
今回は自らの手で釣り竿を破損してしまわないための取り扱いのコツを紹介します。
要注意!継ぎ目の取り扱い

筆者私物。
釣り竿の全長は、釣りのジャンルによっては5mを越えることがあり、鮎釣りにおいては11mにも達する釣り竿も存在します。
2m前後までであればまだしも、それほどの全長ともなると持ち運びの面で無理があるため、釣り竿を分割する継ぎ目(フェルール)の存在は必然といえます。
そして、釣りのたびに継いだり外したりしているうちに負荷が発生する継ぎ目は、釣り竿のなかでも特に破損を招きやすい箇所でもあります。
今回はそんな釣り竿の継ぎ目の取り扱いに着目し、破損を防ぐ予防やコツを紹介します。
①フェルールワックスを塗る

筆者私物。塗る際に使用するウェスは繊維の切れにくい布がおすすめです。
継ぎ目を破損から守る上で一番気を付けなければならないのはガッチリと嵌って全く動かなくなってしまう固着です。
継ぎ目の固着を無理やり外そうとすれば多大な負荷がかかり、竿の破損を招いてしまいます。
そこで、固着の予防として活躍するのがフェルールワックスです。

フェルールワックスは蝋と似た性質があり、摩擦熱で薄く塗り広げて使用します。
継ぎ目のオス側に米粒3つ分ほどのフェルールワックスを付けたのち布でよく擦り、薄く塗り広げつつ量を調整します。
できるだけ薄く塗るようにし、フェルールワックスを塗っていない状態に近いけれど、ガッチリ嵌り込まず粘りがあるような具合にするのがコツです。
あまりフェルールワックスが多いと継ぎ目の外径が増すことにより嵌り込みが甘くなって、継ぎが外れやすくなる恐れがあるので注意が必要です。
②ガイドを握らずに継ぐ・外す

力を込めやすいためつい握りたくなりますが、ガイドの握り込みはNGです。
ルアーロッドにはガイド(ラインが通るリング状の部品)が付いており、その取り付け部であるガイドラッピング部も破損しやすい箇所として挙げられます。
釣り竿を継いだり外したりする際には必ずブランクス(釣り竿の芯の部分)のみを握るようにしましょう。
ちなみにガイドラッピング部は破損しやすい箇所ということもあり、修理用の材料が常備されている釣具店も多くあります。
万が一の際には修理を引き受けてくれることもあります。
③捩じりながら継ぐ・外す

釣り竿は捩じりの力に弱いという特性もあるため、できるだけ継ぎ目に近い位置を握って捩じるようにしましょう。
ブランクスを捩じりながら継いだり外したりすることで固着を防ぐことができます。
半周分ほど一定の方向に捩じりながら継ぎ、外す際は逆方向に捩じりながら外すことで、固着を防ぎつつ「外したいときに外せる」という加減で継ぎ外しがしやすくなります。
ガイドの角度が決まっている釣り竿は捩じりながらピッタリの角度で継ぐのは難しいのでなかなか実践できませんが、外す際に捩じるようすることで簡単に外すことができます。
延べ竿はガイドが無いため継ぎの角度が自由で、継ぎ本数も多く固着リスクが大きいため特に実践すべきコツといえます。
もし固着してしまったら……
どれだけ気を付けていても、ブランクスが濡れた状態で継いでしまったり、気温差によるブランクスの膨張などで、継ぎ目が固着してしまうことがあります。
もし継ぎ目が固着した状態でも持ち運びが可能であれば、自身で無理に外そうとせずに釣具店に持ち込むことをおすすめします。
継ぎ目の固着は比較的よくあるトラブルのため釣り竿の修理内容としては定番であり、固着を外す専門の工具を常備している釣具店もあります。
おすすめアイテム

本来は、釣り竿を束ねる用途であるロッドベルトを巻き付けることでも滑り止めとして代用ができます。
固着してしまった上、継いだままの持ち運びも困難な場合は、破損を覚悟でその場でなんとか外さねばなりません。
そんなときのために持っておきたいアイテムが固着外しシートです。
固着外しシートは薄手の滑り止めで、ブランクスに巻き付けることで握り込んだ手の滑りを防ぎ、より強い力を継ぎ目に力を加えることができます。
また、ロッドベルトも滑り止めとして代用が効くため、釣り道具の中に忍ばせておけば万が一のときに安心です。
釣り竿を大事に扱おう
釣り竿の取り扱いは意外にも繊細で、気を付けるべきことは多くあります。
せっかく手に入れた釣り竿を自身で壊してしまうという悲しい結末を迎えないためにも、日頃から予防を行い大事に扱いましょう!