
そんな冬の時期に、私が時々訪れるブラウゼー自然公園を今回はご紹介します!
一年を通して楽しめるブラウゼー自然公園
人里離れた山間部に現れた神秘の湖

道中はスイスらしい風光明媚な景色が続きます。
白雪を頂く山々と牧歌的風景が延々と続く道をひたすら行くと、突如姿を現すのがブラウゼー自然公園(Der Naturpark Blausee)です。スイス・ベルン州南部のアルプス山脈地域にあるカンデルグルントという所にあります。

ブラウゼー自然公園の入り口。
自然公園内には、山林の中にある小さな湖を中心としていくつもの散策コースがあり、山間の鄙びたところにあるにも関わらず、いつも地元の人々や観光客でにぎわっています。

自然公園内の地図。
公園内には小さなホテル&レストラン、カフェ、スパ施設、さらにはピクニックやバーベキューが楽しめるエリアもあり、なかなかの充実ぶり。
今回私が訪れたのは、2月の日中気温が氷点下だったある寒い週末。入場チケットを購入したら、さっそく散策開始です。
入り口から、舗装された広い道を5分ほど歩いていくと湖が見えてきました。

美しい湖が見えてくると、わくわくします。
「ブラウゼー」はドイツ語で「青い湖」という意味があり、その名の通り湖はターコイズブルーとエメラルドグリーンが混ざったような、神秘的な色をしています。
湖は1万5千年前から存在しているそうで、その昔、山のがけ崩れによってできたのだそう。その後1878年、ブラウゼーとその周辺の土地が個人によって購入され、そこから知る人ぞ知る観光地として発展していきました。
ブラウゼーの人気者?養殖マスたち
湖に来たらまずチェックするのはマス!そう、この自然公園では様々なサイズや種類のマスが育てられているのです。地下から湧き出る泉を水源とした透き通った水の中で、群をなして泳いだりジャンプしたりしているマスたちを見ていると、とても癒されます。

数え切れないほどのマスたち。人を怖がることなく、目の前を悠々と泳いでいきます。
今度は湖をぐるっと周ることにしました。細い道を少し歩き、木製の橋を渡ろうとしたら、階段と橋の表面に積もっていた雪が凍りつき、スケートリンクのようになっていました。そこで手すりを掴み、橋の上をゆっくり歩いていくことに。

日中気温が氷点下だったため表面が凍り付いた橋の階段。「足元注意」の看板がありました。
この橋は人気スポットの一つ。橋が高い位置にあるので、ここから湖と公園全体がよく見え、しかもフォトジェニックな風景も楽しめるからです。

スケートリンクのような状態になっていた橋の上。
また湖底に沈む乙女の像を見ることもできます。

橋の上から見渡せる、絵葉書のような風景。
ブラウゼーには伝説があって、なんでもこの湖の色が不自然なほどに美しいのは、昔々想い人を不慮の事故で亡くし、嘆き悲しんだあげく湖で命を絶ったある乙女が、湖水をその瞳と同じ色に変化させたから…なのだそう。

湖の底で嘆き悲しんでいる乙女の像が見えますか?
季節によって、そして時間帯や湖の場所によってもその表情を変える湖なので、その神秘的な雰囲気からこういった伝説が生まれるのもうなずけます。

青い湖面に映る木々と雪山、そして湖の中を泳ぐマスたち。
さて湖を一周した後は、ホテルの裏に続く道へ。ここにはマスの養殖場があります。

レストランやホテルなどの施設裏にある、マスの養殖場。
アルプスの天然水で大切に育てられた「有機マス」を使った高品質かつ新鮮な魚料理は好評で、周辺地域のレストランへも卸されるほど。さらにブラウゼーのレストランはフランス発の本格レストランガイドとして知られる「ゴ・エ・ミヨ」にも掲載されていて、様々なマス料理が楽しめます。

自然公園入り口のギフトショップで新鮮なマスも買って帰りました。
大きな岩場や木々に囲まれた自然の中で、心と体をデトックス
養殖場前の道を通りすぎた後は、湖から少し離れた山林の中の散策道を歩くことにしました。
自然公園入り口から湖のほとりに続く道は舗装されており、道幅も広いので誰でも歩きやすいのですが、林の中の道は舗装されていたりいなかったり、傾斜がある狭い道も少なくないので、湖の辺りに比べてひっそりとしています。

湖のほとりと異なり、林の中の遊歩道は静か。落ち着きます。
鳥が鳴く声や雪が落ちる音、木々の枝葉がサラサラ音を立てる様子などに耳を澄ましながら散策していると、心身がデトックスされていくように感じます。

大きな岩の間にある階段を上がって行きます。
自然公園内をざっと一通り歩き回った後は、散歩のしめくくりにコーヒータイム。ある時は店内で、寒すぎない日は湖の前で、碧色の湖面とマスに見とれつつ憩いのひと時を過ごしたらエネルギーチャージ完了!翌週も頑張ろう、という気持ちで家路についたのでした。

たっぷり歩いた後は休憩タイム。

1998年~2009年までアイルランドで暮らした後、2009年からスイス在住。スイス始め欧州の国々のさまざまな興味深い情報を雑誌やウェブサイト、ラジオ等のメディアにて発信中。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員