街にも自然にもフィットする軽快でアクティブなスタイル
爽やかな風に抜けるような青空。そんな季節になると時々頭をもたげる“バイクに乗りたい”欲求。だが、1000ccを越えるようなビッグバイクでは少しばかり気が重いし、50cc原付では行動範囲も今ひとつ広がらない。
そこで目がいくのがピンクナンバーの原付2種、つまり一般道での速度制限が普通車と同じく時速60km/hではしれて、イザとなれば二人乗りも可能というバイク。その代表格としてスーパーカブ125や110が候補として上がってくるが、もう少しアウトドアっぽいセレクトをするとクロスカブ110となる。
そのコンセプトは「街にも自然にもフィットする、軽快でアクティブなスタイル」と言うだけあってアウトドア感満載の見た目もファッショナブルだが、実用性も十分に高い。
フロント部分やリアには飾りではなく、しっかりと使い物になるキャリア類が装備されているし、それがクロスカブの佇まいに独特の雰囲気を与えている。
早速、乗り出せばクラッチ操作は不要でライディングは楽々。いやむしろベースとなったスーパーカブよりも少しだけ大柄なボディは走りが安定しているし、特別に高度なライディング技術も必要ではなく、スイスイと市街地を駆けぬけることが出来た。
本当に疲労感も少ないし、何より普通の交通の流れに乗って走ることが出来るので精神的に楽である。ただ、スーパーカブよりもシート高が高いため少しだけ足つきで気を遣ったが、それも慣れてくれば気にならなくなる。
そんな街乗りからプチツーリングに出発。残念ながら高速道路や一部自動車専用などは走行できないので一般道をトコトコと走る。だが、それさえもクロスカブは楽しさに変えてくれる。
このゆったりとしたツーリング感覚はお一人様キャンプなどの気軽さにも結びつく楽しさなのだ。そのツーリングの心地よさにクロスカブで東京から京都を走っても苦にもならない、と言う知人もいるが、さすがにそれは辛いのでお薦めできないが、片道100〜150㎞ぐらいなら、何の問題も無くツーリング対応できる。実際に試乗は東京から熊谷周辺、そして峠越えして秩父周辺を走り回り、心地いい疲労感を伴って楽しく総走行距離200km少々のツーリングを終えることが出来た。
ちなみに消費燃料は3.2リットルほどだから燃費は65km/lということになり、カタログ値を達成していた。満タン法なので厳密ではないものの、これだけ走って500円コインでおつりが来る訳で、かなり経済性も高く、この点でもビッグバイクほどの気遣いは要らない。
おまけに以前、試したこともあるのだが、ホンダの商用軽自動車「N-VAN」にシートを折りたためばピタリと搭載出来、実に楽しく撮影をしたことがあった。ゆとりがあれなら、6輪ライフという手もある。
ツーリング途中、小さな河原に降りていき、ヘルメットを取る。鳥のさえずりを聞きながらもゆったりと流れる川面を吹き抜ける風を感じる。峠越えでは「もう少しパワーが欲しい」と思う場面もあったが、総じて満足。何により、こんなに気軽に心地よさを味わえるクロスカブ、いつも傍らに置いておきたい。
HONDA CrossCub 110 PHOTOS
SPECIFICATIONS
- ボディサイズ全長×全幅×全高:1,935×795×1,090mm
- 車重:106kg
- 駆動方式:チェーン駆動
- エンジン:109cc 空冷単気筒OHC
- トランスミッション:常時噛合式4段リターン
- 最高出力:8PS/7,500rpm
- 最大トルク:0.87kgf-m/5,500rpm
- シート高:784mm
- 燃費:66.7km/L(WMTCモード)
334,800円(CC110/税込み)
問い合わせ:ホンダお客様相談センター 0120-086-819
※撮影車両の車体色「マグナレッド」
文/佐藤篤司
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。