旅の経験が就職に有利に働く?「旅人採用」なるマッチングサービスが2018年3月にスタートした。ラフティングよりはトレッキング!? アウトドア経験も就活に大いに役立つかもしれないという。
旅人採用は、世界を旅した旅人に特化した就職・転職支援サービス。会社員として働きたいと願う旅人と、旅人を採用したいという企業のマッチングを行なっている。就職をサポートするスタッフは世界一周旅の経験者ばかり。しっかり働きたいが、旅も続けていきたい…などなど理想の働き方を一緒に考えてくれるという。
聞き慣れない旅人採用とは一体どんなものなのか? 旅人採用のカウンセラー、田村彰康さんに詳しくお話を伺った。田村さん自身も25歳のときになんと初海外で世界一周旅を敢行。途中に立ち寄ったネパールではヒマラヤアンナプルナベースキャンプ標高4,200mへトレッキングを経験した。いまは年間20〜30泊はキャンプするというアウトドア好きでもある。
バックパッカーと企業とのマッチング
ビーパル(以下、B) 旅人と聞くと、自由人のイメージで就職からは少し遠い気がしますが、実際はどんな方が就活を?
田村さん(以下、T) 先日「10か国以上の旅経験がある」大学生を対象にセミナーと会社説明会を開催しました。こんなふうに働きたい! と将来に明確な夢を持つ旅人学生が集まりました。旅はバックパッカーで一人旅をした人が対象です。
B なんだか希望に満ち溢れていていいですね。学生時分に10か国はハードル高そうですが。
T それが意外にも40人の募集枠はすぐに定員になりました。旅で10か国以上はハードルが高いですが、その分、自ら飛び込む勇気がある旅人マインドを持った学生が集まりました。
B 若者の旅離れと、よく耳にしますが、そうでもないですか。
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LCC(LOW COST CAREER)は機内サービスなどをカットし、預け荷物も有料にするなど徹底的なコストダウンで低価格を実現している。その分、利用者にはサービスを受けるか否かを選択する自由があるといえるだろう。
T 留学生の推移で見ると、直近1年くらいは6~7万人で増えつつあるようです。国の政策では、2020年までに12万人に増加を見据えていて、いわゆるグローバル人材育成の急務なんです。旅行離れといいつつも、テレビのバラエティ番組では海外を取り上げたものが多いし、アクティブな人は、LCCを活用して旅している。むしろ盛り上がりつつあるのでは? と。いまも「若いうちに旅に出る」という感覚はあると思います。
B 若いうちの旅って、無敵で学びも多いですよね。
T 僕自身も学生時代からよく旅をしました。行動力だとか問題解決する力、異文化に対する理解も旅を通じて深まりました。世界一周旅を終えて帰国して就活した際に、旅の経験を活かそうにも、評価の対象は語学だけ。TOEIC850点以上なら、就職先たくさんあるよ! と。
ラフティングよりはトレッキングの経験が有利?!
B 確かに旅の経験は履歴書にはなかなか(書いても趣味欄?)。主体的な旅、とお話がありましたが、アウトドアも主体的な遊びです。アウトドア経験も就活に有利になったりしますか。
T そうですね…例えば「オーストラリアでラフティング」よりは「ネパールでトレッキング」した経験のほうが、人となりを掴む材料になると思います。主体性が大切です。旅人採用が注目されるのは、「自ら切り開く力」そんな精神を持っている人が求められているからなので。企業にご紹介する際には推薦文を作成しますが、履歴書にはない「旅のエピソード」を添え、その人の魅力が伝わるよう心がけてます。そこに書き込めるかも…。
B アウトドア好きの旅人なら、かなりいいですかね! ちなみに、中途採用もありますか。
T 中途採用は3か月以上の海外経験または10か国以上の旅経験が登録の条件です。
B 現在社会人で転職を考えている人も、旅人ならば可能性があるわけですね。
T 登録していただくうえで一定の条件は設けていますが、旅人採用にピンッときたらぜひ一度相談してみてほしいです。
旅人採用(たびびとさいよう) http://tabibito-saiyo.com
※構成・撮影/須藤ナオミ
※この記事は、ビーパル9月号を再編掲載したものです。