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    2025.04.19

    プロスキーヤー・三浦豪太さん、札幌・手稲山でシーズン終わりの春スキーを楽しむ!

    プロスキーヤー・三浦豪太さん、札幌・手稲山でシーズン終わりの春スキーを楽しむ!
    プロスキーヤー・三浦豪太さんの連載エッセイ。【前回までのお話】シーズン最後の雪を楽しもうと、朝メシ前クラブ(BBF)のメンバー3人で手稲山を目指すと……。

    三浦豪太の朝メシ前 第6回 春スキーの醍醐味は山歩きとフキノトウ

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    プロスキーヤー、冒険家  三浦豪太(みうらごうた)

    1969年神奈川県鎌倉市生まれ。祖父に三浦敬三、父に三浦雄一郎を持つ。父とともに最年少(11歳)でキリマンジャロを登頂し、さまざまな海外遠征に同行し現在も続く。モーグルスキー選手として活躍し長野五輪13位、ワールドカップ5位入賞など日本モーグル界を牽引。医学博士の顔も持つ。

    ホームゲレンデ「サッポロテイネスキー場」へ

    シーズン最後の雪を楽しもうと、朝メシ前クラブ(BBF)のメンバー、タンナカ君とS氏とともに手稲山を目指した。

    ゆっくりと景色を楽しみながら手稲山を登る。バックカントリースキーといいながら、山頂付近にしか雪がないため、スキーを背中に担ぎ、足を泥だらけにしながらのほぼ登山である。手稲山にあるサッポロテイネスキー場は僕のホームゲレンデだ。

    山頂からの景色はスキー場にはなかなかないユニークな景色だ。〝200万都市札幌〟を眼下に収め、そこに聳え立つビルや碁盤の目状につくられた道、札幌ドームやテレビ塔など札幌を代表するモニュメントは、この山頂から見るとまるでジオラマのように見える。さらに銭函や小樽、そして北海道の北東部の形がリアルに見られる海岸線沿いに暑寒別岳が綺麗に見える。

    サッポロテイネスキー場は、1972年の札幌オリンピックの舞台でもあった。当時、僕は父の肩車にのってその様子を見ていた。

    スキー場にはオリンピックの名残を見せる場所がたくさんある。「女子大回転コース」は、現在、サッポロテイネのメインともいえるコースだ。上級者向けのコースでバリエーションに富み、序盤の中斜面から緩斜面は札幌市全体を視界に収めながら気持ちよく滑ることができる。

    なのに、いきなり30度もあろうかという急斜面となるのもいい。手前の緩斜面から見るとまるで崖に飛び込むかのごとし。いまでも全日本のアルペン大会で使われており、急斜面は長く、後半はいつも風の通り道で雪が吹き飛びアイスバーンとなっていることが多い。

    そうした状況も相まって、アルペンコースとしても一般のコースとしても難度が高いコースとして知られている。

    オリンピックで使われた「男女回転コース」も難コースとして知られている。以前は男女回転コースの山頂までリフトが動いていたが、今ではスキー場の山道、「ナチュラルコース」からアクセスできる。そのナチュラルコースは山頂からスキーセンターまでつながる緩い斜面で、初心者でも降りられるつくりになっている。

    だが、その初心者たちが決まっていうのは「うわ! こんなところ降りられるの」である。特に入り口部分は30度を超える急斜面だ。

    このように、オリンピックの舞台となったサッポロテイネスキー場であるが、ここで育った選手もオリンピック選手となるようだ。

    長野五輪のモーグルでは原大虎、附田雄剛、里谷多英、そして僕も代表選手となった。アルペン選手では湯淺直樹選手も手稲育ちである。

    手稲は初心者でも山頂から降りられる緩やかなナチュラルコースから、こうしたオリンピックで使われたコース、さらに最大斜度35度の林間にある難所名物コースなどバラエティーに富んでおり、子供から大人まで飽きさせない。

    そんな環境で育った五輪モーグル選手は全員、わが「ミウラ・ドルフィンズ」出身であり、僕としてはこうした冒険的で自由な気風が彼らを世界に羽ばたかせたと胸をはっていいたい。

    春の恵み、フキノトウを見つける

    ここからが今日の目的地である男子大回転コースである。

    手稲ロープウェイが動いていた10年前まではアクセスが容易だったが、今はスキー場の山頂につながる「サミットリフト」から10分ほど歩いていかなければいけない。

    僕が小さいころ、男子大回転コースは別名〝雪崩の巣〟ともいわれていた。以前、手稲山の成り立ちを説明している専門家の話をラジオでたまたま聞いたことがある。なんでも手稲山は火山として隆起した後、5万年前に「山体崩壊」を起こして今の特徴的な山頂の尖った形になったという。

    ロープウェイの駅はまさにこの山体崩壊の上に立っていて、その下は崖である。そしてその横にある男子大回転コースにいくトラバースも急斜面だ。

    近年、ここはコース外となっているため、バックカントリーの知識と道具、装備を備え、滑走は自己責任のもと、となっている。こんなハードなコースでよくぞオリンピックなどやったものだなと感心する。

    さて、BBF一行はスキー場山頂からさらに上に向かう。そこには廃止となったロープウェイ降車駅がある。ここでひと休みをしながら、今度はスキーで降りる準備をする。すると雪解けの際に、たくさんのフキノトウを見つけた。

    北海道の人にとって、フキノトウは道端のいたるところで日常的に生えているため、それほどそそられないようだ。だが、この時季、手稲の山頂に芽生える綺麗な水で育ったフキノトウは適度な苦みがあって絶品なのである。これをみんなで採って袋に詰める。

    V字の沢を横切り、お目当ての男子大回転コースまで横切る。途中、雪渓が切れているため、スキーをはずして急斜面をトラバースする。

    そこで再度、スキーを装着する。雪解けのため、土や小石、枝があるが、ここは北斜面だから、最後まで雪が残る場所だ。十分な積雪量と斜面に一気に心が高鳴る。〝今シーズン最後のスキー〟として滑ったのが2週間前。また新しいシーズンが到来したようなワクワク感が蘇る。

    1ターン、2ターンと足元と雪質を確かめるようにターンをする。表面の茶色い雪を削ぐとなかから綺麗なザラメ雪が出てくる。世の中はみんなパウダースノーを求めるが、ザラメ雪もパウダースノーに匹敵するくらい楽しい雪質だ。しゃらしゃらと均一に崩れてくれるザラメ雪、自然に「ヒャッホー」という声が出てくる。

    タンナカ君もS氏もなかなかの腕前である。技術的には少し雑ではあるが足腰がしっかりしているので安定感がある。標高が下がるほど雪が黒くなり土が出てくる。いつもならトラバースで抜けられるところもこの時期は笹が鬱蒼としていた。

    そこからスキーを脱いで〝やぶこぎ〟だ。考えてみたらスキーを着けていたのは5分ほど。後は登りも最後の下りもほとんど歩きであったが、スキーという目的は達成した。

    先ほど採ったフキノトウであるが、我がスキースクールハット(小屋)内で準備してきた油で素揚げにし、そばを茹でて食べた。苦みもほどほどに春の味も十分満喫したのであった。

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    BC用の装備をまとい、スキーを背負って手稲山をハイクアップ。雪とやぶのコントラストある景色もいいが、万全の注意を忘れずに。左はS氏、右はタンナカ君。

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    ハイシーズン中とは異なり、リラックスして楽しめるのが春スキーの魅力。残雪もまた気持ちいい!

    (BE-PAL 2025年4月号より)

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