軽キャンピングカーで、地球半周中です。
稚内からロシアへ渡り、モンゴルで道草してから中央アジアへ。イラン、ヨーロッパと抜けてアフリカに上陸しました。
南アフリカの喜望峰を目指していますが、西アフリカには課題が多すぎて、苦戦しています。マラリアやシャレにならない雨期、複雑怪奇なVISA取り、賄賂警察官にイスラム過激派。南下するほどたまるストレスです。
前回のブルキナファソ・レポート「 VISAを断られて絶体絶命! 」の続編です。
微笑みの紳士は、大使か天使?
これまでマリとセネガルで断られた、ガーナのVISA申請。今回、拒否られたら後がありません。背水の陣で臨んだものの、秒速で追い出されたボクらです。完全に詰みました。大陸横断軽キャンパーの旅、終了〜。
とそのとき、呆然と立ちつくすボクらの前に現れた、高級スーツ。
金色の腕時計をギラギラと光らせ、
「VISAなら、とれるよ」
紳士が微笑みます。
大使さんですか、それとも天使?
精一杯の笑顔で挨拶したら、なんとなんと、身なりの良すぎる守衛だったわけですが、
「VISA代が8,800円で、手数料として8,800円」
営業マンだったのです。その手数料って、賄賂ですか?それとも偽造代?もしかして詐欺?明細はなんにしろ、正規料金の倍なんて足元を見過ぎです。
そもそもVISA担当者が発行を拒否して守衛が営業するとは、公務員としてあるまじきマッチポンプな二人三脚。大統領にTweetしたい案件ですが、卑屈な笑いでもって曖昧に断りました。
Let me think it over. へへへ……
明日、顔を洗って出直します。
担当者が変わっているかもしれないし……。
琴線に触れて、金銭なし
人事異動を期待した、翌朝。昨日以上の強い態度で追っ払ってくれたのは昨日の担当者で、
「なんで、また来るか!」
お怒りです。
すみませんすみませんと謝りながら部屋を出るとき、諦めの悪いYukoが最後の悪あがきを見せたら……、と言っても重ねてお願いしただけですが、
「よしわかった、VISAを発行しよう」
となったわけです、突然。前触れもなく。えええええっ、なんでえ?ぜんっぜん意味不明です。
「2日後に取りに来なさい」
どうして急に優しいの、あなた?なにはともあれ、これで3日後には出発できます!と、喜ぶには早すぎました。
上司が外出したので、発行できません!
約束の2日後。
こんにちは〜と元気よくドアを開けたら、
「書類が足りないから、用意して夕方に出直すように」
今さらそんなこと言う段取りの悪い人でして、指定された時間に書類を提出すると、
「上司が外出したので、発行できません!」
えええええっ!
今日VISAを受け取れないと、明日はイースターですよ。土日を挟んだ月曜日は祭日だから、5日後になるじゃないですか!そんなに待てないです、なんとかしてください。
そこに現れたのが、
「VISAなら、とれるよ」
身なりの良すぎる守衛です。どう考えても、あんたたちはグルじゃないですか?近くて遠いガーナです。
排気ガスが喉を直撃
VISA取りに苦労したぶん、アフリカライフを楽しもう!というわけにはいかない、西アフリカ。
アフリカといえば大自然のイメージなので、アフリカ→ジャングル→森林浴→マイナスイオン→健康に良いと連想したくなりますが、大間違い。喉が痛いです。
世界中からかき集めたオンボロ車がゾンビとして復活し、老体に鞭打って走っているので、元気がいいのは排気ガスだけ。前方が見えなくなるほど濃い白煙は、PM2.5の敵じゃないと北京に行ったこともないのに断言します。
ほんとに喉が痛いです。ちなみに動物は、ヤギと牛だけ。
命がけの車中泊
健康に良くないといえば、この暑さ。宿の庭で車中泊できますが、日中の体感温度は45度以上。暑いより熱く、車中泊は命がけです。涼を求めてエアコン付きの部屋に泊まっても、毎日、停電。扇風機すら動きません。このままじゃ死んでしまう〜と窓を開ければ、マラリアが心配です。元気よく、蚊が飛んでいます。
冷えたビールでストレスを流す
ブルキナファソは、暑い、喉が痛い、VISAが手に入らないの三重苦。マラリアと遅すぎるネットを加えると、苦行の五重の塔になりますが、それでもなんとか生きてこられたのは、ビールのおかげです。
アフリカの玄関口モロッコはお酒の飲まないイスラム教でしたが、南へ下るほどにキリスト教が増え、とうとう人口の4割までクリスチャン。おかげさまで、住宅街はBarだらけです。冷えたビールでストレスを流し、ヤギの串焼きで滋養強壮。涼しくなる夕方から、幸せのひとときです。
【ブルキナファソ・ドライブ情報】
ビザ:25,000CFA(約4,815円)
車両保険:BROWN CARDと呼ばれる西アフリカ13カ国共通タイプ(6ヶ月間)7,499円(41,004CFA)。セネガルのAXAで取得
検問:なし
キャンプ場情報:iOverlander
次週は、マラリア疑惑のガーナ編です。
石澤義裕・祐子
住みやすい国をリサーチしようという話から2005年から世界一周をスタート。アメリカ、カナダなどをスクーターで旅行し、オーストラリアをキャンピングカーで回ったのをきっかけに2015年の夏から軽キャンピングカーで旅を始めた。