新進気鋭のジャパンブランド、ティートンブロスが画期的な新素材を開発した。それが「NU
(ニュー)ウール」。高品質なメリノウールにポリプロピレン(PP)を交編した素材だ。
「これは肌面にPPを配することで汗の戻りを抑え、寒冷な状況でハードに動いても汗冷えしないことを狙いました」と同社代表の鈴木紀行氏はいう。
PPは保水性がゼロのため、水に浸かっても繊維自体はまったく濡れずに水を弾く。だから肌にPP製の肌着を、その上に吸湿性のよいウールやコットンの下着を着ると汗や水分が外へ外へと運ばれ、肌面はつねにドライに保つことができる。この働きを応用した「疎水性アンダー」はカヌーやスキー愛好者に大きな人気を博しているのだ。
「このふたつの素材を立体構造の二重ニットに編み上げることで、疎水性アンダーとウールの役割を一着で完結させました」
実際に縦走登山に使ってみたが、感心したのが汗冷えのなさ。どんなに汗をかいてもどんどん外へ出るためにドライでベタツキがない。また立体構造のニットはノビが良いだけでなく、その隙間にデッドエアを蓄えるので、上にシェルを着込むとかなり暖かいのだ。厳冬期にはこの構造が強い味方になるだろう。スキーなんかに最高なのだ。
素材のアップ。上が表面で下が肌面だ。青い繊維がメリノウールで黒い繊維がポリプロピレン。ワッフル生地のような立体的な二重構造で、肌面の汗を表地に吸い上げて拡散、蒸発させる。肌面にはPPが接するため、吸い上げられた汗は戻らずつねにドライな状況が保たれる。
ティートンブロス/
ニューメリノフーディ
ティートンブロスが世界的なウール編み物産地である愛知県一宮市の繊維業者と協働して開発した「NU Wool」を使ったアンダーウェア。肌に優しく、湿気を含むと発熱するメリノウールの特性はそのままに、肌面にポリプロピレンを交編することでドライな着心地を両立。スキーなど寒
冷な状況でのアクティブな用途で威力を発揮する。
¥18,000
大海原から6000m峰まで世界中の自然を旅する全天候型アウトドアライター。Twitterアカウントは「@hobojun」
◎撮影/中村文隆