郷土料理 「ふなずし」を研究して乳酸菌の図鑑を手作りしたアウトドア博士ちゃん!清水結香さんに密着
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  • 自然観察・昆虫

    2025.03.09

    郷土料理 「ふなずし」を研究して乳酸菌の図鑑を手作りしたアウトドア博士ちゃん!清水結香さんに密着

    郷土料理 「ふなずし」を研究して乳酸菌の図鑑を手作りしたアウトドア博士ちゃん!清水結香さんに密着
    好きなものへの熱意を持ち、知識や行動力にあふれた子供博士たち。アウトドアの未来を担う彼らの、リアルな姿を見せてもらいました! 今回は乳酸菌の図鑑を手作りしてしまったという博士ちゃんに密着。

    研究を始めたきっかけは『はたらく細胞」

    乳酸菌博士ちゃん 清水結香さん(11歳)愛犬 ハルちゃん この春から小学6年生。里山に近い環境で生まれ育ち、幼いころから昆虫や魚にも興味を持っていたという。父の影響でキャンプや釣りも楽しむ。愛犬のハルちゃんは、妹のような存在なんだとか。

    1960年から続く伝統ある「自然科学観察コンクール」で、昨年、文部科学大臣賞(小学校の部)を受賞した清水結香さん。研究テーマは、『「しがきん」の発酵力』について。
     
    滋賀県の伝統料理「ふなずし」を自宅で自作し、そこに含まれる乳酸菌を観察。調べるうちに、ふなずしに含まれる乳酸菌の図鑑がないことを知り、自ら「しがきん」と名付けた。そして、菌の形や特性を細かく分析して確認できた5種類の菌について研究結果を手描きの「にゅう酸きん図かん」にまとめた。

    「研究を始めたきっかけは、アニメ『はたらく細胞』を観たことです。乳酸菌が、がん細胞をやっつけるNK細胞を活性化させることを知りました。調べてみると、乳酸菌が発酵食品のなかにたくさん含まれていることがわかりテーマにしました」
     
    滋賀県で生まれ育った結香さんは、ネットで県内にある発酵食品を調べた。すると、伝統料理のふなずしがヒット。滋賀県の健康寿命が長いことまで調べあげ、ふなずしとの因果関係があるのでは? と仮説を立てた。

    「ふなずしに含まれる乳酸菌を研究すれば、いつか風邪薬みたいに飲むだけで、がん細胞を、やっつけてくれる薬を作れるんじゃないかなと思っています」
     
    これが研究の最終目標というから驚きだ。結香さんは、この研究を小学3年生のときに始めた。その年にも同コンクールに応募したが落選。大学や発酵食品を手がける企業の研究室に通って研究を続けた。そして、小学4年生で大臣賞に輝いた。

    「これまで3年間、研究を続けて、見つけた菌はまだ7種類です。実際に何種類あるのか、どんな菌があるのか、これからも研究していきたいです」
     
    今年1月。冬休みを利用して龍谷大学の研究室に出かけた。先生から菌の保存方法や、研究のベースとなる菌の培養方法など、専門的な指導を受けた。小さな研究者は未来を見据え、さらなる研究に取り組んでいる。

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    どんな菌がいるかな?

    わからないことがあれば、その分野に詳しい研究者を探し、自ら手紙を書いて相談するという。道具の扱いも慣れたもの。

    これが結香さんオリジナルの乳酸菌図鑑!

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    小学4年生のときに完成させた「にゅう酸きん図かん」。大学や滋賀県内の発酵食品を製造する企業の研究室に出かけ、1000倍の顕微鏡を使って菌を観察。その成果をまとめた。

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    自然科学観察コンクール 文部科学大臣賞受賞!

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    入選した作品は、締め切り前日の夜までかかって描き上げたという大作。現在も同じテーマで研究を続けている。

    「しがきん」を調べるため大学の研究室へ

    大学の研究室で特別講義!先生は発酵のスペシャリスト

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    写真右は龍谷大学農学部 田邊公一教授。「楽しく 学びましょう」 「がんばるぞ~」

    自作の「しがきん」で菌の生存確認と保存方法を教わりました

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    自宅の冷蔵庫で保存していたという菌は、モンベルのクーラーバッグに入れて運搬。

    菌を培養するためシャーレへ菌を移植する

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    「教えることないですね!?」

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    先生も驚くほど慣れた手つきの結香さん。わからないことを、次々と質問する場面も。

    研究内容と教えてもらったことはすぐにメモ

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    菌を培養するための寒天培地は先生が用意。その成分について詳しく聞いて書き留める。

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    自作した飯から菌を分離培養する

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    ふなずしを作るときに使った飯(発酵した米飯)を持参し、そこに含まれる菌を培養する。

    菌を植えたシャーレを培養装置に入れて経過観察する

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    この日、自身で取り出した菌は、先生の研究室に預けて、定期的に経過を観察する。

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    あとは待つだけ!

    先生がふなずしの新製法を伝授

    田邊教授は、100均で買えるグッズを使って、ふなずしを自宅でも気軽に作れる「クラフトふなずし作製キット」を考案し、実用新案を取得。

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    ふなずしには、琵琶湖の固有種であるニゴロブナの塩漬けを使用する。

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    「従来のように大きな樽で大量に作る方法よりも、簡単に作れますよ」と田邊教授。

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    圧縮袋に塩漬けしたふなと飯を入れて、中の空気を抜くのがポイント。

    樽で自作したよ!

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    伝統製法で結香さんが自作した飯。

    愛犬と息抜き

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    愛犬と大野神社に行き金勝庵の大判焼きを食べるのが楽しみ。

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    研究日のスケジュール

    05:00~06:00 自主学習

    06:00~06:30 朝食

    06:30~07:00 ハルちゃんの散歩

    07:00~09:00 研究の準備、移動

    09:00~12:00 実験

    12:00~13:00 昼食

    13:00~15:30 実験

    15:30~17:00 移動

    17:00~19:00 習いごと

    19:00~20:00 入浴、夕食

    20:00~05:00 睡眠

    愛読書
    『はたらく細胞』(講談社)

    好きな発酵食品 BEST3

    1位  ふなずし
    2位  米ヨーグルト
    3位  しば漬け

    ※協力/自然科学観察コンクール事務局、龍谷大学、大野神社、金勝庵

    ※構成/山本修二 撮影/花岡 凌

    (BE-PAL 2025年3月号より)

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