渓谷はカエデやトチノキにスギが混ざった混合林。白神山地の奥山に入るときは沢を伝って歩くことにならい、今回は全員で沢歩きを体験します。沢床に下りると、足元に朽ちた鉄のレールが!? さらに沢の中に橋があったかのような古い構造物まで!
藤里町で生まれ育ったガイドの斎藤栄作美さんによると。
かつて藤里町は、秋田の名物、樹齢数百年にもなる天然スギの宝庫でした。山は活気に満ち、切り出しを行うために渓谷にはいくつもの森林軌道が敷設され、スギはトロッコで運んだそう。自身も林業に従事されてきたそうです。
私はどこかで原生の姿を残す「これぞ世界遺産!」という核心的な森を期待していたことを自覚しました。人の痕跡がほとんどない原生の姿を守る森だけが白神のすべてかと問えば、答えはノー。森の動植物、そして関わる人、生まれた歴史や文化、秋田・青森という多様な表情がつながって白神山地であり、世界遺産になったはずなのです。