
自由な旅を愛した安西氏の魅力を紹介しよう。
ファン待望の幻の未完小説がついに書籍化された
書籍の装丁や広告、絵本などさまざまな分野で活躍した安西氏は、世界中を旅して人生を過ごした。旅先で手に入れた土産や、現地で印象に残った思い出をモチーフにした作品も多く、眺めているだけで、思わず旅に出たくなってしまう。
また、没後10年となる昨年には、幻の未完小説『1フランの月』が初めて書籍化。「旅」をテーマにした未刊行エッセイやイラストもたくさん収録していて、自由な旅の気分にひたりたいときにぴったりの一冊だ。
安西水丸の軌跡
1942年 東京都港区に生まれる
1965年 日本大学藝術学部卒業・電通にアートディレクターとして勤務
1969年 電通を退職して渡米、ニューヨークのデザインスタジオに勤務
1971年 平凡社のアートディレクターとして勤務
1981年 安西水丸事務所を立ち上げ、本格的にイラストレーターとして活躍
村上春樹作品の装丁や小説、エッセイ、絵本、雑誌の表紙など、さまざまなクリエイティブで活躍。旅を愛し、スノードームのコレクターとしても有名。
2014年 逝去
2004年、ゴーギャンの足跡を辿るために訪れたタヒチでスケッチをしている様子。安西氏はさまざまな国を旅して、印象的なスケッチと紀行エッセイを残した。
スノードームを収集していた安西氏。ウィーンで購入したものは観覧車入り。
マルセイユの要塞島で出会ったマトリョーシカ。
アメリカ横断の旅をしたときの写真とスケッチ作品「サンセットイブニング」。
『1フランの月』
2530円(小学館)
ファン待望の幻の未完小説がついに書籍化。このページで紹介した旅のイラストや、未刊行のスケッチ作品なども収録している。
写真/小平尚典
(BE-PAL 2025年3月号より)