もう12月号は、読んでいただけましたでしょうか? 12月号の特集は「焚き火で旨い肉を焼いて食べる」です。軽井沢の超人気精肉店「ファインコストメッツゲライカタヤマ」の店主、片山 勉さんにご登場いただき焼き方を教えていただきました。
29(ニク)の日も近いということで、特別にビーパルネットでも旨い肉の焼き方を大公開! 火に当たりながら旨い肉をいただいちゃいましょう〜
牛肉は焼くだけで旨い! 完成された肉なのだ
「牛肉は、焼くだけでおいしい完成された食材。焚き火や炭火でローストすればいいので、アウトドア、キャンプに向いていますね」と片山さん。なるほど、キャンプでバーベキューをするならば、まずは牛肉ということなのかっ!
「寄生虫など食中毒の心配がある豚肉、鶏肉に比べて、レアでも食べられるのが牛肉。焼き肉のように薄い肉だとすぐに焼けちゃうから焦るでしょ。じっくり焼く時間を楽しめる塊肉がおすすめです。サーロインやリブロースが牛肉のなかでは高級とされていますが、最近の健康志向で霜降りよりも赤身が人気。なかでもランプはサーロイン、リブロースに比べ値段が抑えめ。なのに、旨さは引けを取りませんよ」
ほほう、ランプですか。確かに大勢で囲むバーベキュー。コスパがいいのは助かります!では、そのランプの塊肉。どういうふうに調達して調理したらいいですか?
「まずは、信頼できる良質なお肉を売るお店で買いましょう。2センチくらいの幅にカットしてもらうといいですよ。牛肉は、高い温度で周囲をさっと焼き固めて旨味を閉じ込めるのがポイント。なので、炭火よりも高温になる焚き火で焼くと最高なんですよ」
薪はナラ材! トングは素手!?
焚き火で焼くから旨くなるという。
「そう、特に香りがよくて火の持ちがいいナラ材の薪だといいですね。すぐに燃え尽きてしまう安い集成材はやめたほうがいいです」
そういって、ナラ材をバーベキューグリルの上で井桁型に組み始める片山さん。
火起こしをしている間に、クーラーボックスに入れていた牛肉を取り出し、常温に戻します。聞くと、おいしい肉を食べるには、火の通りをよくするために必ず常温に戻しておくこと。これは室内、野外関係なく牛肉のセオリー。
「秋の18度くらいの気温なら30分ほど外におくといいですね」
薪が燠おきになったら、肉の両面を焼きます。肉の微妙な質感の変化を感じるため、なんとトングを使わず素手が片山流! 熱くないんですか!?
「いや、熱いですよ。なので、やけどに注意!(笑)」
肉の両面を焼いたら、周囲もしっかり焼き付けること。焦げないように火の微調整は大切。
「火の強い場所、弱い場所をグリルのなかでゾーン分けして、ほどよく火を入れましょう」
焼き加減は指で確認。指でぐっと押したときの弾力でどれくらい火が通っているかわかるんですって! えー、どうやって!?
「親指と人差し指でオッケーサインを作ったときの親指の腹のやわらかさが、ちょうどレアの焼き加減と同じなんですよ。親指と中指をくっつけたときがミディアムレア、親指と薬指がミディアム、親指と小指がウェルダンと覚えましょう」
なんと! 万人に共通したものさしで、しかも人にいいたくなる! 好みの焼き加減になったら、薄くスライスを。
おおー、旨さしたたる、いい焼き加減です! レア感がたまりません。
日本人ハ、ソース カケスギダヨ!
「ここで挽きたての岩塩とブラックペッパーをふります。よく焼く前に塩、こしょうする例がありますが、先に塩をふってしまうと浸透圧で肉の水分、つまりうまみが溶け出てしまうんです。なので、味付けは一番最後に」
そして、ソーセージやハム作りのためにドイツに留学していた片山さん。肉文化が発達しているヨーロッパで学んだのは、旨い肉には最低限の調味料でいい、ということ。
「イタリアに行ったときに“日本人はソースをかけすぎ”と言われました。上質な肉には、塩とこしょう、オリーブオイルだけで旨いって」
できあがった肉を食べてみました。
本当だ! 牛肉の旨味がじゅわっと引き出され、塩、こしょう、オリーブオイルだけで十分においしい! これは、ビールにもワインにも合う!
「そうでしょう! 焼きたてもおいしいですが、少し冷めてもおいしいですよ」
おいしいポイントは、上質なランプ肉を選ぶこと、焚き火で焼くこと、そして,調味料もおいしいものを使うこと。上記は片山さんおすすめの調味料。
「塩、こしょう、オリーブオイルとシンプルなものほど、おいしさに差がでます。塩は岩塩、こしょうはホールのものにして、どちらも挽きたてを。オリーブオイルも絞ってから時間があまりたっていないフレッシュなものほどおいしい。あとは、好みでマスタードをつけても。ベーシックなマスタードのほか、柚子風味やカシス風味のマスタードも合いますよ」なんという、旨い肉マスター!
しかも、このあとスモークして作る豚肉、鶏肉の旨い食べ方を教えてくれました。そのレシピは、後日公開します!
※構成/柳澤智子 撮影/花田龍之介 撮影協力/ライジングフィールド軽井沢
(※記事は2018年12月号を再編しました。)