日本のミライを明るくする! 園児野生化計画 vol.71
幼児が自然の中に入ると、みんな大好きで必ずやってしまう行動がある。それが「のぞく」だ。のぞくという行動は、自然の中では色々な発見をさせてくれ、集中力も高めてくれる大切なものなのだ。今回一緒に遊んだ子供達も「のぞく」がキーワードの遊びをたくさん展開してくれました。
森を自由に歩き始めた子供達は、まず竹林の中で何かを発見したところから遊びが始まった。子供達曰く竹林の手前の笹の奥で何か物音がしたらしく、音の出所を探った後にしゃがみ込み奥をじっとのぞき込み始めた。
「…絶対にトラだよ!」
「違うよ!…超でっかい毒グモだよ!」
と、子供達は真剣に話し合いを始めた。これは本当にいる、いないの話ではなく子供達が自分たちの熱量を上げるための大切な儀式のようなもの。ぼくは楽しく聞き入ることにした。
現実と妄想の狭間の行き来をしながら熱量が上がっていく子供たち。
森を抜けて少し広い場所に出ると、今度は女の子達が何かをのぞきはじめた。木がたくさん積まれて小山の様になった場所の上に立ち、足下の木の隙間をのぞき込んでいる。彼女たちの目的は、この木々の中に潜んでいる”何か”を探すこと。とても興味があったので彼女たちに何をのぞいているのか聞いてみるも、残念ながらその何かは彼女たちだけの秘密だったらしく教えてもらえなかった。
この木の隙間からは何が見えたのか?どうしても知りたかったのに教えてもらえなかった…。
一方同じエリアで男の子たちがのぞいていたのは樹皮の隙間だ。はがれかけた樹皮をめくってはその奥をのぞき、そしてまた新しい樹皮をめくる。小さな世界をのぞく彼らは、昆虫の幼虫や越冬する昆虫達の集団を探しているそうだ。
彼らは声を掛けても気づかないくらいの集中力を発揮していた。のぞく→ほじくるのゴールデンコンビネーションがつづく。
この日最期の”のぞき”は、僕と一緒にフィールドを自由に歩きまわらず集合場所に滞在していた子供達に僕が”やられる”ことになるとは思ってもいなかった。一緒に歩いていた子供達と歩いていたら、急に子供達独特の”小さな声風の大きな声”が聞こえた。
「長谷部先生が来たぞ!」
「よし、隠れるぞ!」
たくさん木を積んだ即席の秘密基地の中で散歩から戻る僕たちを待ち、そしてずっとその隙間から覗いていたのだ。きっと静かでありながら興奮する時間を過ごしていたに違いない。
”のぞく”のためにつくられたこの基地へのモチベーションがすごい。
どれも”のぞく”という行動だけど、意図が違うのが面白い。のぞくは子供が持つ興味の世界を奥深くしてくれる学びの行為なのだ。それを子供達に体感させてもらった一日でした。
<注意>
・この活動は、園の協力のもと安全管理をしっかりとしながら行っています。