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オリジナルのタグは「愛着」が重要なんです
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「自作したら 愛着ひとしお!」 「犬とペアも いいぞ」
教えてくれた人
SLOPPY DOG TAG
亀田正人さん・夕羽さん
金工作家の家に育った夕羽さんとアウトドアカメラマンの正人さんが立ち上げたドッグアクセサリーブランド。葉山を拠点にイベント出展やオーダーメイドでのタグ制作を行なう。
https://sloppy.base.ec/ Instagram @sloppy_dog_tag
教わった人
編集 オガチン&愛犬マロ
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この愛 受けとめて ほしいよ!
亀田さん(以下亀):見るたびに胸が痛むのが、迷子犬のポスター。どんなきっかけで愛犬とはぐれるかわからないから、迷子札は常に装着しておきたいですよね。
オガチン(以下オ):はい! 今日はゼロからつくれるというので楽しみにしています……が、私でもつくれるでしょうか……?
亀:丁寧に作業をしても、数時間あれば完成させられます。まずは金属板を切り出して、刻印を打ちましょう。真鍮板やステンレス板からもつくれるけど、初挑戦だから柔らかいアルミ板がつくりやすいですね。
オ:ハイ! 工作はわりと得意です! 板を切って穴を開けて刻印を入れてっと……。あ!「MARO」のAが転んだ!
亀:いいアクセントです。手作りのあじわいが出ましたね。あとは槌目を入れて磨き、リングを着けたらタグは完成です。
オ:残るはパラコードで編む首輪、と。なるほど、2つのDリングにリードのフックをかける方式なら、万が一バックルが割れても迷子にならないですね。コブラ編みは強度が高いし、同じ作業を左右交互に繰り返せば編めるから簡単……あ! ひと目間違ってる〜!
亀:それもアクセント! オリジナルのタグは、愛着が重要。安全で強度があれば、少々スロッピー(雑)でもOKです!
STEP1 アルミ板から原型を切り出す
アルミ板は厚さ2mm程度、ドリルビットは直径3mmを使用。
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厚紙で型紙をつくり、紙テープで養生したアルミ板に線を写す。糸鋸で切り出し、ドリルで穴を開ける。
切り出した原型。周囲のバリが鋭いので、切り出し作業は要注意。
STEP2 布やすりでバリを取る
布やすりは#100、#240、#1000などの粒度を複数用意しておく。
板の周囲と穴にできたバリを布やすりでこすって落とす。側面に加え、裏側(ドリル穴が貫通する側)も磨く。
頂点も丸めて!
STEP3 名前と電話番号を刻印
アルミ板にも印字できる硬度の高い英字の刻印とハンマーを用意する。
タグをテープで金床に固定し、表面に犬の名、裏面に連絡先を打刻する。
失敗も愛嬌!
STEP4 槌目を入れて金属磨きで研磨
打面が凸型になったハンマーと液状の金属磨きのペーストを用意する。
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金床の上でタグをハンマーで叩き、槌目を入れる。印字が潰れない強さで叩いてから、金属磨きで磨く。
STEP5 針金からリングをつくる
#12のステンレス線とそれを整形するプライヤー数種、ワイヤーカッターを使用する。
つかむ部分に刻み目があるとステンレス線に傷がつくので、丸口ペンチを使って丸める。
つくったリングをタグの穴に通し、プライヤーでリングを整形。自作リングを通したあと市販のスプリットリングも追加。
タグが完成!
STEP6 パラコードをバックルに通す
好みのカラーのパラコードを4m、バックル1組、Dリング2個を用意する。
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「ちょっと 測りますねー」 「あんまり きつくしないでよ」
コブラ編みの場合、パラコードは首輪の完成時の長さの12倍程度の長さが必要。紐を巻いて首周りを測っておく。
中間点で折り返したパラコードを、Dリングと雌のバックルの穴に通してひばり結びで固定する。表裏に注意。
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雄のバックルに下側からコードを通す。雌雄のバックルの距離を首周りの長さに整えて、残りのDリングも通す。
STEP7 「コブラ編み」で編み上げる
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「やべっ! ひと目、間違った! しかも編み始め……」 「DIYだから スロッピーに!」くんくんっ
同じ編み方を左右反転しつつ繰り返すが、不慣れなうちは間違いやすい。ひと目ずつチェックしよう!
雄のバックルをDリングが下側になる向きで置き、芯になる2本をひと結びで固定する。バックル間の長さのズレに注意。
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芯になる2本の上に左に出たコードを重ねてループをつくる。右側のコードをループにくぐらせる。
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今度は右側に出たコードでループをつくり左側を通す。ループを出す向きを左右交互に変えて編み進む。
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反対側のバックルまで編み上げたら、編んだ部分を編み始めた側に寄せてスペースをつくる。残りはDリングに通す。
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残ったコードは、細長い棒を使って編み上げた部分の内側に引き込んで処理すると見栄えがいい。編み棒があると便利。
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Dリングにドッグタグのスプリットリングを通して完成! リードをつなぐときはフックを2つのDリングに同時にかける。
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Complete!
首輪を装着したら使用感をチェック! 首周りにある程度の余裕がありながら、頭から抜けない大きさかどうか確認する。
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オリジナルにして ジャストサイズ!
モデルで大活躍したマロはその後……
久しぶりに撮影に同行させたマロは、カメラを向けても完全に“無”の表情。でも、じつはとても緊張していたようで、家に帰ったら緊張の系が切れたのか、すぐに大爆睡。珍しくヘソ天になるほど疲れたようです。いい夢見れたかな?(オガチン)
※構成/藤原祥弘 撮影/矢島慎一
(BE-PAL 2025年3月号より)