コケに魅せられたジュニア学芸員・平山 美ら海さんの夢は新種を発見すること!
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    2025.03.09

    コケに魅せられたジュニア学芸員・平山 美ら海さんの夢は新種を発見すること!

    コケに魅せられたジュニア学芸員・平山 美ら海さんの夢は新種を発見すること!
    好きなものへの熱意を持ち、知識や行動力にあふれた子供博士たち。アウトドアの未来を担う彼らの、
    リアルな姿を見せてもらいました! 今回はコケを調査・研究する博物館のジュニア学芸員として活動する博士ちゃんです。

    ジュニア学芸員の夢は新種を見つけ”ミライゴケ”と名付けること!

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    コケ博士ちゃん 平山 美ら海(みらい)さん(15歳) 幼少期からダンゴムシやナメクジなどの収集癖あり。小学4年生のときのお寺修行で苔玉に出会い、コケにハマる。昭和文化が好きで、好きな番組は『やっぱり猫が好き』、歌手はレベッカ。

    「あっ、これですこれ!」
     
    突如歩道にしゃがみ込む、コケ博士の平山美ら海さん。

    「コケ探しのコツは、恥ずかしがらないことなんです」
     
    と、うれしそうにルーペを覗き込む。いままで400種類以上のコケを見つけてきたという。中でもいちばん好きなミカヅキゼニゴケが見られるのが、ミュージアムパーク茨城県自然博物館の歩道の一角だ。
     
    コケにハマったきっかけは、小学4年生で参加した苔玉作り。

    「手は泥だらけになるし、服は汚れるしで、最初は好きじゃなかったんです」
     
    小さな虫がわいたため、ひと晩外に出しておいたら、翌朝枯れていた。

    「ショックでした。どうして枯れたのか知りたくて、コケの生態とかを調べはじめました」
     
    調べるほどに興味が湧き、コケを調査・研究している同博物館を訪れ、コケ研究者の主任学芸員、鵜沢美穂子さんの指導を受けるようになった。

    「はじめて顕微鏡でコケを見たとき、すごく感激して。キラキラして綺麗で、普段肉眼で見る姿と全然違うじゃん! って」
     
    小さいけれど生命力にあふれ、誰に踏まれても復活するコケ。気付いたらその神秘的な魅力にハマっていた。

    「美ら海さんはとても熱心で、ここまで継続して研究してくれる子はなかなかいません。コロナ禍で博物館に来られないときも、家の近所の児童館の顕微鏡を使って研究を続けていたほどで、こちらが感心させられます」(鵜沢さん)。
     
    大人に混じって、同博物館の同好会『コケの会』にも月1回通っている。’22年、中学1年生のときにジュニア学芸員に認定され、その後もコツコツと研究を続けている。

    「コケってスマホで調べてもなかなかわからないんです。だから調べるためには、博物館にある専門の図鑑と顕微鏡が必要。それで、見つけたコケは、自分の図鑑のページに付箋を貼るんです。付箋の数が増えていくのがうれしい」
     
    とにかくいまは、いっぱい採取していっぱい観察する。

    「いつか新種を見つけて、“ミライゴケ”って名付けたい!」

    コケ観察&採集道具

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    左上から時計回りに、フィールドシート、記録用のスマートフォン、ルーペ(10〜15倍が◎)、識別用のポケット図鑑、霧吹き、ペン、採取用のへら、虫除けグッズ、採集袋。

    クラフト紙にラベリングして保管

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    持ち帰ったら、風通しのいいカゴで自然乾燥して保管。

    いままで集めたコケは400種以上!

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    上は夏休みの自由研究で、越谷市内の中学校で採集したコケ。同定したところ、52種類が見つかった。下は観光地などへ旅行に出かけた際に採集したコケ。乾燥し標本に。

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    美ら海さんの観察方法は?

    まずはルーペで観察

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    コケは海と砂漠以外のどこでも見つけられる。歩道の敷石と敷石の隙間やコンクリート壁、木の幹や根元etc。見つけたら、なるべくコケに目を近づけてルーペで観察。左が美ら海さんの最も好きなミカヅキゼニゴケ。

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    スマホのズーム機能で撮影

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    カメラがなくても、スマートフォンの接写機能を使えば記録用の拡大写真が撮れる。ルーペをカメラのレンズに押し当てて撮る拡大撮影も、人気の裏技のひとつ。

    乾いたコケは霧吹きを活用

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    水をかけて 復活!

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    コケが乾燥して葉が縮れてしまっているときは、霧吹きで水をかけると葉が開いて観察しやすくなる。吸水性に優れる種は、見る見るうちに葉が開くので、その変化を観察するのも楽しい。

    採集したコケは顕微鏡で同定観察

    コケ同定のための道具&図鑑

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    顕微鏡があると40〜400倍で観察可能。スライドガラスとカバーガラスも必要。水を与えるスポイト、ピンセット、コケを薄く切るカミソリも。

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    普段持ち歩くポケット図鑑以外は、博物館の図書館から借りた書物。ジュニア学芸員になることで、高価な図鑑や専門書も借りて読むことができる。

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    新たな一面を発見できる。

    コケを見分ける(=同定する)ときは、図鑑と顕微鏡が必須。葉や細胞の形を詳しく観察することで、種類を見分けられる。

    顕微鏡写真はペットボトルの蓋を活用

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    顕微鏡写真を撮る場合、中心に穴を空けたペットボトルキャップを用意。スマホのレンズと穴を合わせて両面テープで貼り、顕微鏡の接眼レンズに当てると撮影できる。

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    手ブレもせず美しい

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    ジュニア学芸員とは

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    2001年からはじまった同博物館のジュニア学芸員育成事業。博物館活動や自然の調査法などの研修を半年間受けた中高生が認定され、高校3年まで興味に沿った研究やイベントの補助に携わる。一番下の写真は美ら海さんの指導者でもある、鵜沢美穂子さん。

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    研究日のスケジュール

    7:30~9:00 出発の準備、車移動&朝食

    9:00~12:00 博物館で研究

    12:00~13:00 昼食

    13:00~14:00 研究

    14:00~15:00 休憩&雑草とり

    15:00~16:00 研究

    16:00~18:00 車移動

    18:00~19:00 夕食

    19:00~21:00 勉強・宿題

    21:00~23:00 自由時間

    23:00~7:30 睡眠

    愛読書
    『あなたのあしもと コケの森』(文一総合出版)

    好きなコケBEST3

    1位  ミカヅキゼニゴケ

    三日月状の無性芽器が笑っているように見えるのが好き。日本では珍しい地中海産の帰化種のコケ。

    2位  ホソバミズゼニゴケ

    季節によって、姿が変わる様子が面白い。

    3位  カゲロウゴケ

    世界最小のコケ。越谷市内の中学校で発見!

    ※協力/ミュージアムパーク茨城県自然博物館 茨城県坂東市大崎700  TEL:0297(38)2000 https://www.nat.museum.ibk.ed.jp

    ※構成/大石裕美 撮影/小倉雄一郎

    (BE-PAL 2025年3月号より)

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