの緩み、シームテープのはがれ、防水性能を確認。快適空間作りに必須!
●伸びたコードの交換術
ポールエンドのパーツを抜き、ショックコードを抜き取る。折れたポールも交換する。
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新しいショックコードをポールに通す。ポールは順番を入れ替えて、負担を軽減。
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一方の端にポールエンドを結び、テンションを確かめてコードの長さを決める。
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切ったコードの端にもポールエンドを結びつけ、ポール本体にセットする。
張りがでた!
コードが短すぎるときつくてたためないので、最後にポールをたたみ不具合をチェック。
●はがれたシームテープの補修
縫い目を覆える幅のシームテープ(縫い目を保護するテープ)を。
はがれかけているシームテープを爪でこすってはがす。生地を拭き乾かす。
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新しいテープを縫い目にのせ、当て布をかけてアイロン(低温)で圧着する。
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水もれ知らず!
テープが透明になるまで、何度か丁寧にアイロンをかけたら完成!
●防水スプレーで雨や汚れから保護
手を汚さず、通気性を損なわないフッ素系の防水スプレー。
汚れは水拭き。ひどい汚れは、中性洗剤を含ませた布でたたくといい。
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愛用ギアこそメンテが大切
全体にまんべんなく防水スプレーをかけ、よく乾燥させたらOK。
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水滴コロコロ!!
水滴を弾くまでに復活! 水が染み込むようになってきたら常にかける。
※構成/大石裕美 撮影/三浦孝明
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