カナダ・アルバータ州の「森」と「平原」でスノーシュー!軍配は?【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】
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    2025.03.19

    カナダ・アルバータ州の「森」と「平原」でスノーシュー!軍配は?【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】

    カナダ・アルバータ州の「森」と「平原」でスノーシュー!軍配は?【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】
    季節が北半球とは逆転する南半球。てなわけで、うだるような暑さのオーストラリアから抜け出し、ウィンタースポーツや雪遊びの本場の一つであるカナダのアルバータ州にやってきました。

    だ~け~ど。滞在していた2月上旬は異常とも言える大寒波が到来していて最低気温はマイナス35度!!! 最高気温ですらマイナス25度!!!

    どうも。ビックリマークをつららのように連発したくなったオーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。

    なんだかんだで合計3回もスノーシュー【カナダ・アルバータ州旅1】

    このあたりの冬は常にこんな気温だというわけでありません。普通は最高気温は10度から0度、最低は0度~マイナス10度くらいらしく、私が到着する前日もそんな感じだったのです。ところが到着した日からこの大寒波!

    カルガリー国際空港到着からホテルに向かうライドシェアに乗ったのが夜10時くらいだったのですが、外に出た途端、おもわず気絶しそうになりました。まあ天気予報で寒波は確認していたのに、本格的な防寒具はスーツケースに入れたままで「機内で快適に過ごせる仕様」の服装でのこのこ出てきた私が悪いのですが。

    …でもマイナス30度とかどんな寒さかそもそも想像できないし。

    「ロッキー山脈で見つかった化石です」と掌に乗せて見せるガイドのチェルシーさん。でも…素手! 素人は決してマネしないでください。

    上は保温・発熱系のシャツの2枚重ねにダウンジャケット。下は保温・発熱系のタイツに冬用ズボン。

    その他帽子とネックウォーマーと手袋も必須。ボディーと靴下に使い捨てカイロ。用意しなかったのですが防寒用のフェイスマスクもあったら完璧だったかもしれません。肌が露出している場所は「寒い」とか「冷たい」ではなく「痛い」という感覚です。

    さてカナダのアルバータ州といってもどこかわかりづらいかもしれませんが、ロッキー山脈の東側です。

    州都は人口約110万人のエドモントンで、最大都市は人口約140万人のカルガリー。スキー好きの方はバンフという街をご存じかもしれません。今回はカルガリー、バンフ、エドモントンと巡る旅です。

    旅の目的は「雪遊び三昧」! もちろんいちばんメジャーなウィンタースポーツといえばここカナダでもスキー場でのアルペンスキーやスノーボードですが、タヒチでもフィジーでも「シュノーケリングやダイビングや水上バンガロー〈じゃない旅〉」を紹介してきたアマノジャクな私ですから、今回も「それら以外」を紹介したいと意気込んでやってきました!

    で、最初がスノーシューです。今回の滞在でじつは合計3回も楽しんだのですが、大まかにわけると「平原スノーシュー」と「森の中スノーシュー」に分けられます。

    「威風堂々」感が楽しい「平原スノーシュー」

    まず体験したのは平原です。と、その前に一応スノーシューのおさらいをしておきましょう。こういうやつです。

    2足並べるとちょっと「軍配」に似ていますよね?笑

    いわゆる「かんじき」同様、雪の上を歩くことに特化した道具です。とはいえ「かんじき」と違ってスキーのように板があります。でも滑るようにはなっていなくて、むしろすべり止めが付いています。

    アイゼンやチェーンスパイクとの違いはこの大きさなので新雪などの上を歩いても足がズボッとはまりにくい点(「はまらない」では決してありません。あとで実証画像をお見せします)。

    でもほぼ靴と同じ大きさのアイゼンとかチェーンスパイクと違って、この大きさなので取り回しが大変でもあります。そのあたりもあとでお分かりいただけるはず。

    前置きはこれくらいにして出かけましょう!

    「ミシュランマーク軍団かっ!」とツッコミを入れたくなるくらい「モコモコ」な集団です。笑

    最初は寒かったのですが歩いているうちにテンションは上がってきます。

    まあ、屋外ではカラダを動かしていたほうが圧倒的に幸せなマイナス30度ですから。笑

    で、今回のメンバーの一人であるオーストラリア人のジャーナリストがハイテンション状態になり、踏み慣らされたルートではなく新雪を踏み分けていきます。そしてなんとスキップをし始めたかと思ったら…。

    見事にバランスを崩してこけました。笑

    「ほ~ら、言わんこっちゃない」状態。ふかふかの新雪とはいえ、それなりに重みと抵抗はあります。スノーシューの先が引っかかれば転倒します。

    青空に映えるロッキー山脈の銀嶺!

    10分ほど歩いていると、先ほどと打って変わって青空が。木々も銀嶺も映えます。

    木々と青空。

    そして日に当たって輝くロッキー山脈の雄姿!

    思わず私は「エイドリア~ン!」と叫んでみたのですが、同行していたカナダ人ガイド2名も、イギリス人、ドイツ人、フランス人、オーストラリア人のジャーナリストたちも誰一人理解してくれませんでした。

    どうせわかってくれないなら「ミキティ~!」と叫べばよかったな。…どっちでも同じか。あっ、ちなみに「エイドリア~ン!」というのは映画「ロッキー」のヒロインの名前です。

    雪の平原を堂々と進む開放感がたまりません。

    通常、この時期の積雪量120~150センチメートルくらい積もるのだそう。でも今年はとても少なくて60センチメートルくらいだといいます。

    相変わらず青空に映える銀嶺。

    でも陽が落ちると、一気に寒々しさが増します。

    スノーシューで「森」を探検!

    さて別の日。今度はスノーシューで森の中を進みます。

    あの山を目指します…という顔をしていますが、もちろんウソです。

    今回のスノーシュー。留め具なども含めて、こっちのほうが本格バージョンとのこと。

    車を停めた地点からいきなり階段っぽく段差がついた急坂を登ります。

    長さ70センチくらいのスノーシューでは段差があるところはとても歩きにくく、のっけからこれではとこの先が思いやられましたが、じつはここがいちばんの難所。笑

    すぐに森に入ります。

    今回のガイドはジョーさん。

    ジョーによるとスノーシューで歩く際にはいくつか注意点があるとのこと。

    「変に足を高く上げたりせずに、普通に歩いてください」

    「ただし左右の足の間はふだんより少し空けて並行に。つま先が左右に開くとスノーシューの後ろでもう一方のスノーシューの先を踏んでしまいますから」

    「その場で方向転換するときはスノーシューを踏んでしまわないように、小刻みにちょこまかと」

    「かかとがシューから離れるような構造になっているので、後ろ歩きをしようとすると雪にひっかかります。だから後ろ歩きはしないようにしてください」

    そんな説明を受けたあと、私からもう一つつけ加えました。

    「新雪の上がうれしくてもスキップはしないでください。転びますから」。笑

    最初はトレッキングコースというか「雪の上の歩道」みたいに踏み慣らされているルートを進みます。

    …かと思ったらジョーさん、「私がマスターガイドで資格を持っているからルート以外も案内できるんですよ」と新雪の森の道なき道を踏み分けていきます。

    しかも振り返らずにグイグイと。

    なんだかタヒチのタマ先生を思い出します。

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    いずれも富士山の青木ヶ原樹海には絶対に同行したくないタイプ。笑

    多くの人が歩き、しっかりと踏み固められたトレッキングコースっぽいルートとは違って、ジョーが進むのは彼専用のルート。ほぼ新雪に近い状態のところはときおりズボッと30~40センチくらいハマることがあるのですが、それがまた愉快です。

    でもなんで普通はハマらないのに、ときおりズボッとなるのか? ジョーに理由を聞くと「理由は完全にはわからないのですが、その下はちょうど木の枝と枝の間だったりするんだと思います」とのことでした。

    そんなジョーですが立ち止まって説明タイムもあります。

    さてこの幹、何歳だったでしょうか。

    年輪の数で樹齢がわかるというやつですね。直径20センチくらいなので若い木…と思ってしまいそうですが、このあたりは寒くて成長が遅いはず。それで「こんなに細い幹なのにじつはこんなに樹齢が多いんですよ!」「へえ~っ」と我々を驚かせようという話だと察した私は「300歳くらい?」。

    一瞬悔しそうな顔をしたジョーは「280歳です」。…すみません、すみません。空気を読まなくて。

    ルートの左端に穴。そこからルートを横切って、反対側に何かが通ったあとがあります。

    これはディアマウスというネズミがつくったもの。彼らは雪の一番下、地面の下にトンネルをつくるのですが、ここは踏み固められてトンネルがつぶれてしまったので、外に出てきたのではないかとのことでした。

    ディアマウスの写真です。

    森にどんどん分け入っていきます。

    「道なき道」を進みます。ちょっと『ヘンゼルとグレーテル』状態になっていないか不安になるレベル。

    ジョーが別の説明のために立ち止まったときに「まさか迷ってないですよね?笑」と訊いたら、「私はマスターガイドですから」。でもマスターガイド、みんなを置いてきぼりにしないでくれ~。

    ふかふかの完全な新雪の上を歩くも…

    ティータイムのあとしばし自由行動です。ジョーによると「まったくの新雪部分に分け入ってもいいですよ~」とのこと。

    で、行ってみました。

    実際に歩くと、一歩ごとに30センチくらいは足が沈みます。それもまたおもしろい。

    マツテンというテンの一種が通ったあと。

    これがマツテンです。歌いながらサンバを踊るのが得意かどうかは不明。

    そしてキツツキが剥いだ木の皮。その下に潜んでいる虫を食べるためだそう。

    冬眠しているカエルの写真。凍っちゃっているのですが死んではいないとのこと。でもジョーのどや顔。笑

    冬はなかなか動物たちを見ることはできませんでしたが、それでも彼らの営みを知ることはできます。

    スタート地点である駐車場に戻ってきました。

    日が当たると雪山は本当に映えます。

    平原と森。どっちのスノーシューに軍配があがるか…というと、それぞれ別の魅力があるんですね。

    「風景」という点では白銀の峰々が眺められる平原の「開放感」。でも「探検感」という点では森。…というわけでどちらもぜひ楽しんでみてください!

    【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら

    カナダ観光局
    https://travel.destinationcanada.com/ja-jp

    アルバータ州観光局(英語サイト)
    https://www.travelalberta.com/

    Let’s Get Social!(最初のスノーシューツアーの催行会社)
    https://kananaskisoutfitters.com/tours/stargazing-tour/

    Great Divide Nature Interpretation(2つめのスノーシューツアーの催行会社)
    https://www.greatdivide.ca/

    私が書きました!
    オーストラリア在住ライター
    (海外書き人クラブ)
    柳沢有紀夫
    1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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