
340mmの差は想像以上だった!


早坂
ジムニーシリーズについて軽くおさらいすると、軽自動車のジムニーのタイヤ幅とフェンダーを大きくして、1.5ℓエンジンを搭載したのがシエラ。室内寸法は軽版とほぼ同じです。
うん。今回登場したノマドはシエラと同じエンジンを搭載しつつ、前後タイヤ間の距離、ホイールベース及び全長を340mm拡大。ジムニー史上初めて後席ドアが付いたモデルだ。

櫻井

早坂
軽自動車の規格に収まる必要はないのだから、もっと長くすればいいのに。
でも、むやみに延ばすと重量がかさみ、角度の大きい悪路を乗り越える性能にも影響する。合理性と機能性をクリアする理想値が、340mmなんだ。

櫻井

早坂
なるほど~。しっかり考えられてるんですね!
全長拡大と重量増加に伴い、車体の基礎であるはしご型フレームの延長と剛性強化、ATの高強度化や放熱効果の高いフロントディスクブレーキを採用するといった、目に見えない対策も実施されているよ。

櫻井

早坂
今回は公道を走ることはできませんでしたが、乗り味も気になります。
ホイールベースが長いぶん、オンロードでは直進安定性が良くなり、乗り心地も落ち着きのあるものになっているのは確かだね!

櫻井

早坂
そう聞くと、ますます後席に人を乗せて遠出したくなりますね~。
その点も安心。ノマドは荷室を広くしつつ、後席の居住性にも重点を置いて設計されているからね。

櫻井

早坂
へ~。以前乗ったシエラと比べて、後席に余裕を感じるのは気のせいではなかったんですね。
シエラでは小ぶりだった後席のシートが分厚くなり、足元も広くなっている。あと、後席と荷室の間に小さな窓ができて、内張りもシエラでは鉄板むき出しだったのが、樹脂で覆われるようになっているよ。

櫻井

早坂
後席に人を乗せて遠くに行き、悪路も安心して走りたいアウトドアファンには最高の選択肢ですね.
予防安全技術は軽のジムニーやシエラよりも強化され、衝突被害軽減ブレーキはステレオカメラ式に。4速AT車には後退時ブレーキサポートと高速道路などで先行車に自動追従するACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)が付く。安心感も大きいね!

櫻井
高いオフロード走破性はそのままに、全長を340mmストレッチ!

スズキ/ジムニー ノマド FC
¥2,651,000(5MT)~2,750,000(4AT)
問い合わせ先:スズキ TEL:0120-402-253
https://www.suzuki.co.jp
2023年に海外で発売された5ドアモデルで、日本では「ノマド」のサブネームが付く。インド生産の車両を輸入し、日本の工場で点検して販売される。グレードは「FC」のみ。反響は大きく、2025年1月末の発表直後から受注は停止中。


ボディーパネルはフロントグリルを除く前部とリアゲート以外、新設計。側面後方に窓が追加された。専用のボディーカラーとして、レッドメタリック(写真)とブルーパールメタリックを設定。
3人乗車ならキャンプ道具もしっかり積める

写真のように3名乗車として後席片側をたたむと積みやすい。

後席の背もたれを立てた状態での荷室の奥行きは590mm(シエラ比+350mm)。

後席に厚みを持たせた結果、たたんでも傾斜ができ、荷室との間に段差ができる。写真にはないが、オプションのラゲッジボックス(¥29,700)をセットすれば段差を解消できる。
後ろに乗っても快適に!

足元の前後長は300mm。着座姿勢はシエラよりも寝た角度となり、1段階のリクライニング機能も付く。

身長174cmの記者が座っても窮屈さは感じなかった。
スイッチやボタンを明確にした機能的インテリア

運転席まわりのデザインはシエラと同じ。傾きをつかみやすく操作性を重視したデザインは、ジムニーシリーズに一貫した特徴。各部に傷が付きにくく、汚れを落としやすい素材を使用。

悪路で体を支える助手席側前面のグリップは、グローブを着用したままでもつかみやすい。

前輪と後輪をシンプルな構造で直結するパートタイム4WD。副変速機(後ろのレバー)で4Lにシフトすると、通常の2倍の駆動力を発揮。
力強い1.5ℓエンジンを搭載

エンジンもシエラと同じでターボはなし。ノマドでも車両重量は1,200㎏以下に抑えられているため、パワーは十分。5速MT車なら、より楽しく走れる!
元祖はこれ!

確かな4WD性能に快適性をプラスして1990年代のアウトドアブームを支えたのが、スズキの初代エスクード(1988~1997年)。当初は3ドアのみだったが、’90年にホイールベースを延ばした5ドアモデルのエスクード ノマドが登場。ジムニー ノマドのルーツだ。
SPECIFICATIONS(ジムニー ノマド)
【ボディー寸法】
全長 3,890mm
全幅 1,645mm
全高 1,725mm
最低地上高 210mm
最小回転半径 5.7m
ホイールベース 2,590mm
タイヤサイズ 195/80R15
車両重量 1,190㎏
【エンジン】
排気量・種類 1,460cc直列4気筒
最高出力 75kW(102PS)/6,000rpm
最大トルク 130N・m/4,000rpm
燃料種類 無鉛レギュラーガソリン
燃費(WLTCモード) 13.6km/ℓ
【トランスミッション】
4速AT
※構成/櫻井 香 撮影/三浦孝明
(BE-PAL 2025年4月号より)