
WIND from ONTARIO〜森の海、水の島〜
#9 Welcome to the Icy-Kingdom!
By Tomoki Onishi
撮影・文/尾西知樹
トロント在住のフォトグラファー、マルチメディア・クリエイター、カヌーイストでサウナー。オンタリオ・ハイランド観光局、Ontario Outdoor Adventuresのクリエイティブ・ディレクターを務める。カナダの大自然の中での体験とクリエイティブを融合させたユニット magichours.caを主宰。

氷結した湖で、せっせと氷の王国を建造中。シーズンのスタート、雪のない黒く青い氷が美しく、歩くの怖い(笑)。
湖に誕生したばかりのフレッシュな氷の上を、ブーツにスパイクを付けザックザックと歩く。
しっかりと氷結した氷は青黒く頑丈だとわかっていても、雪の積もっていない氷上は足元に水藻や亀裂が見えて、一歩一歩ドキドキする。この怖楽しい感じがまたたまらない。
テントや釣り具で満載のソリを引っ張って歩く横を、小屋や荷物を牽引するバギーが通り過ぎる。みな目指す場所はだいたい同じで、釣れるエリアで集落のようになる。
こうして凍える寒い場所なのに、釣り人たちの熱量で「氷の王国」の形容が相応しいホットなスポットが生まれる。水が島となり出現する冬だけの聖地だ。
山のないオンタリオの冬の風物詩といえば、このアイスフィッシングで、氷の原野に大きなドリルで穴を開けての釣り。
氷の上にゼロから場所を創出する完全なるバックカントリー・アクティビティーだ。釣り小屋の中に、ガス暖房やBBQグリル、ベッドまで設置して、住み着く人までいる始末……(笑)。
ワカサギのようなサイズの小魚を餌にして、氷の穴に糸を垂らせば、白身魚のイエロー・パーチや、大きなトラウト(鱒)などの美味しい魚たちが釣れる。
カナダの冬は寒そう〜、なんて先入観はどこへやら、ワクワクしてきませんか?
琵琶湖とほぼ同じ面積が全面凍結するシムコ湖。冬釣りの聖地だ。
釣っている横で、アイススケート。カナダならではの素敵な光景。
イエロー・パーチがよく釣れた。白身魚のフライとビールで祝杯!
天気の良い日には、テントなしで釣るのも気持ちいい。まわりに他の釣り人のいない絶好の場所でのソロ活動に悦!
動画でも見られます!
(BE-PAL 2025年3月号より)