
特に軽キャンパーなどコンパクトな車両はシュラフ派が多く、ボディサイズが大きくなるにつれてふとん派が増えていくような感じがします。
最近、SNSやYouTubeなどで取り上げられて話題となっている「ふとんファクトリー」は車中泊専用の寝具を製造・販売。そこで今回は本社・工場へ潜入し、ふとんファクトリーの人気の秘密を調べてきたので紹介したいと思います。
1966年創業の老舗寝具メーカーの新ブランド「ふとんファクトリー」

香川県・高松空港の近くにある四国繊維販売(ふとんファクトリー)の本社・工場。
「ふとんファクトリー」ブランドを展開するのは香川県にある四国繊維販売という会社。
1966年に創業し、来年には60周年を迎える老舗の寝具メーカーで、数多くの取引企業から個々の依頼・仕様に合わせさまざまな寝具を製造。日本で作られるふとんの約5枚に1枚はここの製品。近年、寝具は海外工場での製造が多いなか、四国繊維販売では素材の仕入れ以外の企画から製造まで一貫して自社で行っています。
そんな同社が2017年に立ち上げたブランドが「ふとんファクトリー」で、2021年10月より車中泊に特化したオリジナルの寝具を展開。ここでは企画・製造はもちろんのこと、販売や寝具の配送まで行っているのが大きな特徴。海外生産され国内倉庫などでストックされたものではなく受注してから製造されるため、できたてほやほやの寝具が手元に届くといった嬉しさと安心感があります。
独自の経験・ノウハウを活かした車中泊専用寝具

中心にあるのがクッション材(固わた)でそのまわりにふわふわのワタ(巻わた)が巻き付けられて敷き布団ができる。厚さや素材、構造などは敷き布団のタイプにより異なる。
ふとんファクトリーの商品群はおもに敷き布団にマット、掛け布団、枕など。車中泊専用シリーズは一般的な寝具とは異なり車内での環境を踏まえ、「寝心地(クッション性)」「耐久性」「メンテナンス性」「サイズ」といった性能に注力して開発・製造されています。
キャンピングカーのベッドや市販のベッドキットは当然フラットではあるものの、そのまま寝るとなると寝心地が思いのほかよくなかったりするものも、なかにはあったりします。そこで、敷き布団にはクッション材の芯にふわふわした綿を使って寝心地のよさを実現。
当然、布団の表皮(カバー)も耐久性や触り心地、デザイン性などにこだわっています。さらに、敷き布団用の「汚れ防止パッド」や「車中泊専用マット」を上に敷くことでさらに寝心地がアップできるようになっています。これらについては50年以上に渡る経験やノウハウがあってこそで、独自のクッション材の厚みや配合などはここならでは。
<寝具はこうして作られる>

①ふとんの詰めものとなる原料は合繊(ポリエステル)、羊毛(ウール)、羽毛(羽根)など。こちらはポリエステル。

②専用の機械で原料を細かくほぐしていく。

③細かくほぐされたら均等に伸ばしていく。

④伸ばしたものを仕様に合わせ幾重にも重ねていく。

⑤幾重にも重ねた後、冷ましてから裁断機にてカット。クッション材のラインのほかに綿のみのラインもあり、同時に製造。

⑥上下の綿の間にクッション材を挟む。

⑦専用機械により布団カバーに詰め物が自動的にスッと入っていく。

⑧詰めものの素材や配合は商品によってさまざま。

⑨布団カバーの倉庫。ここだけでも広大な広さと高さでびっくり。

⑩カバーの生地は肌触りがよく耐久性のあるコットン100%オックス生地を採用。裁断し商品によってはファスナーが取り付けられる。

⑪羽毛製品の場合、違うラインで羽毛がほぐされたのち、専用タンクからホースを使って布団へ注入されていく。

⑫汚れ防止パッドは巻わたとカバーを多頭ミシンにより縫製し、その後、自動で断裁される。

⑬機械で断裁された後、規格やオーダーに合わせてさらにカットし周囲を縫い上げる。

⑭完成したら最後に検品。仕様通りに仕上がっているか入念にチェック。

⑮検品をクリアしたらいよいよ袋詰め。

⑯最後に梱包されて依頼者の元へと発送される。
愛車にジャストサイズの布団がオーダーができる!
もうひとつ特筆すべきポイントが、「カスタムメイド(別注)」対応の商品を用意していること。キャンピングカーのベッドやベッドキットのサイズは一般的な寝具のようにシングルやセミダブル、ダブルといったサイズは存在せず、車内寸法や車内レイアウトによりベッドサイズが異なります。
そうしたサイズ違いはもちろんのこと、例えばタイヤハウスや家具の張り出した部分を逃げてカットした敷き布団やマットなどもオーダーができます。既に製作実績のある定番のキャンピングカーなどは型も保存しているので、問い合わせてみるのもいいでしょう。
注文についてはオンラインショップ内のオーダーフォームとメールで仕様書を送れば見積もりを出してくれます。さらに、ふとんファクトリーまでマイカーで訪れれば、その場で採寸も行ってくれ、実際に数多くの人がここまで来てオーダーしているとのこと。お遍路やうどん巡りなど、旅のついでに立ち寄ってみるのもお薦めです。
納期は定番の商品は注文から7営業日までに発送(送料は無料!)。カスタムメイドのほうで約4週間が目安となっています。

家具などの張り出し部分にかからぬようカットし、ベッドの形状にジャストフィット。

キャンピングカーにはこうした形状のベッド形状も数多く、これらに応じてワンオフで敷き布団やマットを作ってもらえるのはとてもありがたい。

人気のキャンピングカーはすでに型が用意されているものもある。

オーダーに間違いがないか、生産指示書を確認しながら作業を行う。

タグのサイズ表記も一般的な布団のサイズではないのが特注の証。

基本のカバー表皮以外にも、よりオリジナリティを求める人にさまざまなカラーや素材を用意(別料金)。こうしたことができるのもここならでは。

ペット用ベッドの製作も可能。サイズや価格などは要問合わせとのこと。
ふとんファクトリーでは本社にあるショールームで実際に商品を見て触れるほか、上記で紹介しているような工場見学も開催(要予約)。
とくに工場見学では、毎日当たり前のように使っている寝具がさまざまな工程を経て出来ていく様子を間近に見ることができるだけでなく、同社のこだわりなどもよくわかるため、ぜひとも行ってみるといいと思います。申し込みはホームページのメールフォームから受け付けています。

寝心地などをチェックしたい人は本社ショールームに行くのがお薦め! さまざまなモデルが試せるほか、クルマで来訪すれば実際に車内に置いてみることもできる。
定番・人気5アイテムをチェック!
1 車中泊専用敷ふとん(コットン)
芯となるクッション材は家庭用と同様のものを採用し厚さは約5cm。布団全体の厚みは8cmで、クッション材の周囲に巻わたを入れることで硬すぎないちょうどいい寝心地を実現。抗菌防臭、防ダニ仕様でカバーのカラーは墨黒で落ち着いた風合い。60×180cm〜160×180cmまで6サイズを用意するほか、カスタムメイドにも対応しています。
価格は1万1000円〜2万8000円(サイズにより異なる・カスタムメイドは別料金)。
2 車中泊専用 汚れ防止パッド(アンデス)
敷き布団やマットの上に敷いて寝具の汚れを防止してくれるのはもちろん、お洒落なデザインで車内の雰囲気もアップ。中綿入りでさらに寝心地がよくなるほか、洗濯もオーケーなので清潔なまま使えるというのも魅力。上記の敷きふとん(コットン)と同じで6サイズに加えカスタムメイドにも対応。カラーは写真のブラウン以外にネイビーも用意。
価格は9000円〜1万4000円(サイズにより異なる・カスタムメイドは別料金)。
3 車中泊専用敷ふとん(オレルコットン)
車中はもちろんのことテントでも使うことを考慮し、布団の中へダニが侵入しづらいよう中綿には帝人「マイティトップ(R)Ⅱad ECO」を使用。中綿そのものに防ダニ効果があるためダニを寄せ付けにくくなっています。さらに優れた抗菌防臭仕様により細菌の増殖を抑制し、防臭効果と合わせ安心して利用ができます。
ほかにも付属のベルトにより折りたたんでベルトで固定すれば省スペースかつ持ち運びも楽に行えるようになっています。サイズは3サイズでカラーは3色から選べます。
価格は1万1000円〜1万5000円。
4 車中泊専用 ロールマット
帝人が開発したV-Lap(R)を採用し、厚さわずか3cmながら体をしっかり支えて底付きもなし。3サイズをラインナップしどれも軽量のため楽に持ち運びができ、くるっと巻いてベルトで留めれば 場所も取らずに収納も可能。
表面には肌触りのやわらかさがクセになるニット生地を使用し、 裏面はメッシュ生地により通気性がよく蒸れずに快適な睡眠が行えます。カバーは取り外して洗濯できるのもポイント。
価格は9000円〜1万1000円。
5 クッションにもなる羽毛ふとん(アンデス)
羽毛ふとん、ふとんカバー、クッションカバーの3点セット。日本羽毛製品協同組合が設けた洗浄基準値(500㎜)を大きく超える洗浄度(1000㎜以上)の羽毛を使い、カバーもマチのない平キルトでは縫い目から熱が逃げてしまうが、立体キルト加工にすることで空気が抜ける隙間を少なくし、高さを増すことで暖かさを維持。
使わないときはクッションカバーに収納してクッションとして使えるのも便利。アンデス柄は写真のブラウンとネイビーから選択が可能。
価格は2万2000円。
車中泊で寝心地がいまいちと感じている人やベッドサイズで困っている人にチェックしてほしいふとんファクトリー。工場見学をしてみてメイド・イン・ジャパンの誇りを感じるていねいな物作りが印象的なブランドでした。