2011年の東日本大地震をきっかけに、多拠点活動を開始した佐々木俊尚さん。
都市のオフィスを離れて、好きな環境で仕事をする人が増えています。今回は、作家・ジャーナリストの佐々木俊尚さんの働き方、仕事空間をご紹介します。
移動することによるリセット感の楽しさが魅力
「東京にしか家がないと、首都直下型地震などの災害が起きた場合、逃げ場がない。そこで東京以外にも活動拠点を増やすことにしたんです」
北海道や仙台、伊豆なども候補に挙がったが、最終的に長野県・軽井沢に落ち着いた。
「都心から車で2時間ほど。土地柄的に災害にも強いし、美味しい肉屋さんがあるのも大事」
その後、妻が福井で陶芸の仕事をはじめた縁もあり、福井に3つ目の拠点を構えた。東京ではメディアの出演や取材、打ち合わせ。軽井沢では家にこもって執筆活動。福井では多拠点活動アドバイザーとして地域おこしにひと役かっている。
「移動すると、見える景色から空気感、何から何まで変わる。仕事や、ちっちゃな家事も含め全部終わらせて、新天地へ行くようなリセット感が楽しいんです」
若いころはアルパインクライミングに夢中だったが、いまはロングトレイルを歩くのが好きだと話す佐々木さん。
「持続する生き方が大事。それと同時に、好きなときにやめられるのも強みかな。登山靴は重くなきゃいけない、みたいな古い習慣を打ち破って、自分の一日を自分でコントロールできるような働き方をしたいですね」
佐々木さんの移動用持ち物を拝見!
3拠点活動に欠かせない仕事道具。PC、モバイルバッテリー、USBアダプター、モンベルの折りたたみカサ、土屋鞄の財布など。このほかに非常時用として、小型ラジオ、ライト、ホイッスル、ビクトリノックスのミニツールなどを常備。食材買い出し用のトートバッグと保冷バッグも欠かせない。
佐々木さん流!3拠点活動の3か条
- 取捨選択の目を養う
- 移動時間そのものを楽しむ
- 車の免許は必需品と心得る
作家・ジャーナリスト/佐々木俊尚さん
1961年兵庫県生まれ。毎日新聞社、アスキーを経てフリージャーナリストへ。ITやメディア分野を得意とし、著作も多数。趣味は登山と料理。
※構成/大石裕美 撮影/小倉雄一郎(BE-PAL 2019年6月号より)