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水星と金星のランデブー。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)
水星を見たことがありますか? 日の出直前と日の入り直後の、わずかな時間にしか見られない水星は、ちゃんと見えるチャンスが少ないものです。そんな水星が、3月の初めから中旬にかけて見ごろを迎えます。
3月1日夕方、月齢1.4の激細の月と水星が大接近
3月1日の夕方、西の空で月齢1.4の激細の月と水星が接近します。月齢1.4というのは三日月の半分ですから、肉眼で見えるかどうかギリギリの細さです。これほど細い月と水星が近づくことは滅多にありません。あらかじめ「星空ナビ」などの星空アプリで月の位置を確認しておきましょう。三日月を過ぎたくらいの月は、なんとなく見上げても目に入りますが、月齢1台の月はアテをつけておかないと見つからないでしょう。それぐらい細いのです。
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3月1日 18時20分ごろの西の空。低いところだが、金星の下のほうに目を凝らそう。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)
その月の近くに水星が寄り添っています。見つけ方としては、まず、西の空にまばゆく光る金星を見つけましょう。マイナス4等と、とっても明るいので必ず見つかります。その下のほうに水星があります。水星はマイナス1等くらいの明るさです。「この辺」とアテがついていれば見つけられるはずです。
最接近は日中の15時ごろなので、早い時間の方が月と水星の距離が近く、地平線からも離れていますが、太陽の輝きに邪魔されてしまいます。日没から45分ほど過ぎたころ、東京であれば18時20分ごろが、比較的見やすい時間帯です。水星と月はかなり低くなるので、高いビルから見るなど、西側の見晴らしのいい場所を確保したいところです。月齢1.4の月が、どんな形をしているのか、ぜひ見届けてください。
3月12日、金星と水星が大接近
水星は3月8日に「東方最大離角」を迎えます。東方最大離角とは、水星が太陽からもっとも離れて見えるときです。
地球より内側を回る水星は、地球から見るといつも太陽と同じ方角にあります。そのため日の出前と日の入り後のわずかな時間帯にしか見られないのですが、東方最大離角のときは太陽からもっとも離れて、見ごろになるというわけです。ちなみに、「西方最大離角」の水星の見ごろは日の出前になります。
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3月8日と12日の18時30分の西の空。目印の金星はマイナス4等級。金星が見つかったら、その少し東より(左より)に水星がある。12日には高さがほぼ並ぶ。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)
水星の東方最大離角は8日ですが、この日を過ぎてからの方が見つけやすいかもしれません。明るい金星がどんどん接近してくるからです。
水星と金星がもっとも近づくのは12日の18時過ぎです。日の入り30分後でも、地平線から10度くらいの高さがあり、絶好の観察チャンスです。12日は双眼鏡の視野に、水星と金星の2つが収まるでしょう。
一度、水星を自力で見つけられると、次は見つけやすくなります。チャンスは15日ごろまで続きますので、天候のいい日を狙って西の空をチェックしてみてください。
構成/佐藤恵菜
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