近年のバックパックは、表面生地の「撥水性」くらいは当たり前。だが「防水性」となると生地は重くなりがちで、そこを軽量にすると破れやすくなり、破れにくくすると今度は高価に……。なかなか難しいものだ。
そんななかで、モンベルの「グラナイト パック30」はおもしろい存在である。
これはアウターの「非防水性」バックパックに「防水性」インナーバッグを組み合わせたもの。
インナーをアウターで保護することで、薄手の素材でも高度な防水性をキープしながら、1㎏
少々に仕上がっている。しかも1万円台だ!
今回の山中でのテスト&撮影時は小雨程度だったが、この後には大雨の際も使用。だが、内部の荷物の濡れは一切ない。各部のハーネス類には厚みがあり、重い荷物も難なく背負えた。
ただし、アウターの撥水性には限りがあり、大雨に打たれていると表面自体は完全に濡れる。それが嫌な人は、従来のようにカバーを使うしかない。しかし中身さえ確実に守れればいいという人には、軽くていい。これからの季節、表面に付着して雨以上に煩わしいみぞれもシャットアウトしてくれるはずだ。
個人的な要望としては、容量30ℓ未満のものも作ってほしいということ。より小型のものがあれば街でも使いやすいだろう。
モンベル/
グラナイト パック30
一見シンプルなバックパックながら、その内側にはほぼ同じサイズの防水性バッグ「アクアバリアサック」を配した2重構造。背面のパネルに使われているフォーム材も保水しない素材が使われており、非常に雨濡れに強いバックパックになっている。容量は30ℓで、重量はわずか1.12㎏だ。
¥14,600
容量:30ℓ
サイズ:高さ57×幅30×奥行き19㎝
重量:1.12㎏
素材:210デニール・バリスティックナイロン、ハイドロプロ2レイヤーなど
カラー:ブラック、ダークマラード
◎文=高橋庄太郎
アウトドア系の道具の中でも、とくにバックパックを愛するフリーライター。
道具好きが極まって、最近は商品開発にもかかわっている。
著書に『山道具 選び方、使い方』など。
※撮影/加戸昭太郎