
今年の「弘前さくらまつり」は2025年4月16日(水)~5月5日(月)の20日間。ステージイベントや貸しボート、夜桜ライトアップなど多くの催しが行われます。ケージ・バギー・抱っこならペットも同伴OKです。
国内外からたくさんの観光客が訪れる一大イベントですが、キャンピングカーや車中泊で行くことはできるでしょうか?開会直前、ひと足早く現地を確認してきた筆者が周辺の駐車場情報や、弘前市内唯一のRVパーク「RVパーク 青森お~の~パーク」の様子をレポートします。
(画像提供:弘前公園総合情報サイト)
駐車場はどこがベスト?

さくらまつり期間中、市内に入る国道7号線や弘前公園の周辺道路は大変混雑します。土日祝を避ける、朝のうちに駐車場に入るなど、人の動きと重ならない工夫は必須です。
公園周辺には観光客のための有料駐車場が4か所、臨時無料駐車場が1か所あります。このほか民間駐車場が点在します。有料駐車場はどこも公園入口まで徒歩数分の好立地。ただし内部は1周約2時間の広大な公園ですから、目的地の近くに停めるのが理想です。

もっとも北にあるのが「津軽藩ねぷた村駐車場」で、最寄りの入口は「北門口」です。詳細は後述しますが、露店ゾーンに一番近く、飲食がメインならここが最適でしょう。
中央付近にあるのが「弘前文化センター駐車場」で、「東門口」のすぐ目の前。公園のほぼ真ん中に入ることができるため、北に行くにも南に行くにもアクセスのよい駐車場です。
もっとも南にあるのが「弘前市役所駐車場」と「弘前市立観光館駐車場」で、最寄りの入口は「追手門口」となります。桜の見どころからはやや遠いですが、植物園や博物館など文化施設が集まるエリアです。
北から順に詳細を見ていきましょう。利用時間・料金はいずれも弘前さくらまつり期間中の特別設定で、開花状況などにより変動する場合があります。
津軽藩ねぷた村駐車場(約200台)

「津軽藩ねぷた村」は飲食店や売店、ねぷた展示、工房などが集まった複合観光施設。建物の周りに平置きの駐車場があります。高さ制限もなく、大型バスが入れるほど通路も広いので停めやすい印象です。利用時間は午前5時~午後10時で、1回1台1100円。

濠に沿って3分ほど歩くと弘前公園の「北門口」に到着します。「仲町伝統的建造物群保存地区」もすぐ近く。「重伝健」こと重要伝統的建造物群保存地区は、大規模に開発された観光地もあれば、住民が日常生活を送る静かな住宅街もありますが、仲町は後者。素朴で雰囲気がよく、私は大好きです。

話を戻し、北門から公園内に入ると出店ゾーンが広がります。城の北側にあたる「四の丸」は、演芸場(イベントステージ)もある賑やかなエリア。今は懐かしいお化け屋敷やジャンボ迷路など、どこかノスタルジックな昭和の空気が感じられます。

「小屋がたつ」と呼びたくなるような、本格的な店構えも弘前さくらまつりの出店の特徴。津軽そばで知られる「三忠食堂」や、お花見名物「黒こんにゃく」は必食です。墨で塗ったように黒いのに、まったく塩っぱくない板状のこんにゃくです。

出店エリアを西方向に抜けると、「桜のトンネル」で有名な西濠にたどり着きます。体力に応じて、端まで歩いたり途中で引き返してきたりできます。
津軽藩ねぷた村→「四の丸」出店ゾーン→西濠というルートは、大変混雑するエリアでもありますが、あまり歩かずコンパクトに「弘前の花見」を体感できます。
弘前文化センター駐車場(約100台)

南北の中間地点にある「弘前文化センター駐車場」も平置き。駐車台数は約100台で、1台1台の駐車スペースが広く停めやすいです。
普通車30分ごとに110円で、利用時間は午前8時から午後10時まで。午後10時から翌朝8時までの1泊料金(550円)もありますが、夜間の入出庫はできません。また、車高2.5メートル以上のクルマは大型車の扱いとなり、混雑時は駐車できなかったり、料金が異なることがあります。

駐車場のすぐ目の前が「東門口」という好立地で、徒歩数分で本丸が見える場所まで行けます。本丸は有料区域となり、大人320円の単独券と、大人520円の共通券(本丸・植物園・藤田記念庭園)があります。
ここでは「今しか見られない景色」があります。石垣修理のため、曳家(ひきや)と呼ばれる大工事で天守を移動させた弘前城。約10年間に及ぶ修理を終え、もとの場所に戻されるのです。桜・天守・岩木山を一緒に見られるのは2025年が最後だそう。

街のどこからでも見える、といっても過言ではない岩木山。地元の人にとっては生まれたときから見慣れた風景だろうと思いますが、目に入るたびに「おおっ」と声が出そうになるほど雄大です。本丸から眺める岩木山はひときわ美しい。
弘前市立観光館駐車場(約86台)と弘前市役所駐車場(246台)
「弘前市立観光館駐車場」と「弘前市役所駐車場」は、いずれも公園の南端に位置します。どちらも「追手門口」がすぐそこ。

「弘前市立観光館駐車場」の駐車料金は30分ごとに100円を基本とし、24時間1000円の最大料金あり。24時間営業で夜間も入出庫できるので、混雑を避けた行動が可能です。
ただし地下駐車場となり、車高2.1mの高さ制限があります。私のナロー・ハイエースでもぎりぎりですから、多くのキャンピングカーは駐車が難しいかもしれません。

「弘前市役所駐車場」は平面駐車場・立体駐車場の両方を有し、246台が駐車できます。駐車料金は30分ごとに100円で、午後10時から翌朝7時までの1泊料金550円。夜間の入出庫はできません。
立体駐車場は車高2.1mの高さ制限があり、それ以上のクルマは平面駐車場に停めるよう案内があります。ただし平面駐車場は台数が限られ、また来庁者優先のため、必ず停められるとは限りません。観光館と同じくハイルーフ車の駐車は難しそうです。南側のこの2つの駐車場は、比較的コンパクトなクルマにおすすめです。

公園の南側は「弘前城植物園」や「弘前市立博物館」がある文化・芸術エリア。本丸などの人気エリアまでは少し歩きますが、植物園も花の名所で、静かに散策できる穴場と呼べそうです。

追手門口からすぐに園内に入らず、濠に沿って歩くと「花筏(はないかだ)」が見られます。桜の散り際に、水面がピンク一色に染まる幻想的な光景です。中間地点の土手が開放され、濠の真ん中に立っているようなアングルで写真が撮れますよ。
園外にも見どころが点在。レトロな洋館でアップルパイを食べられる「大正浪漫喫茶室」や、旧第八師団長官舎を利用した「スターバックスコーヒー弘前公園前店」など、歴史的建造物が次々に登場します。
富士見橋臨時無料駐車場

渋滞を避けたい、少しでもリーズナブルに滞在したい、という人には臨時無料駐車場があります。富士見橋上流の河川敷に設けられた広い駐車場で、高さ制限もなくかなりの収容力を誇ります。
弘前公園の北門口までは徒歩約20分。そこからさらに公園内を歩くことになるので、普段からウォーキングなどしている人、健脚な人なら利用価値大です。開放時間は午前9時~午後6時と夜桜見物には向かないほか、河川の増水時には閉鎖となる点に注意です。
弘前市内ではここだけ「RVパーク 青森お~の~パーク」
弘前に来たならぜひ夜桜を見て、そのまま宿泊もしていきたいです。弘前市内では唯一のRVパークである「RVパーク 青森お~の~パーク」をレポートします。

弘前公園から岩木山に向かってクルマで約20分。市街地からは少し離れた、岩木山神社の近くに位置します。途中で夕飯を済ませてくるか、買い出しをしてから向かうのがおすすめ。

たどり着いたのは「ハッピィー百沢温泉」というユニークなネーミングの温泉施設。なんとこちら、お笑い芸人の「あべこうじ」さんが、廃業した温泉を買い取ってリニューアルしたという地元では有名な温泉なのだそう。支配人の「OGA」さんも同じくお笑い芸人です。
24時間トイレ、電源、水道完備

温泉の一段下の敷地にある広大な駐車場がRVパークです。運営するのはYouTuberの「青森の小野」さん。利用料金は普通車サイズ1泊1台2000円(ドライバー1名含む)で、同乗者が1名増えるごとに500円追加です。この金額に入浴料が含まれており、滞在中3回まで入浴できます。入浴のたびに別料金、という施設も多いなかで嬉しいシステムです。

別途1000円追加で電源利用も可。敷地のすみに電源ポールがあり、3台分の電源をとるスタイルなので、駐車場所によっては延長コードが必要です。空いている時期なら、ポールの直下にどんと駐車できますよ。電源ボックスがとても高い位置にあり、豪雪地帯であることを実感。

敷地全体が緩やかに傾斜しているので、レベラーがあったほうがよいです。有料で貸出もしています。とは言いつつも、無頓着な私はまったく気にせず就寝。焚火はNGですが、サイドオーニングの展開やガスコンロ調理はOKです。地面は舗装され、ペグダウンはできません。

トイレは温泉施設内のほか、建物の角にある外トイレが24時間利用可能です。私は車内にポータブルトイレを積んでいますが、施設トイレもあれば安心感がまったく違います。水道も利用できます。
地元の人から愛される「ハッピィー百沢温泉」

本館となる温泉施設に行ってみましょう。老朽化して立ちゆかなくなった施設を、ほとんど手づくりで改修していったという「ハッピィー百沢温泉」。休業中の姿が想像できないほど、ロビーは明るい雰囲気です。

目を引くのが弘前市出身のデザイナー、GOMAさんの大型アート作品。壁一面の大迫力です。
入浴時間は午前8時から午後9時30分まで。入ってみると、常に浴室の床にお湯があふれ出ているほど豊富な湯量。鉄の匂いが強く漂い、濃厚な温泉成分を感じさせます。お湯はしっかり熱く、軟弱者の私にとっては水で薄めたサブ浴槽がちょうどいいくらい。

素晴らしかったのが翌朝の朝風呂です。日帰り入浴は通常10時オープンなのですが、RVパーク利用者は朝8時から入浴可能。まるで貸し切りのように独占できました。シャワーの水圧など随所で設備の古さは感じられるものの、「少しずつ直しながら大切に使っている」という雰囲気が伝わってきます。将来に向けたアイディアもたくさんあるようで、どんな施設になっていくのかまだまだ先が楽しみです。

夕方など常連さんの多い時間帯には洗い場を使うのが少し難しくなるため、脱衣場を見て、混雑している様子のときは出直すのがおすすめです。シャンプーやソープはないので、お風呂セットを持参しましょう。

夜は静寂そのもの。しかしRVパークを照らすライトのほか、トイレには明かりが灯り、不安はまったくありませんでした。4月中旬でも周囲には雪が残る弘前ですが、広い敷地のため燃焼音の出るFFヒーターも気兼ねなく使用できるでしょう。朝まで熟睡できました。
施設詳細
- 名称:RVパーク 青森お~の~パーク
- 住所:青森県弘前市百沢寺沢290-9
- 料金:普通車1泊1台2000円/大型車1泊1台3000円(乗員1名ごとに500円追加)
- 予約:電話予約(当日空きがあれば利用可)
- 備考:電源1泊1000円、ゴミ処理500円
クルマ旅にも適した弘前市
春らんまん、ピンク色に染まって活気づく青森県弘前市。渋滞や混雑はありますが、もとからクルマ社会である東北地方の特性も相まって、広い駐車場を有する施設が多くあります。
私も改めて弘前公園を歩いてみて、「城の周りに公共施設や観光施設が集まっている」「歩いているうちに次々とレトロ建築に出会える」「洋食店や洋菓子店など雰囲気のよい店が多い」といった魅力を再確認しました。一度クルマを停めてしまえばいくつもの見どころを巡れます。
歩き疲れたら、個性派車中泊スポット「ハッピィー百沢温泉」で温泉入浴。少し遅めの春を感じに、弘前に出かけてみませんか?
弘前さくらまつり2025
- 会期:2025年4月16日(水)~5月5日(月)
- 会場:弘前公園
- 時間:本丸・北の郭・露店9:00~21:00、ライトアップ~22:00、弘前城植物園9:00~17:00
- 公式サイト:https://www.hirosakipark.jp/sakura/