
研究を始めたきっかけは『はたらく細胞」

乳酸菌博士ちゃん 清水結香さん(11歳)、愛犬 ハルちゃん この春から小学6年生。里山に近い環境で生まれ育ち、幼いころから昆虫や魚にも興味を持っていたという。父の影響でキャンプや釣りも楽しむ。愛犬のハルちゃんは、妹のような存在なんだとか。
1960年から続く伝統ある「自然科学観察コンクール」で、昨年、文部科学大臣賞(小学校の部)を受賞した清水結香さん。研究テーマは、『「しがきん」の発酵力』について。
滋賀県の伝統料理「ふなずし」を自宅で自作し、そこに含まれる乳酸菌を観察。調べるうちに、ふなずしに含まれる乳酸菌の図鑑がないことを知り、自ら「しがきん」と名付けた。そして、菌の形や特性を細かく分析して確認できた5種類の菌について研究結果を手描きの「にゅう酸きん図かん」にまとめた。
「研究を始めたきっかけは、アニメ『はたらく細胞』を観たことです。乳酸菌が、がん細胞をやっつけるNK細胞を活性化させることを知りました。調べてみると、乳酸菌が発酵食品のなかにたくさん含まれていることがわかりテーマにしました」
滋賀県で生まれ育った結香さんは、ネットで県内にある発酵食品を調べた。すると、伝統料理のふなずしがヒット。滋賀県の健康寿命が長いことまで調べあげ、ふなずしとの因果関係があるのでは? と仮説を立てた。
「ふなずしに含まれる乳酸菌を研究すれば、いつか風邪薬みたいに飲むだけで、がん細胞を、やっつけてくれる薬を作れるんじゃないかなと思っています」
これが研究の最終目標というから驚きだ。結香さんは、この研究を小学3年生のときに始めた。その年にも同コンクールに応募したが落選。大学や発酵食品を手がける企業の研究室に通って研究を続けた。そして、小学4年生で大臣賞に輝いた。
「これまで3年間、研究を続けて、見つけた菌はまだ7種類です。実際に何種類あるのか、どんな菌があるのか、これからも研究していきたいです」
今年1月。冬休みを利用して龍谷大学の研究室に出かけた。先生から菌の保存方法や、研究のベースとなる菌の培養方法など、専門的な指導を受けた。小さな研究者は未来を見据え、さらなる研究に取り組んでいる。

どんな菌がいるかな?
わからないことがあれば、その分野に詳しい研究者を探し、自ら手紙を書いて相談するという。道具の扱いも慣れたもの。
これが結香さんオリジナルの乳酸菌図鑑!
小学4年生のときに完成させた「にゅう酸きん図かん」。大学や滋賀県内の発酵食品を製造する企業の研究室に出かけ、1000倍の顕微鏡を使って菌を観察。その成果をまとめた。
自然科学観察コンクール 文部科学大臣賞受賞!
入選した作品は、締め切り前日の夜までかかって描き上げたという大作。現在も同じテーマで研究を続けている。
「しがきん」を調べるため大学の研究室へ
大学の研究室で特別講義!先生は発酵のスペシャリスト

写真右は龍谷大学農学部 田邊公一教授。「楽しく 学びましょう」 「がんばるぞ~」
自作の「しがきん」で菌の生存確認と保存方法を教わりました
自宅の冷蔵庫で保存していたという菌は、モンベルのクーラーバッグに入れて運搬。
菌を培養するためシャーレへ菌を移植する

「教えることないですね!?」
先生も驚くほど慣れた手つきの結香さん。わからないことを、次々と質問する場面も。
研究内容と教えてもらったことはすぐにメモ
菌を培養するための寒天培地は先生が用意。その成分について詳しく聞いて書き留める。
自作した飯から菌を分離培養する
ふなずしを作るときに使った飯(発酵した米飯)を持参し、そこに含まれる菌を培養する。
菌を植えたシャーレを培養装置に入れて経過観察する
この日、自身で取り出した菌は、先生の研究室に預けて、定期的に経過を観察する。
あとは待つだけ!
先生がふなずしの新製法を伝授
田邊教授は、100均で買えるグッズを使って、ふなずしを自宅でも気軽に作れる「クラフトふなずし作製キット」を考案し、実用新案を取得。
ふなずしには、琵琶湖の固有種であるニゴロブナの塩漬けを使用する。
「従来のように大きな樽で大量に作る方法よりも、簡単に作れますよ」と田邊教授。
圧縮袋に塩漬けしたふなと飯を入れて、中の空気を抜くのがポイント。
樽で自作したよ!
伝統製法で結香さんが自作した飯。
愛犬と息抜き
愛犬と大野神社に行き金勝庵の大判焼きを食べるのが楽しみ。
研究日のスケジュール
05:00~06:00 自主学習
06:00~06:30 朝食
06:30~07:00 ハルちゃんの散歩
07:00~09:00 研究の準備、移動
09:00~12:00 実験
12:00~13:00 昼食
13:00~15:30 実験
15:30~17:00 移動
17:00~19:00 習いごと
19:00~20:00 入浴、夕食
20:00~05:00 睡眠
愛読書
『はたらく細胞』(講談社)
好きな発酵食品 BEST3
1位 ふなずし
2位 米ヨーグルト
3位 しば漬け
※協力/自然科学観察コンクール事務局、龍谷大学、大野神社、金勝庵
※構成/山本修二 撮影/花岡 凌
(BE-PAL 2025年3月号より)