軽キャンピングカーで、地球半周中です。稚内からロシアへ渡り、モンゴルで道草してから中央アジアへ。イラン、ヨーロッパと抜けてアフリカに上陸しました。南アフリカの喜望峰を目指しています。
カバの声を聞きながら
ナミビアの地図をよくよく見ると、北側は奇妙な形をしています。廊下のように不自然に細く東へ伸びているのは、その昔、ドイツが東海岸まで繋げようとした痕跡で、カプリビ回廊と呼ばれています。
回廊はいくつかの大河をまたがった、世界有数のカバ地帯。アンゴラ、ボツワナ、ザンビアと接した地政学的に複雑な土地で、欧米人に人気のリゾート地です。キャンプ場を併設したホテル&コテージが多く、カバの声を聞きながら車中泊できるのが魅力です。
「ぶほっぶほっ!ぼふーぼふーっ!」カバは夜になると陸に上がって草を食べるのですが、ボクらは川辺で寝ていて安全なんですかね? ちなみにカバは時速40kmで走るので、ロックオンされたら逃げられません。
秘境は砂の道
人気のキャンプ場は、人里離れた荒野にあります。砂の道をゆかねば秘境にたどり着けず、軽自動車ですからあえなく埋まりました。
ほかのキャンパーからスコップを借りて脱出したのですが、
ボディ下に張ったアルミのパネルが折れ曲がってしまい、困ったな、これ。
マイ秘境は、死ぬまでに一度は座ってみたい絶景トイレ
曲がったアルミパネルを抱えて向かった先は、Ngepiキャンプ場。一泊150NAD(1,140円)。
柵とかなくて、猛獣とか来ないんですかね?トイレが2階建になっているところをみると、
猛獣、来るんじゃん、とか思いながら便器に座ると、サバンナを見下ろす絶景トイレ。あまりにも景色が良いもので、のんびりと用を足している場合じゃないです。カメラ必須のトイレです。
ビールとつまみを持ち込んでゆっくりしたいナミビアのマイ秘境は、サバンナの2階建てトイレです。
シャワーは薪ボイラー
キャンプ場のシャワーは、南部アフリカ標準仕様のドンキーボイラーです。薪を燃やしてお湯を沸かします。
こんなんでお湯が沸くの?頼りない見た目ですが、熱々シャワーです。ただ、火をいれた夕方以降しか浴びれません。
親切なお隣さん
隣のキャンプサイトは、南アフリカから来たカップルさん。アルミパネルを修理するため、工具を借りました。ものすごく親切なカップルでして、暑いですねーって言ったら、
「これ、持ってけーっ」
冷えたワインを一本!焚き火をしていたので、晩飯はバーベキューですかって訊いたら、
「これ、食ってけー」
焼きたてのステーキを2枚!南アフリカはブライーと呼ばれるバーベキュー文化がありますから、プロの焼き加減、シェフの味。アフリカ一美味いステーキで腹を満たし、キンキンに冷えたワインでほろ酔いになり、カバの鳴き声を子守唄にしていたら……。
川向こうから盗賊だ!
翌朝、彼らの車のガラスが割られてました。凶器はたぶんこれ↓
泥棒です。犯人は、対岸のアンゴラ人。夜になるとボートでやって来て、キャンパーを狙うそうです。割られた窓ガラスを無駄に派手なガムテープで処置してましたが、
これで大丈夫なんですかね? フロントガラスのヒビで罰金を取られたボクらなので、心配です。ナミビアで教わったことは、大自然で本当に怖いのは猛獣よりも人間だってことです。
石澤義裕・祐子
住みやすい国をリサーチしようという話から2005年から世界一周をスタート。アメリカ、カナダなどをスクーターで旅行し、オーストラリアをキャンピングカーで回ったのをきっかけに2015年の夏から軽キャンピングカーで旅を始めた