スペシャライズド・Vado SL2が登場!試乗してわかったEバイクの次なる進化は「ピュア化」だった
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    2025.03.13

    スペシャライズド・Vado SL2が登場!試乗してわかったEバイクの次なる進化は「ピュア化」だった

    先日、スペシャライズドの新型E-BIKE「VADO SL2(ヴァドSL2)」のメディア向け発表試乗イベントがあると耳にし、「スペシャライズド 新宿」へ行ってきました!試乗レポートします。

    スペシャライズドの人気E-BIKEがフルモデルチェンジ

    「VADO SL2」は、いわゆるクロスバイクタイプのE-BIKEです。通勤や買い物といった日常移動から、週末のサイクリングまで、幅広いシーンを想定して設計されているモデルです。

    名前に「SL2」と付いているのは、先代にあたるVADO SLがフルモデルチェンジを受けて第二世代に進化したからです。スペシャライズド・ジャパンのマーケティングマネージャー、板垣 響(ひびき)さんは、Vado SL2のコンセプトについて次のように語ってくれました。

    VADO SL2は、競技における勝利を目的としたバイクではありません。しかし、スペシャライズドが50年の長きにわたり培ってきた革新的なパフォーマンスを体感いただける製品となっています」

    スペシャライズドは五輪や世界選手権など、競技の世界で華々しい結果を残してきた自転車ブランドですが、今後はクロスバイクのようなカテゴリーの製品の開発にも注力するそうです。競技で培われたパフォーマンスを日常移動で活かしてもらうことで、人々の生活の質そのものを向上させることを目指しているのだとか。

    同社はVADO SL2のようなカテゴリーの製品を「プレミアムパフォーマンスアクティブ」と位置付けています。レースで培った高いパフォーマンスとプロダクトとしての高級感を兼ね備え、レジャーのみならず、街乗りも想定して設計された自転車という意味です。

    進化したポイントはどこ?

    バッテリーはフレームのダウンチューブ(三角形の前輪に面した部分)に内蔵されているが、見た目にはまったく分からない。なお。スペシャライズドの電動アシスト自転車用バッテリーは、購入日から2年間、または満充電回数最大300回までの保証がある。この期間内は初期容量の約75%が維持されるように設計されているという。

    さて、ここからは具体的にどのように進化したのかについてお伝えします。

    電動ユニットはスペシャライズドが独自開発したものです。法律に準じて、モーターのアシストは時速24kmまでしか行われませんが、静粛性やスムーズさが従来より洗練されています。併せてフレーム内に収納されるバッテリー容量が520Wh(SLでは320Whでした)に拡大され、最長5時間の連続走行が可能になりました。

    VADO SL 2 5.0にはアルミ製のラックと前後泥除けが標準装備される。最大積載量は27㎏と十分なもので、パニアバックはもちろん、チャイルドシートの装着にも対応する。

    そして、フレームが新設計され、先代のVado SLでも大きな特徴だった軽量な車体はさらに進化。アルミフレームにキャリアや泥除け、ライトなどが装備されたベーシックモデルの「VADO SL 2 5.0」でも車体重量は20㎏(Mサイズ)を実現しています。

    それらのアクセサリーを装備せず、軽量なカーボンフレームを採用する「VADO SL 2 6.0 CARBON」の車体重量はわずか15.9kg。この辺りは競技用自転車のトップランナーである、スペシャライズドの真骨頂といったところでしょう。

    少しマニアックなところでは、従来モデルからフレームのジオメトリー(各部の寸法や角度)が変更されたのも大きなポイントです。下図のように(一般的なクロスバイクと比べても)ヘッドアングルを寝かせることでホイールベースを長くし、より安定性を重視した乗り味になりました。ハンドルの握り位置も近くなり、上体の起きたポジションが取りやすくなっています。


    スマートフォンとの連携機能は昨今のE-BIKEでは常識となっていますが、本モデルでは米Apple社との協力により、自転車では初採用となる「探す」機能に対応。バイクの電源がオフになっていても、iPhoneから位置をトラッキングできるというものです。

    また、専用アプリをスマートフォンにインストールすることで、走行データや心拍数などのフィットネスデータ、メンテナンスデータを表示できるほか、モーターの出力をカスタマイズすることもできます。さらにバイクのメンテナンス時期を通知するメンテナンスリマインダー機能も搭載されています。

    専用スマホアプリをインストールすることで様々な操作がスマホ上で可能になる。ライダーがバイクを離れると自動でシステムがロックされるオートロック機能もあり。

    iPhoneの「探す」アプリでバイクの位置をトラッキングできる機能を搭載。盗難対策として有効だ。

    Vedo SLが提示する「これからのE-BIKE」

     

     

    とまあ、いちいち機能をすべて紹介したらキリがないほどあるので、この辺にしておきますが、結局のところ自転車は走らなければ意味がありません。限られた時間ではありましたが、試乗もできたので、ここからはその印象についてお伝えします。

    試乗したのはアルミフレームを採用する一番廉価なグレード「VADO SL 2 4.0」。要ともいえるバッテリーとアシストユニットは全車共通なので、個人的にはもっともお買い得なモデルだと思います。

    走り出してまず印象的なのは圧倒的なパワー……ではなくてスムーズさ。出来の良い(電動アシストのない)普通のクロスバイクに乗っているみたいです。もちろんしっかりアシストが効いており、時速20㎞ぐらいまでは脚にほとんど負荷を感じさせず到達するのですが、パワーの出し方がごくナチュラルで、モーターの存在感が希薄です。

    これまでのe-BIKEでは感じたことのないレベルのピュアな自転車感です。

    ハンドルバーの左側に設置されたボタンで走行モードやディスプレイ表示の切り替え等の操作を行う。

    うーむ、とその理由を考えてハタと気づいたのが、モーターの音が聞こえないということです。これまでのE-BIKEって、モーターの働きに応じて「ヒーン」という高周波ノイズが鳴っていたのですが、それがほとんどないのです。

    Vado SL2に搭載されている自社開発の電動アシストユニットのカットモデル。すでに他のモデルに先行して採用されているが、パワー、出力特性、静粛性を全方位的に発展させた最新世代のものだ。

    なるほど。スポーツサイクルの専門ブランドが作るe-BIKEらしいなと思いました。

    ロードバイクやMTBで走ることの気持ちよさの一端には、間違いなく「音もなく疾走する」ことにあると思います。自動車やオートバイで走るのと比べ、よりいっそうフィールド(自然)との一体感が味わえる理由もここに起因します。

    モーター音を消したのは、スペシャライズドがそれを自転車の本質的な美点と認識したうえで、e-BIKEにも引き継ごうとした結果でしょう。僕はそこにスペシャライズドの高い見識を感じます。

    きっとスポーツサイクルの魅力や面白さに対して理解がない作り手であったら、モーターのアシストはもっと露骨な制御のままだったでしょうし、高周波ノイズを消音することに、こうまでこだわらないと思います。

    ヘッド部に20㎜のストロークをもつ油圧ショックを内蔵した「Future Shock」を全車に採用。サスペンションフォークのより軽量でありながら、路面からの衝撃を効率的に吸収する。

     
    先述のようにフレームのヘッドアングルが寝かせてあるため、またがると前輪がかなり前の方にあるのが見てとれます。視覚的には若干の違和感がありますが、操縦性はまったく普通のクロスバイクと変わりません。

    ただ、信号などで停止すると、安定感が非常に高い。足を付かなくてもしばらく停止していられるので、自分のバランス感覚がアップしたのかと錯覚します(笑)。

    最後に少しだけカーボンモデルも乗らせてもらいましたが、変速機などの部品が上級なものになっただけなので、基本的な乗り味はほとんど同じ。アルミフレームのモデルがやはりお買い得です。

    大型のディスプレイには速度や走行距離はもちろん、ケイデンス(ペダルの回転数)やライダーのパワーなどが表示できる。またスマホアプリとの連携により心拍数などのフィットネスデータも表示可能。

    タイヤは舗装路からフラットダートまで対応するオールテレインタイプを採用する。サイズは700x47C。

     

    正直言って、乗るまではE-BIKEにそれほど進化する余地なんかあるのかな?と思ってたフシがあるんです。電動アシストのパワーや比率、最高速度は法律で制限されていますから。そこを変えない限りは大きな進化は見込めないし、せいぜいバッテリー性能が向上して、車体が軽くなるぐらいだろうと。

    ところがVado SL2は、よりピュアな自転車に近づけるというアプローチで進化を遂げていて、E-BIKEがこれから目指すべき一つの方向性を示してくれました。単なる移動手段として便利に使える一方で、ホビーとしてのサイクリングを楽しめる素養も兼ね備えているんです。

    日々の生活にスポーツのエッセンスを取り入れ、より豊かなライフスタイルを送るためのパートナーとして、Vado SL2はあなたの日常をきっと変えてくれるのではないでしょうか。

    Vado SLのラインナップ

    「VADO SL 2 CARBON LTD FORWARD 50 COLLECTION」 99万円 フレーム素材:カーボン

    「VADO SL 2 6.0」
    77万円
    フレーム素材:カーボン

    「VADO SL 2 5.0」
    55万円
    フレーム素材:アルミ合金

    「VADO SL 2 5.0ステップスルー」
    55万円
    フレーム素材:アルミ合金

    「VADO SL 2 4.0ステップスルー」
    55万円
    フレーム素材:アルミ合金

    「VADO SL 2 4.0ステップスルー」
    49万5,000円
    フレーム素材:アルミ合金

    問 スペシャライズド・ジャパン https://www.specialized.com/

    佐藤 旅宇さん

    フリーライター

    タイヤ付きの自由な乗り物が大好き。以前はアウトドア遊び用に40年モノの古いジムニーを所有していた。長男とデイキャンプするのが休日の楽しみ。

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