
塩害とはなにか

クルマから滴り落ちた塩水が結晶となっている。
塩害とは潮風や台風が持ち込む海水など、塩が原因で引き起こされるあらゆる被害の総称ですが、クルマ好きの間では融雪剤や潮風が車体に錆びを引き起こすことで知られています。これは、路面の凍結防止に使用される融雪剤に含まれる塩化カルシウムが原因です。
融雪剤は冬季の高速道路や寒冷地においては一般道でも頻繁に散布され、走行しただけでボディはもちろん、下回りが融雪剤まみれになってしまいます。愛車を融雪剤による錆から守るためには、入念な下回りの洗車が必要になります。
下回り洗車に用意するもの

高圧洗浄機のノズルは角度の付いた物の方が複雑なボディ形状に対応できるため、断然おすすめ。
下回り洗車ではカーシャンプーなどは特に必要ありませんが、下側から真水を噴射できることが必要不可欠になります。園芸用の散水ノズルでも下回り洗車はできますが、高圧洗浄機があれば尚良いでしょう。水の噴射角を挟角~広角に自在に変換できる可変ノズル仕様の高圧洗浄機なら、広範囲を余すことなく、高い水圧で融雪剤を効果的に落とすことができます。
特にここが錆びる!しっかり洗うべき場所とは
車体後部の下面

ボディの下側にしっかりノズルを入れ込み広範囲を洗車します。
車体後部は、走行中に前輪が巻き上げた融雪剤を含んだ水(塩水)を常に浴び続け、クルマが走ることによって前方から受ける「走行風」が当たりにくく乾燥しづらいこともあり、特に錆びやすい箇所です。
なかでも、サスペンションのバネの受け部分やアーム類の取り付け箇所は、錆が進行して穴が開くほどに朽ちてしまうと、安全上の理由から車検に受からない場合もあります。特に入念な下回り洗車をして、錆を防ぐようにしましょう。
サイドシルの下

高圧洗浄機の角度付きノズルなら車の真下や内側から水を当てられるため、しっかりと洗うことができる。
サイドシルとは、ドアの下にある敷居部分のこと。こちらも下部分に前輪が巻き上げた塩水を浴び続けたり、巻き上げた小石などが塗装面を傷つけて鉄板の地肌が塩水に晒されることから、非常に錆びやすい箇所です。
また、サイドシルは融雪剤だけでなく泥なども付きやすく、湿った泥が錆を呼び込むこともあるため、日頃から入念に洗っておくことをおすすめします。エアロパーツやサイドステップ付きの車種はサイドシルを外側から洗うのは難しいですが、角度のついたノズルであれば内側に入れ込んで洗うことができます。
フェンダーまわり

フェンダーだけでなくタイヤハウス内全体を入念に洗うようにする。
フェンダーとは、タイヤ周りのアーチ形状のボディ部位の呼び名で、さらに内側のタイヤが収まっている空間のことをタイヤハウスと呼びます。フェンダーの端部は鉄板が折り曲げられていることや、リアバンパーなどの部品を取り付けるためのネジが切られていたりと、付着した塩水が落ちづらい複雑な構造となっています。
さらにタイヤが巻き上げた小石などが塗装面を傷つけやすく、錆の発生が起こりやすい箇所です。加えて複雑な構造が泥や砂も溜めこむので、それらが吸った雨水も乾燥しづらく錆の原因となってしまいます。
フェンダーを洗う際はボディにノズルを当てないように気を付けながら、タイヤハウス内から外に向けるように水を噴射しましょう。
下回り洗車の頻度とタイミング
もしクルマを錆から徹底的に守りたいのであれば、融雪剤が撒かれた道路を走行したあとに、可能な限り早く下回り洗車を行うのが望ましいです。時間を置くと塩水から水分が抜けてべっとりとした状態になり、こうなると高温のスチーム洗車などをしなければ完全に落とせなくなり、一般的な家庭では難しい状態となります。
融雪剤が撒かれるような天候のときは水道も使えないこともある上、日頃からそのような路面を走行する人にとっては難しいこととは思いますが、下回り洗車機能のついた洗車機を利用するという手もあります。冬の高速道路を走行したあと、しばらくクルマに乗らずに保管するといった場合は、クルマを降りる前に洗車機に入れるだけでも、錆の進行を食い止めることができます。
塩害から愛車を守り大切に乗ろう
寒冷地や沿岸部では、故障していなくとも塩害による錆でクルマが寿命を迎えることも珍しくありません。日頃からの入念な下回り洗車をし、塩害から大切な愛車を守って快適なカーライフを送りましょう!