
キャンピングカーの達人、伴 隆之のニューモデルレビュー
軽ベースとは思えない上質空間にクーラーを標準装備

OKA MOTORS「Miniature Cruise CP」。全長×全幅×全高:3395×1475×1895mm。乗車定員:2〜4人、就寝定員:2人。
2011年に発表された「ミニチュアクルーズ」はスズキのエブリイをベースに「日ごろの足としても使え、遊びや旅に気軽に使える軽キャンピングカー」がコンセプトでした。発売されるやいなや、当時はなかった本格的な装備に加えて家具の作り込みの高さ、寝心地抜群のベッドマットなど、こだわりが詰まったこのモデルは瞬く間に軽キャンパーシーンで頭角を現しました。
その後、ニーズに合わせてシリーズ化が進み、右サイドにロングカウンターを搭載する「Cozy」、和テイストをふんだんに盛り込んだ「遍路」、充実した電装システムを標準装備する「SV」といった派生モデルも登場。
さらに、ベース車についても2021年にダイハツのアトレー/ハイゼットカーゴがフルモデルチェンジを行ったのを機に、アトレーをベースにしたシリーズも展開しています。ミニチュアクルーズシリーズは13年で累計1600台オーバーの販売台数を誇る、軽キャンパーでも定番かつ人気のシリーズとなっています。
今回紹介する「ミニチュアクルーズCP」のCPとはクーラーパッケージの略で、以前はパッケージオプションの扱いでした。しかし、今年のモデルより家具類などの見直しと合わせてモデル化されました。それでは細部を見ていきたいと思います。
快適性のアップに加え、今まで以上に使い勝手が向上
細部の解説をする前に2024年に登場し、先日もアトレー版を紹介した「ミニチュアボックス」シリーズと「ミニチュアクルーズ」の違いにも触れておきましょう。
ミニチュアクルーズはミニチュアボックスとは異なり、シンクに蛇口といった水まわりをはじめ、上部収納に電装システム、断熱施工など、本格的なキャンパー装備を備えているのが大きな特徴。そのぶんミニチュアボックスに比べて価格も高くなっています。
このCPですが、ミニチュアクルーズやミニチュアクルーズSVとは違い、ミニチュアボックスで採用される2つのリビングモードを搭載。どちらのモードもフロアに足を着いて休憩や食事ができるのが大きなポイント。

対面対座モードではセカンドシートと荷室のベッドマットを利用して2人が向き合って休憩・食事ができる。

L字ソファモードにも展開可能。マルチウェイテーブルにより、好みの位置にテーブルが固定できる。
クーラーは荷室左側にあるキャビネット内に収まっており、存在感を感じないほど。クーラーの電源は自身でポータブル電源を用意するか、オプションの外部100V電源入力が必要となります。
電源付きのキャンプ場やRVパークで過ごすなら、暑い日でも車内で快適に過ごすことができます。電源が取れない場所であれば、AC出力1000W以上のポタ電があれば容量により数時間はクーラーの稼働ができる仕様になっています。
また、乗車定員もオプションで2人乗車・3人乗車が選べるのも特徴で、セカンドシート部分を片方あるいは両方なくすことで、この部分にポータブル電源やポータブル冷蔵庫を設置することができるようになっています(取材車は3人乗車仕様)。

左キャビネットにクーラーをビルトイン。上部の小物入れや下部にも収納スペースを用意。跳ね上げ式の扉はカウンターとしても利用可能。

クーラーの室外機は荷室フロア下に設置されている。

乗車定員を2〜4人から選択が可能。2人もしくは3人乗りの場合はセカンドシート部分を写真のように収納に利用できる。

取材車は3人乗り仕様で、セカンドシートは左側のみで、右側をポタ電置きとして利用。ポタ電はクーラーの電源などに充てられる。
ベッドや家具の質感は普通車にも負けない質の良さ

ベッドサイズは長さ1820×幅1240mm。こだわりのマットは寝心地抜群。寝ながらテーブルの利用も可能。

6枚のベッドマットは荷室にきれいに収まる設計なので移動時でも邪魔にならない。
左右のキャビネットはシリーズに共通する高強度組み家具工法を用いた耐久性のある家具を採用し、さらにリビング展開時に活躍するマルチウェイテーブルも装備。シンク横にある蛇口は引き出し式のシャワーとして使えるので、バックドア側へ引き出して汚れたアウトドアギアやワンちゃんの足を洗ったりできて便利。
定評のある3層構造ウレタンを使った60mmのベッドマットは硬さも触り心地もよく快適に就寝が可能。7枚で構成されるマットも軽くてセットもしやすいのがうれしいところ。

右キャビネットにはシンクやシャワー付き蛇口、スポットライトなどが備わる。シンク下には給水タンクが備わる。

可動式のLEDスポットライトは標準装備。便利なプルダウン式の3面鏡はオプション。

蛇口部分は引き出して外部シャワーとしても使える。キャビネット後部にシャワーフックも装備。

スライドドア下には外部ステンレス製排水タンク10Lを設置。

飾り板付きLEDダウンライトのほか、右キャビネット上部にはティッシュホルダーや収納棚、集中スイッチが備わる。

左スライドドア上部にはLED間接照明のほか、使い勝手のいい2か所のハンガーフックを用意。
価格は326万2600円〜とやや高めの設定ですが、標準装備が充実していることや作りの良さを考えると納得のいくプライス。後からあれこれと付けるよりも、最初からベストな状態で快適な旅をしたい人には一考の価値あり。シリーズ最高峰だけに快適で居心地の良い1台となっていました。
問)岡モータース