JMTの北のターミナルになるのが、ヨセミテ国立公園内・ハッピーアイルズ・トレイルズ・ヘッドです。そして、南のターミナルが、Mt.ホイットニーになります。今回の旅で、最も重要になるのが、ズバリ許可書です。JMTは、許可書が取れれば7割がたトレイルが成功したようなものと言われる程。トレイルを歩ききるより難関なのが、許可書の取得なんです。
そして、南のMt.ホイットニーから歩く場合は、100%事前予約が必要になります。この予約は、申し込み日になると、あっという間に全て予約済みになる超難関ルートです。私はそんな難関に挑むより、当日予約の枠がある北のハッピーアイルズ・トレイルヘッドから、南のMt.ホイットニーへむかう南進ルート、サウスバウンドで歩く方が確実だと考えました。
そしてこのサウスバウンドは、加藤則芳さんが歩いたのと同じルートにもなります。今まで挑戦してきた超長距離トレイルとは違い、全長340kmと短いため、ビザの取得も必要なく、時間的にもゆっくりとした行程で歩けると考えていました。
そんなこんなで行程を決め、飛行機のチケットも取り、余裕な気持ちで日本を旅立ったのです。そして、その直後に、重大な知らせが届いたんです。
アメリカに住む友人テッドから、今年から許可書のルールが変更になり、当日予約を取ることは不可能に近いと連絡を受けたのです。近年JMTを歩くハイカーが急激に増え、ヨセミテ国立公園内の自然環境が相当ダメージを受けているのが最大の理由。さらに、昨年アメリカで公開された例の映画の影響で、今年はさらにハイカーが増え、今まで比較的容易だった当日発行の許可書ですら取得困難になったというではありませんか。
すでに予約した航空券は格安チケットのため、予定変更は出来ません。そんな中、耳に入ってくる様々なマイナス情報に翻弄されっぱなし。干ばつにより山火事が頻発、公園内の道路は閉鎖、ペスト発生のためルート上のキャンプ場が閉鎖になっているなどなど。それは非常に悩ましいものばかりでした。
まずは、許可書が取れなくては歩けません。友人のテッドとやり取りしながら、悩んだ結果、ヨセミテ国立公園から100kmほどPCTのルートを北上することにしました。スタニスラウス・ナショナル・フォレストにあるソノーラパスというターミナルで許可を取り、歩くルートになります。予定を組んだ日数をそのままで、距離を100km多く歩くのは、かなりギリギリの行程になることを意味していたのでした。
つづく
Profile
斉藤正史 山形県在住
LONG TRAIL HIKER
NPO法人山形ロングトレイル理事
トレイルカルチャー普及のため国内外のトレイルを歩き、山形にトレイルを作る活動を行う。
ブログ http://longtrailhikermasa.blog.fc2.com/
山形ロングトレイル https://www.facebook.com/yamagatalongtrail