日本のミライを明るくする! 園児野生化計画 vol.73
子供達は、フィールドに入るととにかく色々な物を拾う。春の遊びはじめはBB弾とよく言われるエアーガンなどの弾をたくさん拾うシーンがよく見られたが、ある段階からはそれには目も向けなくなる。子供達は妄想と現実とストーリーを持って”本物ではないけど本物”を拾い始めるのだ。
今日の子供達もまたたくさんの拾いものをしていた。拾いものをすると、子供達は必ず共感や驚きを求めて僕たち大人に報告しに来てくれる。これがまた面白いのだ。そして彼らは拾いものをメインにしているのではなく、遊びの最中に突然何かを見つけ、拾い、それが遊びへと展開されるのも興味深い。
森の探検中に何かを見つけ、突然方向転換してその”何か”に向かって走り出す。
森での拾いものの代表選手が木の枝だろう。これは男の子にも女の子にも”見立て”で楽しめるのでたくさんの子供達が拾って来ては見せに来てくれる。見せに来てくれるときのシチュエーションはこんな感じだ。
<とある男の子の場合>
「バンバン!バキューン!!ピキューン!」
はじめはどこにいるか見えない場所からボイスパーカッションのように様々な音で銃声を響かせる。
「ババババキュキューン!!」
木の陰から顔と木の枝を出してアピールが始まり、だんだん近くまで来る。
「ツキューン!パキューン!!」
とうとう僕を後ろから撃ってくる。そして木の枝を拾った場所からその木の枝の説明が始まる。説明が終わったらまた消え去っていく。
ほどよい曲がりの木の枝は、”超強いビーム”が出るそうだ。
<とある女の子の場合>
とつぜん僕のお尻あたりをツンツンつついていくる。振り返ってみるとニンマリした彼女が第一声を発し始める。
「長谷部先生、カブトムシ!」
カブトムシになりきった彼女は、そのまま僕をつつきながらそのカブトムシのバックグラウンドや性格を永遠に話してくれる。
このカブトムシの角は、重いお買い物袋も難なく持ち上げるほどの力があるそうだ。
性別的特徴云々ではなく、子供ひとりひとりの日常的性格がかわいく現れるのが面白い。これが始まると子供達は間髪入れずに次々と木の枝が色々な物に変化してたくさんの子供達が僕の前にやってきてくれる。これはもう次に考えていた遊びはやめて、目の前で起きるストーリーをじっくりと聞き続けた方が双方にとって幸せな時間なのは間違いない。
彼が拾ったのは「スマホ」。彼はこれで通信をしながら森の中に消えていった。
このほかにも色々な物を拾ってくる子供達。その個性ある品々は見ていて実におもしろいし、僕が日々の暮らしで失いかけた想像力と発見力の隙間を埋めてくれる。大人の思考のように”ちょっとひねってこう見せようか?”なんていう斜め目線の変化球ではなく、剛速球の直球を投げてくれるのに魔球なのが感動的だ。子供達、今日もありがとう!
<注意>
・様々な遊びは、子供達の安全に注意しながら行っています。