最近『不便から生まれるデザイン』(川上浩司著、化学同人)という本を読んだ。著者は「不便益」、つまり不便なモノにも利益があり、それを大切にしようと提唱している。たとえば車のMT車はAT車に比べて扱いがむずかしくて不便だが、機械の仕組みを理解できるという利点や技術を習得するという利点がある。紙の辞書は電子辞書より不便だが、自分だけのクタクタ感が蓄積されて(キレイに汚れて)愛着が湧くという利点がある。ウルトラライトな素材が全盛の時代にあって、帆布の人気が根強いのも、不便の益があるからなのだろう。重くてかさばるものの、磨耗や引き裂きに強く、重いものや鋭利なもの、壊れやすいものの収納にはやっぱり重宝する。コットンとはいえパラフィン加工(ロウ引き加工)をすれば水濡れや油汚れにも強い。汚れそのものが不快ではなく味わいとなり、パーソナライズされていく(自分だけのものとなる)。
asobito(アソビト)の「ランタンケース」と「ポールケース」も、使い込むのが楽しみな帆布のケースである。9号という厚い帆布を使用し、パラフィン加工を施している。きっとキレイに汚れていくに違いない。
防水帆布のランタンケース:7,452円
防水帆布のポールケース:7,776円