サイクリングで楽しむ、文化と自然のまち栃木県鹿沼市
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    2019.07.31

    サイクリングで楽しむ、文化と自然のまち栃木県鹿沼市

    鹿沼市内の木材加工所。鹿沼市は、2020年東京オリンピックの木材提供者として選ばれている(提供:okura bike)

    自転車の魅力は、自動車やバスでは通り過ぎてしまうような場所でも見逃さず、徒歩よりも早く移動出来るところ。これを、栃木県鹿沼市で「okura bike」を営む鷹羽知子(たかのは・ともこ)さんは、「点と点を細かくつなぐように、移動できる」のだと表現します。

    okura bikeは、都内から1時間半で到着する東武「新鹿沼駅」から裏道を抜けて徒歩5分未満のアクセスのレンタサイクル店。貸し出す自転車は、ブリヂストンやトーキョーバイク製のミニベロやクロスバイクなど。

    自治体が運営するような“ママチャリレンタサイクル”とはひと味違って、デザインも格好良く、しかも電動モーターつきもあります。持久力に不安があってもスイスイと坂を登ることができて、気軽に自転車の爽快さを感じることができるのです。

    電動モーターは、手元のボタンで操作できる

    「若いお客さんで『トーキョーバイクがある!』と喜んでくれる人もいるんですよ。こうすればアウトドア好きでなくても楽しめます」

    鷹羽さんは、レンタサイクルを通して鹿沼の魅力を知って欲しいといいます。

    「1617年の日光東照宮建立の時、鹿沼は木工職人の宿場として機能していました。有名な『眠り猫』を掘った左甚五郎も、そのなかにいたはずです。雪が深くなる冬、東照宮で作業できないときに職人たちが小遣い稼ぎに造ったも屋台が今にも伝えられ、今宮神社の春と秋のお祭りに使われています。鹿沼には、ユネスコに登録された、そういった歴史文化がありますし、町には屋台を守りつづける職人がいます。魅力的な個人商店もたくさんあって、里山にもすぐに行ける。自転車に乗ってまちなかをめぐり、たくさんの人に会うことで、この町の面白さを感じてもらいたいです」

    鹿沼は市街地と里山の両方を楽しめる

    現在、okura bikeでは、「さとやまツアー」「まちのりツアー」の2つのツアーと、自由に自転車でまちなかを周れる「フリー」の3つのプランを用意しています。

    ツアーでは、鷹羽さんがガイドをつとめます。まちのりツアーでは、屋台の欄間や車輪を造る職人に会ったり、飲食店を訪ねたりして、鹿沼の市街地を満喫します。行く先々の人々はすべて、鷹羽さんの知り合い。いろいろな話を引き出してくれるので、普段は聞けないようなことを見聞きできます。鹿沼の伝統やローカルフード「ニラそば」などの文化を知ったり、鹿沼のまちにいる人に会いたい場合は、まちのりツアーがおすすめです。

    当日、鷹羽さんに案内してもらった先で食べたニラそば。ニラの歯ごたえとそばののどごしが、不思議な取り合わせの一品

    さとやまツアーでは、田んぼや畑の広がる里山を走ります。

    「市街地からは、自転車で15分も漕げば里山エリアに行くことができます。この気軽さが、鹿沼のもうひとつの魅力です。観光農家にお邪魔してイチゴ摘み体験をしたり、日光連山を横目に走ったりしながら、田んぼの水面に反射する陽の光や鳥のさえずりなども楽しめて、とても気持ちが良いですよ。ご希望があれば、鹿沼の特産である木の製材所と麻の加工所を見学することもできます。製材所に積まれた丸太の山は、圧巻です」

    鷹羽さんのお気に入りのアウトドアスポットは、「出会いの森総合公園」で、まちのりツアーでもさとやまツアーでも、この公園がツアーの工程に入ります。公園内には、日光連山を源流とする、澄んだ大芦川が流れ、春には桜、夏には新緑やホタル、と四季をのんびりと楽しむことができます。

    「こうしたツアーを通して、鹿沼のファンになってくれた人もいます。何度もここに来て、日帰りで町をまわったり、泊まったりするうちに、まちの職人さんと顔見知りになって『また会えたねー』『また来てねー』という言葉が交わされると、私も嬉しくなります。この前なんか、よく来てくれる人たちが『鹿沼を実家にしたい』って言ってくれて。『祭り』でつながっているまちのひとたちに対する安心感とか、素朴な感じを感じ取ってくれたんでしょうね」

    鷹羽知子さん

    観光地ではなく、生活の一部として訪れる場所だと言ってくれた利用者もいます。

    「この前、『週末に都内の公園とか鎌倉でリフレッシュするのと同じように、鹿沼も観光ではなくて、週末をゆっくりと過ごしに来るのに良い場所ですね』と言われました。まち全体が混んでいなくて、日光珈琲の『café饗茶庵本店』と『日光珈琲 朱雀』、はちみつ養蜂園が営む『ハニービーカフェ』でお茶もできるし、空気も新鮮。東京からは1時間半ほどで来ることができるから、ふらっと立ち寄るには良い場所です」

    鹿沼に来てもらえたら必ず満喫してもらえる

    okura bikeは、『大倉ホンダ販売株式会社』という、自転車とオートバイの卸を営んでいる会社の一角にあります。この大倉ホンダは、鷹羽さんのおじいさんが始めた事業。それを受け継ぎ、経営しながら、2年前に新しい事業として始まったのだそう。

    「きっかけは、自治体からの声かけ。ゲストハウスの『CICACU』やその他まちの店舗など、異業種が “まちを活性化させる”という意識を共有し、とても強いつながりを持つ仲間と連携しながら、鹿沼を広めていこうと考えています」

    独自に行っているツアーやレンタルサービスはもちろん、ビール会社の協力のもと近隣の店舗オーナーとともに実施した「ビアツーリズム」を楽しむ場を提供したり、ツアーの様子をSNSにアップして鹿沼を写真で見てもらうなど、鷹羽さんの活動は、とても精力的。

    「首都圏のアクセスは簡単だし、鹿沼に来てもらえたら必ず満喫してもらえるはずです。鹿沼の良さを知ってもらいつつ、観光だけじゃない、暮らしとか仕事とか、生活する魅力なども伝えていきたいと考えています。サイクルマップをつくって、お客さんが自由にまちなかを行き来して楽しめるようにしたいですね」

     

    店舗情報

    レンタルサイクルショップokurabike

    住所:〒322-0044 栃木県鹿沼市鳥居跡町1442-6 (大倉ホンダ敷地内)
    TEL:0289-64-2211
    FAX:0289-64-1441
    URL:http://www.okurabike.com

    ツアーの情報はこちらから
    http://www.okurabike.com/#TOURGUIDE

     

    構成:松本麻美

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