私の名は橋爪ヨウコ39歳。身体はしっかり熟れてきているが、芸人としてはなかなか売れずにいるお笑い芸人だ。
夢の《ヒマラヤツーリング》を達成した後(BE-PAL.NETで配信中)、「またもや冒険に繰り出そう!」と目的地を《ベトナム》に決めた。
その前に練習がてら、愛車のスーパーカブ110で「熊本まで走りに行ってみよう!」と出発したのが、前回までのお話となる。
フェリーを降りて颯爽とバイクで走りぬける…はずだったのに
仕事の関係で熊本の旅に使える日数は5日間。限られた時間を有効に使おうと、東京から横須賀港まで下道で3時間バイク走行。そこから新門司までフェリーで21時間…。
かなり船酔いし、‟船上のマーライオン”になりながらも、何とか九州最大のフェリー基地「新門司港」に到着したのである!

お世話になったフェリーと愛車のツーショット。
ここからやっと、九州バイク旅が始まる。新門司港から熊本までは下道で約5時間。気合いを入れてフェリーから下船しようとすると…ん?何やら不穏な音が聞こえる。
『……ザーザーザー!!!』
え!?まさかの大雨!!
出発前に、天気予報を確認していたときには雨予報ではなかったのに…大ハズレ。思わず「聞いてないよー!!」と同じ事務所の大先輩「ダチョウ倶楽部」さんのギャグをナチュラルに使ってしまうほど、予想外の展開になってしまった。
「この大雨で、山道を走れるのか?」
早速、心が折れ始めてきた。だって季節は4月。春とはいえど気温は寒い。
しかも天気予報を信じきっていた私は、かろうじてレインコートは持ってきていたものの…防水ではないバッグで来てしまっていた。
「こういう時に万全な準備をしておけよ」と、ヒマラヤツーリングで学んでない自分を反省。このままではバッグが濡れてしまう。急いで近くのコンビニまで走り、雨から守れそうなものを探す事にした。
「こ、これしかない!!」
とバッグがすっぽりと入りそうな大きめの【北九州指定のビニール袋】を購入。すぐさまバッグを包み込み、バイクにくくりつけた。

これで大丈夫…か?
「よし、やっと走り出せる!」と思ったのも束の間、時刻はすでに22時。夜の山道とあいにくの天気。さすがにこのまま走り出す事は危険と判断し、素泊まり出来る旅館を探し宿泊した。
今回熊本に行く目的は3つ。《ベトナムに向けての練習》《愛車で大好きな阿蘇山を走る》《生放送のラジオとお笑いライブに出演》というお仕事が翌日に控えていた。
どんなハプニングが起きようと、明日の15時からの生放送ラジオには絶対に間に合わなくてはいけない。
明日の天気予報は曇り。 Googleマップの検索結果では、新門司から熊本まで下道で5時間かかる。休憩なども入れて7時間もあれば余裕で到着出来るだろう。
朝7時に出発することを決め「明日こそは晴れてくれ!!」と強く願いながら、眠りについた。
一夜明け、眠い目を擦りながらカーテンを開ける。
「……ザーザーザーザーザー!!!!」
『………………聞いてないよーー!!!』
本家のダチョウ倶楽部さんも引いてしまうほどの大きな声で叫んでしまった。
……嘘だろ?昨日よりも雨が強くなるなんて、本当に聞いていない。
「長崎は今日も雨だった」と前川清さんが歌っていたけど、九州は今日も大雨だった。
ただ、出発しないわけにもいかない。レインコートを着込み、もう一度【北九州指定のビニール袋】にバックを入れ、バイクにくくりつけた。
よし。ここから土砂降りの中、5時間。ノンストップで向かえば昼過ぎには到着出来るだろう。行ってやろうじゃないか。気合いを入れ直して出発した。

ヒエー、雨が凶器!
走行してすぐ「これ…5時間耐えられるのか?」と不安に襲われてきた。何故ならバイクを走らせるたびにあたる雨水が身体に強く当たり、デカイ針で刺されているような痛みと寒さを感じたからだ。
「あぁ…もし今絶対に隠さなくてはいけない犯人を私が知っていたとしたら、秒で言ってしまうかもしれないな…」と思うぐらいに、心は折れていた。
それでもメロスのように走ること1時間。土砂降りの山道に差し掛かってきた。天候のせいか、車もバイクもほとんど見かけない。永遠と続く山道を進んでいく。

ワイルドな木々たちに見守られながら、少し休憩!
懸命に山道を走り続けるが、土砂降りのせいで視界が見えづらくとても怖い。
雨が目に当たらないよう防水されたシールドを下げてはいるが、弾いても弾いてもシールドに付着する雨(しかも寒暖差でシールドが曇る~)。
視界を確保しようと仕方なくシールドを上げて走行するが、今度は雨が顔に当たって痛くて寒い。
「私…もう無理かもしれない…」
まだ走り出したばかりなのに、すでに頭の中ではZARDの「負けないで」が繰り返し流れていた。
まだ1時間ちょいしか走ってないので、ゴールは全く近くない。それでも脳内再生されたZARDの透き通るような歌声と歌詞に励まされていた。
そんな「負けないで」の曲の偉大さのおかげか、過去最大級の集中力を発揮。そのまま3時間ノンストップで山道を走り続ける事が出来た。
気づいたら、グローブは絞れるほどびちゃびちゃになり、手もシワシワ。ブーツの中もびっしょり。身体もビールだったら最高なのになというぐらいにキンキンに冷え切っていた。
マップで現在地を調べる。3時間も頑張って走ったしな…とスマホを見てみると「目的地まであと4時間」の文字が…。
「……全然進んでいないじゃないか!!」
安全運転を心がけたおかげで事故には遭わなかったが、かなり時間を使ってしまっていたようだった。しかも私の愛車《スーパーカブ110》は乗りやすいが、山道を進むには少し馬力が弱い。
何度も何度も心が折れながら休憩なしで走り続けること7時間半。予定よりも2時間半遅れで、目的地であるラジオ局に到着した。

無事間に合った、ばってん荒川Jr.さんのラジオ。聴いてくださった皆様、ありがとうございました!
レインコートもびしょ濡れになるほどの大雨。『ちびまる子ちゃん』に出てくる藤木くんぐらい唇が真っ青になりながらも、無事「ラジオの生放送」と「お笑いライブ」に出演する事が出来た。
ギリギリではあったが、熊本バイク旅の一つの目的は達成!道中、土砂降りの山道でトコトコ走るシルバーマークをつけた軽トラのおじいちゃんに追い抜かれた時は『あ、これは間に合わないかもしれん…』と思ったけど、諦めないで本当に良かった!
想像したよりもだいぶ辛いツーリングになってしまったが、明日はついに大好きな阿蘇山を走る予定だ。

明日も…頑張れるのか!?
宿泊先のカプセルホテルで横になりながら、明日の天気予報を調べてみると…
『熊本・・・降水確率70%』
またかよ!!どうなる!?橋爪!?
次回もお楽しみに!