未来の生きもの博士が集う!成蹊高校の高校生物部の活動を覗いてみました
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  • 自然観察・昆虫

    2025.03.10

    未来の生きもの博士が集う!成蹊高校の高校生物部の活動を覗いてみました

    未来の生きもの博士が集う!成蹊高校の高校生物部の活動を覗いてみました
    好きなものへの熱意を持ち、知識や行動力にあふれた子供博士たち。

    アウトドアの未来を担う彼らのリアルな姿を見せてもらいました!

    東京都都内屈指の規模を誇る、成蹊高校生物部の博士ちゃんたちに密着取材です。

    生き物博士ちゃん・成蹊高校生物部の皆さんはどんな活動をしている?

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    部員数は約70名。同校の部活では最多。13の班に分かれ、150種以上の生きものを飼育、観察している。また、イワナやヤマビルなど複数の研究チームも編成し、各種研究を行なう。同校では朝ドラのモデルとなった牧野富太郎博士も教鞭をとった。

    研究者顔負けの情熱で生き物の面白さを探る

    生物部のある理科校舎に入ると、取材班全員が声をあげた。足の踏み場がないほど階段に鉢植えが並んでいる。階段というよりもはや“棚”だ。廊下には夥しい数の標本も展示されていた。
     
    部室に入ると、みんなキラキラした笑顔で「こんにちは!」と迎えてくれた。都内屈指の規模を誇る成蹊高校生物部だ。

    「生物部のためにこの高校に入った人?」と半分冗談で聞いたら、半数の生徒が手を上げた。
     
    泉田さんは不老不死で知られるベニクラゲに惹かれた。捕まえて飼いたい! でもどこにいるんだろう? ネットの投稿を調べ、全国の水族館に電話して聞き、流れてくる時期と場所を予測した。

    行ってみると本当にいた! 防波堤から網ですくって約70匹を採集。水槽で飼ってみると約1か月後、水に溶けるように消えた。成長と若返りを繰り返すはずなのに。

    「不老不死なのに死んだの?」

    「そうなんですよー!」
     
    そんな失敗にもめげず、今も笑顔で研究にいそしんでいる。
     
    島田さんはフクロモモンガの担当。今年の夏、捨てられていたところを拾った個体は、下半身に障害があった。そのせいか成長が遅い。通常のエサだと栄養が足りないのかも。

    先生に相談し、与える水にぶどう糖を入れたり、ささみ肉にプロテインを入れたりと試行錯誤している。今後は下半身に補助車をつけて代謝を促し、成長させてあげたい。

    障害のある動物に広く応用できる研究になるんじゃないか。休日を返上して毎日登校し、世話している。

    「近くに住んでるの?」

    「1時間半かけて来ています」

    「!?」

    「休んだのは元日だけでした」
     
    研究者顔負けの姿勢なのだ。
     
    その他、イワナの研究発表で全国2位になるなど学会での成果も出す一方、学園祭などで一般の人に生物の面白さを伝えることにも力を入れている。

    同時に、自分たち自身が生物を通して学びを得ることも大きな目標だ。合宿での採集の様子を嬉々として話す彼らを見ていると、ふとこんなことを思った。生物が心底好きって、地球をいつも楽しめるってことなんだな──。
     
    もっとも、撮影の際、蛇を首に巻いて恍惚とする彼らの表情には、若干戸惑ったけれど。

    学校100年の歴史! 大正時代の天然記念物剥製まで

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    教室前の廊下には無数の標本が展示されている。中でも目を引くのが特別天然記念物トリオ。唯一年代が確認できるトキの剥製は大正時代の作。

    150種以上の生きものを飼育! 年2回の遠征で生物採集&観察も

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    沖縄合宿では、沖縄で唯一カンアオイの自生地がある嘉津宇岳に登り、調査。豊富にいたカタツムリの観察も行なった。夜中2時の干潮時にはリーフ散策。甲殻類や寝ている魚がたくさんいて、容易に捕獲できた。

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    イワナ研究チーム

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    体表の研究で全国2位に!

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    12年続くイワナ研究を吉川さん㊧と古川さんが継承。昨年、体表の斑紋に関する発表で魚類学会の高校生部門で2位に輝いた。日々の活動では、水槽の水の浄化をこまめに行なう。

    鳥班

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    水浴びのあと、体をふいてあげる石田くん。アヒルはもちっとしたフォルムなので名前はおもち。羽を切るクリッピングも先生から習い、生徒主体で行なっている。

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    毎日水浴び するんだ!

    トカゲ班

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    いかついけどおとなしい性格のサバンナオオトカゲを愛でる降簱くん。四六時中舌を出すのはにおいチェックだとか。

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    寂しがりなカメレオンは、合宿で4日留守にすると黒ずんだ色に。西下さんが慌てて手にのせると、鮮やかな緑に変身!

    植物班

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    階段から廊下まで、所狭しと置かれた日本固有種の植物カンアオイ。なんと1000鉢以上! 葉の形状から分類系統を調べるために、北は山形から南は西表まで、全国各地の個体を育てている。

    ヘビ班

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    生物部の先生になるのが夢という平野くんは、沖縄合宿で採取した琉球列島固有種のガラスヒバァを愛で、至福の笑み。一応毒蛇。実害は報告されていないけれども……。

    大型水槽班

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    まるでナウシカのように魚と会話する吉川さん。フナのような魚はカライーバルブ。図鑑にも記載がないため、学校はおろか、水族館を含めても日本唯一の飼育例かも?

    哺乳類班

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    チンチラのロンちゃんを抱く島田さん㊧と、フクロモモンガ(障害を持つ子とは別の個体)のめんつゆを腕にのせる稲宮さん。めんつゆのにおいがすることから名付けられた。

    顧問・サトセンが実はスゴイ!

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    生物部顧問の佐藤尚衛先生。自身も研究者として活動し、全国高校の生物の教科書や問題集の作成にも携わっている。生物全般が好きで、蝶の標本も作製。

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    成蹊高校生物部公式インスタグラム@seikeikoukou_seibutsubuにて、飼育中の可愛い生きものたちや活動報告を投稿中! ぜひ覗いてみてくださいね。

    成蹊高校生物部の心得

    ① 愛着心を持ってお世話すること
    ② 生物の多様性を知り、学問として理解を深めよう
    ③ 自らが楽しみながら、生物の面白さを発信すべし!

    ※構成/石田ゆうすけ 撮影/伊藤菜々子

    (BE-PAL 2025年3月号より)

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