
上りも下りもイージーな低山ですが、4つのピークを縦走できて満足感たっぷり。新宿から小田急線で約1時間とアクセスも抜群です。しかも駅から全行程を歩けて、おいしいお蕎麦に気持ちいい足湯も堪能できるよ~、というお話です。
都内からなら日帰りで楽しめる「安・近・短」な弘法山のハイキングコース

旅をした日は20度Cオーバー。半袖でいけるポカポカ陽気でした。
幼稚園が長い春休み。元気なお子さんに手こずっているご家庭も多いかと思います。かくいうわが家も、3月8日に次男が幼稚園を無事卒園。4月1日に学童が始まるまでは、フリーとなりました。有給を取った夫と代わりばんこに次男のお世話。体力お化けな彼を、今日はなにをして疲れさせようか…、と考える私が一番疲れます(笑)。そんななか都内の自宅から「安・近・短」のハイキングスポットを見つけました。
神奈川県秦野市にある弘法山コースは、標高250m以下の4つの低山を縦走できます。

「S」と書かれた秦野駅からスタートして、ゴール「G」の鶴巻温泉駅まで縦走しました。
コースは、秦野駅から鶴巻温泉駅まで2駅分。行きも帰りもピュッと小田急線に乗れる整備された山道です。ハイキング初心者やお子さん連れでも比較的無理なく歩けるルートでしょう。
下山後は鶴巻温泉で汗も流せます。逆ルートの鶴巻温泉駅から歩き始めても、秦野駅から徒歩20分くらいの場所に富士見の湯があります。どちらからスタートしても魅力的なルートですね。
私たちのスタートは小田急線秦野駅から

●10:15● 秦野駅を出発しました。今回も旅の参考のため通過時間(一番左)を表記します。
駅の周辺は商業施設などがありにぎわっているのですが、周囲は山々に囲まれています。「今からどの山に登るのかな?」なんて次男と言いながら目指す道のりもなんだか楽しいです。小さいお子さんには「見通し」や「目的」がわかりやすいのがうれしいですね。
弘法山公園の入り口に到着

●10:38● コンビニに立ち寄ったり、ちょっと道を間違えたりして(笑)、やっと弘法山の入り口に到着。
登山口の周囲には住宅街や幹線道路があり、突如現われたといった感じでした。

用水路沿いを歩きます。
歩きはじめてすぐに、どっちが登山口か悩んでいたら(私の癖です。スグ迷います)、親切なご一行様に「こっちよー」と教えてもらいました。橋を渡って左です。平日でしたが、そこそこハイカーはいました。

山道が始まります。
この写真だけ見るとなかなか本格的ですが、あっという間に最初の山頂に着きました。その手軽さがいいのです。

秦野の町が眼下に。3Dの景色が美しい。次男撮影。
1.浅間山(標高196m)

●10:54● 浅間山山頂。ここからは秦野の街並み、天気がよければ富士山、丹沢、大山まで見えるそう。
登山口から16分ほどで、最初のピークである浅間(せんげん)山山頂に着きました。「もう着いたの?」と次男もびっくり。子どもとのハイキングは、スモールステップがよいのです。ピクニックにぴったりな東屋やフラットなスペースもありました。

春には浅間山の桜とみごとな富士山が見えることも。(写真提供:弘法の里湯)

清潔な丸太型トイレ。
このトイレ、次男が利用しましたが、「きれいだった」そう。弘法山コースにはちょこちょこ公衆トイレや、ベンチや芝生ひろばなどがあり、のんびり過ごしたい家族連れにもやさしいです。
2.権現山(標高243m)

●11:06● 山頂にある弘法山公園展望台からのパノラマビュー。富士山どこー?
360度の景色が堪能できる、権現(ごんげん)山山頂。関東の富士見百景に選定されているのですが、暖かい日だったからか残念……。
4ピークスのなかで一番標高がある権現山。秦野駅からここまでの距離は3.5kmほどです。ゆっくり歩いても1時間くらいで到着します。お子さんの疲れ具合をみながら、ここで引き返してもよし、有り余っていたら先に進むもよし。

広々とした山頂付近で休憩しました。
権現山山頂は広々としており、千畳敷と呼ばれているそうです。見渡すとお昼ごはんを食べているハイカーたちの姿があちこちに。桜の季節にも困らないくらい、休憩スペースが豊富にあるのが印象的でした。

道の脇にもレジャーシートが敷けるゆったりしたスペース。(写真提供:弘法の里湯)

権現山は野鳥ファンも多く訪れるそうで、バードウォッチングスポットとして知られているとか。自然豊かですね。
次のピーク、弘法山へ向かいましょう。
弘法山への道のり

権現山から弘法山へは、一旦長い階段を下ります。
このときは時期尚早でしたが、桜のトンネルが頭上を覆っていました。

●11:23● 馬場道と呼ばれるフラットな砂利道を歩きます。
この道の名前は、付近で暮らす人々が戦前に娯楽的に草競馬をして楽しんでいたという歴史に由来するそうです。

●11:24● 弘法山入り口に到着。

トイレに置いてあったヤマビル退治用の塩。
ヤマビルは、丹沢や大山とにも多いと聞きますが、弘法山にもいらっしゃるんですね…。

整備された登山道。
登山道の脇にも休憩スポットが多数あります。この山は至れり尽くせり、ひたすら楽しめる山だと思いました。上り階段は長いですが山頂まであと少し!
3.弘法山(標高237m)

●11:34● 弘法山の山頂です。
この山は、その名の通り弘法大使ゆかりの地だそうです。山頂には、鐘楼、手こぎポンプ式井戸、釈迦堂などもありました。

このウッドデッキが気持ちよかったですね~。東海大学駅前あたりの街並みが見渡せました。私のお気に入りスポットです。

悠々自適にひとりランチされている男性ハイカーの姿もありましたよ。
吾妻山への道のり

弘法山から吾妻山までは、もっとも山らしい道のりでした。
浅間山、権現山、弘法山は、今回のルートでは前半にキュッと凝縮されています。最後のピークである吾妻山は、標高こそ低いものの、ちょっと距離があります。前半の倍くらいはあるかな。そしてハイカーも多く、道が整備されていた前半とは違い、本格トレッキング気分が味わえるでしょう。一方、ベンチなど休める場所はほとんどありません。

この方もいらっしゃるんですね~。というか、住宅地はスグそこです…。

●12:19● 鶴巻温泉駅への分かれ道。吾妻山へ行くなら直進。
4.吾妻山(標高125m)

●12:41● 吾妻山山頂。標高がだいぶ下がったので、東名高速道路を走るクルマの音がよく聞こえました。
子連れハイキングのコツ

●13:09● 下山して直行した弘法の里湯。秦野駅から3時間弱で到着しました。
うちの次男は、ガチなスポーツ系の幼稚園に通っていた活発クンです。幼稚園児代は登園するや毎日2kmほどグラウンドを走りこんでいたので、つい「あなた動けるでしょ?」 と大人のように接してしまいがちな私です。でも生を受けてまだ6年少々。小学生まであと少し。飽きてしまったり、お腹が減ったり、馴染みのグラウンドとは違う起伏につらくなったりもあったようでした。
今回あらためて幼児と山歩きをしてみて、これだけは最低限おさえたい!というコツをピックアップします。
1.行動食は多めに持参しよう

行動食は、余ったとしても、たくさん持っていきましょう。
今回は、下山後にランチを食べる予定だったので少なめでしたが、山に入る直前にコンビニでおにぎりを1個ずつ購入。前日に次男と自宅で作ったプロテインケーキ、それから気分転換になるかなとレーズンが入った梅干しも持参しました。最後の吾妻山の休憩で、それらはすべてなくなり、もっと持って行ったほうが安心だったなと思いました。

すっぱくてしょっぱくて最後甘くて、トレッキングにばっちりだった梅干し。
2.「疲れた」と言われる前に休憩を

休憩場所がほとんどなかった吾妻山。
贅沢なほどにベンチだらけだった弘法山までの前半。一方で本格的な山道となる後半の吾妻山では、休む場所がない。「疲れた~」「ゴールはまだ?」と言われる前に、立ちながらですが、次男の口に梅干しを放り込みました。子どもとのハイキングは気遣いもかなり必要です……。
弘法山で引き返すならいいのですが、4ピークを縦走するなら、お子さんの休憩用にコンパクトになる折りたたみチェアを用意すると安心かもしれません。
3.子どもの着替えも持参

ハイ、着替えはなんも持ってこなかったのです。ド素人な行動をしてしまった…。
私よりもずっと持久力がある次男です。完全に油断していました。今回着替えはなくても、なんとかなりましたが、ズボン、靴下、Tシャツくらいはあったほうがよかったです。このように私が抜けているので、息子たちは「母さんは、あてにならん」と、どんどんしっかりしてきましたね(笑)。おそらく次回山歩きする際には、次男が自分で着替えを準備することでしょう…。

着替えを忘れてごめんね…(笑)。
4.子どもの気持ちに寄り添う

今回ゴールに設定した弘法の里湯にて。
転んだあと、一気に不機嫌になった次男です。しかも吾妻山へ向かう道中なので、周辺には休憩する場所もありません。重たい空気が流れます。「もう歩きたくないな」とか、そんな言葉もチラホラ。
そういうときに、決まって私が掛ける魔法の言葉があります。
「大丈夫だよー、行ける行ける~。応援してるよー! 頑張れー!」
この言葉、長男のときもそうでしたが確実に効くんですよね。ふたりとも出かけた先で「抱っこー」という記憶はないです。
で、無事ゴールにたどり着いたとき、私は「ご褒美選択肢」を差し上げるようにしています。
今回でいうなら、「あなた、ごはんとお風呂どっちにします?」です。今回はお風呂(足湯)のリクエストをいただきました(笑)。ハイハイ、入りましょー。

弘法の里湯の敷地内にある足湯はなんと無料!

とろとろのお湯が山歩きをした足に気持ちいい。
じつは私たち、3年前にも弘法の里湯に来ています。冷たい雨が降るヒマな日曜、家族で温泉だけ入りに小田急線に乗ってやって来ました。そのとき次男は3歳。まさか2年半後には、自分の足で4ピークすべての縦走をできるなんて。ちょっと感慨深かったです。
一の屋鶴寿庵

●13:30● 足湯で気持ちがリセットされたら敷地内にあるお食事処へ。こちらはお初。

一の屋特製天丼をオーダー。大人の一人前をぺろりと完食した6歳児です。

私は、天せいろそばを注文。秦野は蕎麦の名産地だそうで、のど越し爽やかでとてもおいしかったです。
弘法の里湯
- 所在地:神奈川県秦野市鶴巻北3-1-2
- 電話番号:0463-69-2641
- 営業時間:【温泉】10時~21時、【足湯】10時~17時、【一の屋鶴寿庵】11時~19時30分(L.O.19時)
- 定休日:月曜日(祝日の場合は営業、翌平日が休み)
- ホームページ:https://www.city.hadano.kanagawa.jp/www/contents/1001000001157/index.html
弘法山コースをハイキング中、常に東名高速や小田急線や、往来を走る救急車の音はするのですが、それがまたホッとしたり。ほんとうに申し分のない、素晴らしい里山でした。お子さんの成長を楽しみながら、良いハイキング旅を。

桜の季節にも行ってみたいですね~。(写真提供:弘法の里湯)
参考まで、今回の移動距離と旅費などをまとめてみました。
◎移動距離など
- 出かけた日:2025年3月13日
- 歩数:21,694歩
- 歩行距離:14.47km
◎今回の旅費 ※( )内は支払方法
- 往復の電車賃(交通系ICカード):1,162円
- コンビニでおにぎり2個購入(QR決済):435円
- 一の屋鶴寿庵でランチ(QR決済):2,480円
- 自宅近くのファストフードで帰りに食事(交通系ICカード):1,040円
- 合計5,117円
