
紫外線を浴びすぎると、皮膚がんや白内障へのリスクが高まることが明らかになっている上に、オゾン層破壊により、地上に到達する紫外線が増加していることが気象庁のホームページでも発表されています。
日焼け止めを塗って出かけるように気をつけている人も、意外と「目」の紫外線対策はうっかりしがちではないでしょうか。「目を守る文化」を浸透させることをミッションに掲げる「眼鏡市場」で、サングラスの正しい選び方と必要性についてのセミナーが開催されました。
日本における紫外線量は増加傾向

紫外線は、波長の長さによって、UVA、UVB、UVCに大別されています。UVCは、地表には到達しないため話題になることも少なく、私たちに影響を与える心配もありません。
UVAとUVBは、波長の長さが違います。波長が短いUVBは、肌表面の日焼けなど生物に対する影響が強いといわれていますが、UVAのように波長が長いほうが皮膚の深い部分に入り込む性質があります。
しわやシミなどの光老化を意識するとUVAに対するケアを忘れてはいけないのですが、これは目にとっても同じことがいえます。

「地上に届くUVのうち95%がUVAです。UVAは、目の奥まで届き網膜に達することになります。肌と違って、影響を自覚することがむずかしいですが、UVインデックスが3以上で日差しを避けたほうがいいです。
UVインデックス3で、目が日焼けしたレベルです。UVインデックス8以上での外出時は、目のやけどレベルのダメージがあります。」(有田先生)
UVインデックスを活用した紫外線対策は、世界保健機関(WHO)でも推奨され、日本国内では、環境省の「紫外線環境保健マニュアル」で、UVインデックスに応じた具体的な対策が示されています。

気象庁のホームページで各地のUVインデックスが確認できます。3以上で、目に影響を与えることを考えると、これからの季節はしっかりUV対策をして出かけるべきということがわかります。
「目の日焼けによる症状は年々増加していて、UVAによる症状としては白内障などがあり、UVBではドライアイや角膜炎のほか翼状片を引き起こすこともあります。近年は、公的機関でのサングラス着用も増え、小学生や野球など運動部でもサングラスが推奨されています。」(有田先生)
欧米に比べると、ビジネスシーンや学校でのサングラス着用は少数派です。文化的なこともありそうですが、虹彩の色の違いが大きいよう。虹彩が淡い色の方がまぶしさを感じやすいようです。ただ、サングラスも正しく選ばないと、効果があまり期待できなくなるので気をつけなければいけません。
紫外線対策のためのサングラス選びのポイント

目の紫外線対策には、UVカットサングラスが必須という有田先生。このUVカットというのが、大きなポイントです。浴びる紫外線をどの程度ブロックできるかがレンズに記されているため、その紫外線カット率が99%以上のものを選ぶようにしましょう。
そのとき、レンズの色ではなく、UVカットの有無を確認するのが重要です。なんとなく、色が濃いレンズの方が、紫外線の影響を受けにくい気もしますが、レンズの色は関係ありません。
「薄い色のレンズがおすすめです。濃い色の場合、暗い場所にいるときと同じ状況になり瞳孔が開いてしまいます。すると、サングラスのすき間から入ってきた紫外線が目の奥の網膜にまで届くことになります」(有田先生)
色は、ニーズに合わせ、まぶしさを感じないくらいのものを選ぶのがおすすめです。
サングラスを選ぶときに気になるのが、デザインです。これは、顔にフィットし、隙間から紫外線が入らないデザインを選ぶのがいいのだとか。
上下、横からも紫外線が入ってくるため、フィット感をしっかり確かめたいですね。
また、子どもにも早めにサングラスを着用させた方がいいと話す有田先生。それには、3つの理由がありました。
- 1.目の水晶体が透明なため紫外線が網膜に到達してしまう。
- 2.瞳孔が大きいため、多量の紫外線が目の奥に届きやすい。
- 3.屋外にいる時間が長い。
大人になって白内障になるリスクが、子どものころからケアしていた人に比べて2倍にも上るというので、これは意識したいですね。年齢の目安は、小学校に入学する6歳くらいからがいいとのこと。
一般的に、メガネをかけられる年齢になってからということと、幼い子どもは視力の発展途上でもあるためです。薄い色のレンズからスタートすれば違和感なく、なんだか大人になった気分でサングラスデビューを楽しんでくれそうな気がします。
パーフェクトUVブロックでレンズの前も裏も紫外線をブロック

より目の健康を守るために、レンズの裏面にもUV反射防止機能を搭載した「パーフェクトUVブロック」も発表されました。紫外線を99.97%カットし、業界で唯一SPF50+、PA++++というレンズです。
このSPFやPAは、通常メガネレンズの評価方法に常用されませんが、今回、米国の臨床試験機関「AMA Laboratories,Inc.,New York」において、レンズを皮膚に密着させた状態で日本化粧品工業連合会の定めるSPFおよびUVAの測定方法に従い、臨床実験を実施したところ、最高レベルに相当する結果を得たといいます。
レンズの表側だけでなく、レンズの裏面の反射による紫外線もしっかりカットしてくれます。


発表会の会場には、従来品とパーフェクトUVブロックの紫外線をどれほどカットしているかの実験ブースがありました。従来品も十分カットしていましたが、パーフェクトUVブロックの方は、紫外線をまったく通していないように見えました。

眼鏡市場では、子どもの目を守る施策として「紫外線ブロックキャンペーン」を開催中です。15歳以下の眼鏡市場でメガネを購入するすべての子どもが対象です。通常6600円のパーフェクトUVブロックレンズが無償提供されます。
眼鏡市場のスマホアプリをダウンロードし、店舗に行く必要はありますが、これからサングラスの購入を考えていたのなら、この機会を活用しない手はありませんよね。キャンペーンは2025年6月30日までです。
子ども用だけでなく、自分自身のサングラスがUVカットレンズであるかどうかも、この機会に確認するのもいいかもしれません。クリアレンズでもUVカット効果のあるものもありますし、紫外線が当たるとレンズの色が変化する調光レンズなら、ビジネスシーンなどデイリーにも活用できます。
今年のアウトドアアクティビティーは、目のUVケアも忘れないように気をつけましょう。